写真同好会の集い
改めましてこんにちは、俺の名前は高梨 快です。俺は今全力で部室(仮)へ向かっています。理由はというと…
「この部活に入ってくれそうな子見つけた!」
「マジで!?どんな子?男?女?」
俺の言葉に最初に反応してくれたのは早乙女 千尋。俺の親友で、普段からテンション高く交友関係が広い自慢の友達だ。
「写真好きな子なの?」
次に俺に声をかけてくれたのは、石川 悠也。他人にも自分にも厳しいが、すげぇ良い奴。こいつも俺の自慢の友達だ。
「今朝会った女の子でな、写真好きは確実だと思う!何撮ってるかは良かったのかもしれないとわかんなかったけど、デジタルカメラで写真撮ってたから!」
「待って!?出会ってすぐに勧誘したの!?」
千尋が驚きの声を上げる。
「いいや、職員室まで送ったあと名前聞いただけだからこれから勧誘する予定。」
そこまで言うと、部室(仮)のドアが開いた。
「お、遅れてしまってすみません」
震えた声で謝ってきたのは笹森明美。眼鏡と2つの三つ編みした髪の毛が可愛い女の子だ。
「全然平気だよ、笹森さん」
俺がそう言うと、彼女はホッとしたように息を吐いた。
「えぇっと、なんの話をしてたんですか?」
笹森さんのその質問に応えたのは千尋だ。
「なんかね、快がこの同好会に勧誘したい子を見つけたらしくてね」
「わぁ、じゃあやっと同好会から部活になれるかもしれないんですね!」
そう言った笹森さんの笑顔は本当に嬉しそうだ。只でさえホンワカした雰囲気の彼女が笑顔になると、俺までホンワカした気持ちになる。
「ついでに言うのなら、今まで笹森さん一人だけだった女の子が二人になるかもしれないよ?」
俺がそう言うと、笹森さんは尚嬉しそうに笑った。でも、何かに気がついたようにハッとした表情になって不安そうに俺を見つめる。
「どうしたの?」
俺が首を傾げて問うと、笹森さんは顔を赤くしてアワアワと「でも、」とか「もし、」とか独り言を唱え始めた。
その様子に首を傾げていると、悠也が「腹減ったんだけど」と呟いたので、じゃあ食うかと千尋が笑って俺達はそれぞれの定位置へついた。
俺達は一年前、ここ私立四つ葉高校で写真同好会を作った。その時からのメンバーが今紹介した四人。俺、千尋、悠也、笹森さんだ。
しかし、同好会には出来たものの部活にするには最低五人が必要で、メンバーが足りない状態だ。
何故俺達が部活にしたいのかというと、正式な部室、学校からの部活活動費、そして何より大会へ出場するためだ。
俺達の学年だけで4人集まったものの、あと一人はどうやっても無理そうだった。
そこで目をつけたのが新入生。俺達は俺の見つけたあの少女…雪村さんを部活に入れるべく昼飯を食いながらの話し合いが始まった。