病み気?の到来と素敵な出会いかもしれない
ヒロインの親友を読んでくださってありがとうございます。
この話だけだとわからないと思いますので、この話を読む前に、ヒロインの親友シリーズの2つを読んで下さい。お願いします。
桜が舞い散る並木道、同じ制服だが自分のとは違って新しい制服を着た少女。いや、少女と言うには少し大人びているだろうか。
しかし、人通りの少ないその道で彼女は、
ひたすら地面にカメラを向けていた。
シャッター音が聞こえるので地面をとっているのはわかるのだが、彼女の足元を見ても特に写真に収めるものはなく、あるのはただひたすら踏み荒らされた桜の花弁のみ。
彼女は何をしているのだろう、遅刻しそうなのも忘れて彼女に歩み寄ってみる。
俺の足音に気づいたのか、彼女は俺の方を振り向いた。顔の配置がとても良く、可愛いというよりは綺麗と表現したほうが良さそうなその顔は、俺の顔を見るなり引きつった笑みを浮かべた。
「君って新入生だよね?さっき何を撮ってたの?」
「えぇと…」
彼女は気まずそうに顔を背ける。
どうしたのだろうと思い首を傾げていると、
「あぁぁ、そういえばその制服!に青いネクタイ私立四つ葉学園の先輩ですよね!わ、私道に迷っちゃって!良ければ道を教えていただけますか?」
「う、うん。」
彼女の勢いにつられ俺もつい返事をしてしまった。
それから彼女のマシンガンのような質問攻撃が始まる。彼女の質問の殆どがこの学校のことだった。どんな部活があるんですかー?とか購買の美味しいメニューはー?とか。
そうやって彼女の質問に答えてるうちに学校へついてしまった。彼女に何組なのか聞いてみると、先に職員室へ行かなきゃならないと言われたので彼女を職員室まで送り届ける。そうしたら、勢い良く頭を下げられ、お礼を言われたので別に大したことじゃないと返事をする。
そうしてふと気がついた。彼女の名前を聞いていないことに。
「あっ、そういえば君の名前は?」
俺がそう言うと彼女引きつらせる。この表情は本日二度目だなぁと思った。
「えっと、雪村友音といいます」
「友音ちゃんかぁいい名前だね!俺の名前は高梨 快この学園のことで、なんか困ったことがあったらいつでも頼ってね!」
はい!と彼女は返事をして、本当にありがとうございました。ともう一度礼を言い職員室に入っていった。
彼女の後ろ姿を見ながら俺はさっきまで感じていた不思議な感覚がなくなったのを不思議におもい、首を傾げるのだった。
私は人の足跡が付いている地面で潰れている桜の花弁の写真を撮っていた。
最近何故かこういうのが撮ってしまうのだ。
雨上がりの泥道にあった濁った水たまり、どんより曇った空、カラスがゴミを荒らしている場面とか、前までの私だったら今日みたいな日は特に不思議な形の雲と真っ青な空に魅入られて空を撮っていただろう。
なのにどうしてか、踏みつけられた桜の花弁を無心で撮っていたらしい。足音に気がついてハッとした。何をやっているんだ自分は!!!
振り返って見てみると私と同い年くらいの青年…ネクタイの色から私の一個上の先輩がいた。
春休み中親に土下座して頼んで芸術学校は退学させてもらい、家に近い私立四つ葉学園に一年生として通うことになった。
もちろん寮ともおさらばし、新しい学校生活!と思っていた矢先にこれである。
くそっくそっくそおおおお!!!
とりあえず、写真のことは忘れてもらえるように私の力発動!マシンガントーク!!!
とばかりの質問攻めをしてやっとのこさ学校につきましたとさチャンチャンで終わろうとした私に何を思ったのか先輩は職員室まで送ってくれるし、名前まで聞かれる始末です。一瞬だけ雪小路 友音と名乗ろうか本気で迷った。
職員室に入ってからはそこにいた先生に誘導されて校長室に入れられ、校長先生の話をひたすら聞いた。校長先生の話を聞きながらふと手元を見ると高そうなそれでもどっかで見たことのあるボールペン。
まぁ、いいかと思って校長先生の話を聞き続ける。
私は一年A組らしい。テストの結果が良かったとかそんな感じだ。校長先生に校長室から出るように促される。その後すぐに出てきた担任の先生らしき人に後についていくように言われついていくとそこにあったのは1年A組。
先生の後について教室に入るとざわめく生徒たち。
まぁそりゃそうだよねー入学式の後に遅れてやってきた転校生って。ぶっちゃけ私なんて親のコネがなければ入学テストすら受けることできなかったんだし。
クラスメイトをざっと眺めると一番左の一番後ろの席に座っている女の子を見た時衝撃が走った。
黒い髪の毛をツインテールにして赤いリボンをつけている彼女、宇佐美 律花。きっと彼女と私の出会いは運命なのだろうと本気で思った瞬間だった。
主人公の新しい生活の上で、中心となる二人を登場させました。かといって、主人公と快がくっつく可能性は0%です。とりあえず、主人公の周りに人がどんどん増えてきます。登場人物増えすぎて作者が管理できるかわからないくらいです。しかし、重要な人物はあと3人。元親友の結愛サイドでの攻略対象くんたちが多すぎて…