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親友の話

あかねの前世と今世の今までのお話です。

快活な彼女がお好きな人は読まないことをお勧めします。

ちょっと暗い話が書きたくなってしまいまして・・・

少し、わたくしの話をしてもよろしいでしょうか?

この話し方はわたくし本来のものではないので前世のものに戻させていただきますわ。


わたしの前世は30歳で終わったんだ。

なんでかわかる?あのね、人に刺されたの。夫の不倫相手に。


前の名前は櫻木ゆりか。一般家庭に生まれて、幸せな人生を歩んできたと思う。

でも、それはわたしが17歳になるくらいまでだった。

最初にお父さんが浮気したの。そしたらお母さんはだんだん笑わなくなって壊れていってしまったわ。わたしは一人っ子だったから、母の父に対する苛立ちはほぼわたしに向かってきた。

ドメスティック・バイオレンスっていうのかな?


ああ、幸せなものって壊れていってしまうんだな、なんて殴られながら思っていたの。


母の苛立ちは膨れ上がってわたしは病院に運び込まれるまでになったわ。

そこまでいってようやく、ようやくあの歪みきった家庭から出ることができた。

人間不信に陥っていたわたしはカウンセラーを受けて社会に出たわ。

乙女ゲームにハマったのもその頃。


そこからはまた幸せになった。

仕事は忙しいけどやりがいはあって、楽しい日々だった・・・

でものど元過ぎれば熱さ忘れるって本当なのね。あのときわたし、愚かにも忘れていたの。

幸福はいつか終わる。または人は裏切るものだってさ。


23歳で好きな人ができた。

うちの会社の営業部のエース。華やかな容姿だけど、まじめで、誠実なひとだった。

自然に付き合って、3年目で結婚。わたしは寿退社。

時には激しい愛もあって、時には穏やかに信頼を育んでいった。

けどいつからかしらね?幸福が終わろうとして、歪みが始まろうとしていたのは・・・


あのひとの帰りが遅くなっていってすぐにわかったわ。

ああ、浮気されてるんだって。

でも信じたくなかったの。彼を、疑いたくなかったのよ。

馬鹿だと思うでしょ?


結果的にわたしは夫を寝取ったオンナと向き合って無感動に離婚を受け入れた。

ちょっと壊れかけてたのかな?ふふ、冗談よ。

28歳の冬。


夫と別れて、数か月たった。

わたしは別の会社に再就職して、また忙しいときを送っていたわ。

でもね、そんな時にわたしの前に現れてきやがったのは別れたわたしの元夫。

あいつはよりを戻せないかとわたしに持ちかけてきたのよ。自分が捨てた女に向かって!!

自分が好きだった男はこんな奴だったのか、って怒りすら湧いてこなかった。

あるのは失望一択。情けない男と見破れなかった自分に。



30歳の誕生日、出勤する途中で誰かに前からぶつかられた。

刹那、腹部に燃えるような痛み。血で塗りたくったように目の前が赤で染まったわ。

聞こえた叫び。

アンタなんていなければよかったのよ!ですって?ああ、夫を寝取って優越感に浸っていたあの女か。

なんだ、あんたも捨てられたの。ご愁傷様ざまーみろ。

まどろむ中でそう、思った。







次に目覚めた時には、豪華なベビーベッドの上だったわ。

一体どうなったのかわからなくて大泣きしてしまったの。今思い出しても恥ずかしいくらい大音量で。

だんだんと成長する中でわたしは、わたくしが北条あかねでいわゆるお嬢さまと呼ばれる身分であること、やりこんでいた乙女ゲームの世界に転生したことを知りましたの。


お父様もお母様もあたたかくて、わたしも幸せに思ったわ。

でも、前世のこと、思い出しちゃったの。いつか壊れてしまうなら、信用しないのが身のためだって

櫻木ゆりかが、わたくしにささやくの。

ああ、そのとおりね。わたしに関わった幸福は必ず歪んでいってしまったわ。

まどろむような幸福はとてもとても気持ちがいいけど壊れてしまうものなら、もう、いらない。



わたくしは北条あかね。

北条家の一人娘にして蝶よ花よと育てられた苦労をしらないお嬢さま。

周りの方たちはわたくしが張り付けた飾りの笑顔に騙される。わたくしの容姿に騙される。

なんて滑稽なんでしょう!

ほら、人間はすぐ、騙される。

信じるのもばかばかしい。




乙女ゲームの舞台の高校に入るその頃には、わたしはもう愛だの恋だのくだらないと思っていた。

磨き上げた仮面の下でくだらない茶番を笑ってやろうと思っていたわ。


ところが、わたくしの前に現れたのは男装をしたヒロインだったの!

思わず目を白黒させてしまったわ。だってかわいらしいヒロインが男装の麗人になっていたんだもの。


しかも長い年月をかけて身に着けたわたしの笑みを「うさんくさい」と切り捨てた。

見破られたのは初めてだったわ。


言われた瞬間にわたしは悟った。

真綿の枷に捕らわれることを。

同時に、彼女もわたしの執着を受けてしまうであろうことを。


ごめんなさいね、瑞姫。

あなたもいつか、歪んでしまうかもしれない。そして、わたしから離れてしまうかもしれない。

そうしたらわたしはあなたを無理やりにでも留めようとしてしまうでしょう。どんな手段を使っても。


ふふ、これからも親友でいてね?













あれ?なんかあかねがヤンデレっぽい・・・

ちなみにわたしとわたくしは人格が完全に混ざりきってないからです。


でもヒロインの前では快活な彼女しか見せていません。

ヒロインに会って、変な方向に振り切れちゃいました。


感想をいただけたら、作者は宇宙までいけます。

・・・すいません嘘つきました。でもそんくらいうれしいです!

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