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CRISIS  作者: 54
時空戦争
59/63

58、Dimension

「つまらん」


 【常闇】は部屋に入って来ると同時に、言葉を発した。


「あいつが時空を操れるというのなら、俺達には何を操れる?」


「ヤツの心じゃねえか?俺達はヤツを喜ばせることができる」


「それしか出来ないからつまらんと言ったまでだ」


 【常闇】が包丁を突き出してくる。俺も包丁を取り出す。


「俺はこの部屋の光を操れる」


「そうか」


「それに、生前は次元を操れた」


「自慢話を聞きたいわけではない」


 【常闇】が、もう一本の包丁を取り出す。


「【不明】、お前には、俺の命が操れるか?」


「何だそれ。俺に挑むのか?」


「挑む、か。逆だ。お前が俺に挑めるかということだ」


 俺は身構える。今なら扉から逃げ出せる。だが、俺はそれをしなかった。


「いいだろう。お前が一番ヤツを喜ばせたんだ」


「ほう。死にたいか」


 【常闇】がゆっくり近付いてくる。


「なら死ね!!」


 走って来た。突進だ。包丁を構えている。二つだ。刺さったら終わりだ。


「おっと」


 ギリギリでかわす。俺は【常闇】の対角線上に陣取る。


 俺も同じ戦法を取ってみよう。包丁を正面に構えて走る。包丁を持つ手は右手だ。


「愚かだ」


 【常闇】は俺から見て左に避けた。ここから派生する攻撃を避けるためだ。包丁は右手に持っているため、外側に腕を開くように払う攻撃が通用しない。


「ここで終わりにしようか」


 敵が部屋の隅に移動し、次の瞬間、部屋の明かりが消えて真っ暗になった。やっぱりだ。特殊能力を使われた。


 俺はとりあえず動く。元の位置にいれば、攻撃を受けるかもしれないからだ。適当に動いていればいい。


 だが、


「そこか」


 見つかったみたいだ。多分、アイツは真っ暗でも多少は目が見える。はっきりとではないようだ。はが腕に掠ったくらいだったからな。


 俺はたまらず姿を消した。能力だ。三分間しか効力がないが、一時しのぎ程度には使えるだろう。


「見えない」


 明かりが点いた。が、俺の姿が見えなくなったため、少しは驚いたようだ。


「影を探す」


 無駄だ。姿を消している時は影ができない。光が透過するからだ。ガラスと同じ原理。


 俺は素早く【常闇】の後ろに回る。


「後ろか!」


 足音でばれる。どうしたものか。


 【常闇】が包丁を後ろに振る。少し後ろに下がったため、当たらなかった。俺はその隙に包丁を振りかざす。そして、振り下ろす。


 見えない刃が【常闇】の背中に入った。


「ぐぅぅぅ!!!」


 引き抜く。


「ぐぁぁ!!」


 血が溢れ出す。俺は確実に殺すために、首を狙った。刃が首の横の部分を斬る。


「ぐ!!!」


 血飛沫が上がった。それから、滝のように溢れ出る。【常闇】の顔がどんどん蒼くなっていくのが解った。


「お前は少し油断しすぎたようだな」


「認めない。認めないぞ。生き残るのは俺だ。ぁぁ。生き残るのは俺だったはずだ。生きる素質があるのは俺だったはずだ!お前じゃない。俺だった。何故だ。何故だぁ!!」


 息遣いが荒くなっている。


「ぁぁぁ!!!ぅぁぁぁぁ!!!!」


 最後にそう喚いて、床に倒れた。


「終わった」


 死んだ後も、首からは沢山の血が溢れてくる。まだ生きているかのように、全身から血が外に流されている。ああ。人を殺すってこういうことなのか。


「うっ」


 若干吐き気を覚えた。ここにいても仕方がない。他の部屋に移ろう。


 あと残っているプレイヤーは、【黒雲】と俺だけか。生き残るためには、殺すしかないのか。嫌だ。人を殺すのは今回だけでいい。それに、次からは特殊能力が使えない。一つのゲームで一回しか使えないからだ。俺が先に殺される可能性のほうが高い。


 多分、俺は生き残れない。



 ********



 【常闇】が死んだか。【不明】もなかなかやるようだな。【常闇】を殺すとは。これで、残るは二人。生き残るのはどちらか。必ずどちらかだ。だが、最後には俺に殺されるのだ。無駄な努力だったな。どのみち死ぬのだ。負けようが勝とうが関係ない。苦しむ時間が増えるだけだ。


 フフフフ、ハハハハハッ!!!これで終わりだ。ゲームはもうすぐで終わる!!この忌々しい世界から解放される!!これで俺も死ねる!!もう二度と生き返らない!!アッハッハッハッハ!!!勝った!!俺の勝ちだ!!ハハハハハハ!!!!!


 見ていろ【災禍】!!お前の思う通りには事は進まない!!プレイヤーが全滅するのを大人しく見ていろ!!

まさかの【常闇】死亡。

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