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CRISIS  作者: 54
舞台裏
55/63

54、時空の揃

 次のゲームの舞台をみて、【災禍】はなかなかのものだと思う。このゲームだけは【災禍】が考えた。他のゲームは俺に考えさせてくれたが、望ひとつ必要だったため、【災禍】に考えてもらった。なかなか面白いじゃないか。


「【最悪】、【災禍】が怒っていたぞ。どうする?お前は死ぬかもしれない」


「構わない。このゲームの生き残りが出なければの話だけどね」


「そうはいかない。お前は条件を飲んだ。お前が約束を破棄するようなことがあれば、お前の命は絶たれる」


「そんなことを聞いて、俺が黙っていられると思うか」


 俺は【無情】に銃を向ける。


「無駄だ。俺は頻繁に【災禍】に進行状況を報告している。お前の行動に関しているものも含めて、全部な。その報告がいきなり途絶えたら、不審に思うのは当然だろう」


「俺がお前のふりをして報告をすればいい」


「それも無駄なことだ。通話でもすれば声の違いで怪しまれる。俺は死ぬから換われない。メールもできない。第一、俺の携帯には百五十四桁のパスワードが架かっていて、誰も中の情報を見ることは出来ない」


 俺はそれを聞いて、大人しく銃を下ろした。


「ちっ、用心深いヤツだ。誰がお前をこんなに完璧に仕立て上げたのだろうな」


「【災禍】に決まっている」


「そりゃそうだろうけどよ」


 俺はモニターに目を戻す。ひとつの部屋に集まった四人のプレイヤーが映し出されている。


「今度はこっちに転送だ。配置はランダムで、荷物は≪免罪符≫の時に持っていたものだけ」


「お前も、復讐のことになればいくらでも頭が回るな」


「当たり前だ。何の為に生き返ったと思っているんだ」


「まあ、お前はまず先に、誰に生き返らせてもらったのかを考えるべきだな」


 【無情】はなかなか鋭いことを言う。俺のどんな嘘も見抜くし、どんな言い訳も通用しない。


「お前は、俺に買われたとき、不満そうな表情をしていたな」


「当たり前だ。俺の主は【災禍】だけだ。それに、俺は金に釣られるような馬鹿な人間じゃない」


「まるで人間じゃないみたいだな」


 俺のその言葉に不快感を覚えたのか、急に【無情】の顔が強張る。


「どこでそんな言葉を覚えた!」


「さあね。お前には関係ない」


「【災禍】だけだ」


「何が?」


「俺のことを人間じゃないといっていいのは、【災禍】だけだと言っている」


 コイツはそれほど【災禍】を尊敬しているのだろうか。


「お前は、【災禍】の狂信者だな」


「何が悪い」


「答えたくない」


 危険を感じ、俺は会話を中断させ、目の前の作業の方に集中した。


 急に会話を切り出したのは、【無情】の方だった。


「お前、プレイヤーに正体ばれていないよな」


「…、ああ。多分な」


「確信がないのか」


「はっきり言う。ない。だがいくらかばれないようにはしてある。何も怪しい動きはしていないし、ルール説明で喋る時も、できるだけ声を高くして喋った」


「何故高くした?低くする方が簡単だと思うが」


「俺がプレイヤーの役を演じる時は、暗いプレイヤーの方がやりやすいんだよ」


「そういうことか」


 俺は再び集中する。もうすぐでゲームは終わるのだ。俺の復讐が成し遂げられる。


「そんなに焦るな。結果は向こうからやって来る」


「何に対して言ってるんだ」


「お前の行動にだよ」


 【無情】は観察力も鋭い。


「プレイヤーにとっては、真相は必ず来るものなんだよ。生き残ればの話だけどね」


「それは今は関係ないじゃないか」


「真相は結果だ。生き残れたか死んだか」


「へえ」


 俺は大して興味がなかったので、そのまま作業を続けた。プレイヤー達の転送も完了。道具の転送も完了だ。後は、ルール説明をするだけだ。それで、プレイヤー達が勝手に殺し合ってくれる。


「あ、電話だ。悪いが、俺は一旦外に出るぜ」


 【無情】が外に出て行く。


 俺は、最終的に誰が生き残るかを予想していた。本当は誰でもいい。最後には俺が殺すのだから。だが、ひとつ気掛かりなことがある。【不明】のことだ。アイツが何らかの理由で記憶を取り戻したりすれば、厄介だ。ゲームの内容は単純な殺し合い。アイツが記憶を取り戻せば、間違いなくあいつが生き残る。それで俺のところにやって来る。俺が殺される可能性も、低くはない。そのことを考える必要があった。


「失礼。【災禍】からだった」


 【無情】が戻ってきた。


「残念だ。お前、」


 【無情】は少し間を開けてから、続ける。


「死ぬぜ」


「何だって?」


「だから、死ぬって。ゲームが終わったあと、お前は間違いなく処分される」


「構わねえよ。俺の復讐が遂げられるならな」


「無駄だ。お前の復讐は未遂に終わる。一人必ず生き残らせる。最初からそういう約束だっただろう」


「俺が【災禍】に抵抗するほどの力を持っていないとでも?」


「お前は確かに、殺傷力の高い武器や、時空の歪システムを持っている。だが、【災禍】はもっと強力な時空の歪システムを持っている。いわば、親機みたいなものだな。お前のが子機だ。【災禍】の時空の歪システムは、≪時空のそろい≫と呼ばれていて、子機のはたらきを無効化することができる。それに加え、本来の用途でも使用できる。それを考えれば、【災禍】の前ではお前は無力に等しい」


 もうゲームの準備はできた。俺がどうなろうと、生き残ったプレイヤーは俺に殺される。俺が殺されるのはその後だ。


「結局、俺が殺されるのはいつなんだ?」


「ゲームが終わった後だ」


「丁度いい」


「お前の計画通りにはいかせないからな」


 そう言って【無情】は外に出て行った。


 さて、プレイヤー達も起きたことだし、ルール説明でもするか。

【最悪】、完全に劣勢です。

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