47、【黒雲】① 心内闇黒三部屋一対一争闘で候。
タイトル意味不明。
次のフロアには、三つの部屋がある。三つだけだ。プレイヤーの数は六人。三つの部屋にそれぞれ二人ずつプレイヤーを配置しておけば良い。
後はルール説明の時に話すか。
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目覚めると、ひとつの部屋の中。うつ伏せに寝ているような格好になっていて、向かいにもプレイヤーがいる。あいつは確か、【文殊】だ。それと、俺と【文殊】の間の空間には、一丁の拳銃が置かれている。そういえば、今まで持っていた道具は没収されたようだ。
【文殊】はまだ起きていない。今のうちに、拳銃を取りに行こう。無駄な争いを起こさないために、あらかじめ拳銃を持っておく。そう思って、俺は立ち上がろうとした。が、
ギシッ
あれ?何故だ?立ちあがれない。
ギシギシ
よく、足元を見てみる。
「…、鎖?」
俺の足はどうやら鎖で繋がれているようだ。俺は諦めて、“ヤツ”の指示をまつことにした。
…。
“ヤツ”の正体については大体見当がつく。こんなことをするようなヤツとは思えないが、確かに、これはアイツの仕業なのだ。
“ヤツ”はプレイヤーの中に必ず混じっている。だからある意味見つけやすいと言える。そう、”ヤツ”の正体は――、
「プレイヤー全員の意識回復を確認した。これより、ゲームのルール説明を行う」
気付けば、【文殊】も起きていた。
「残ったプレイヤー六人は、三つの部屋にそれぞれ二人ずつ配置されている。部屋にはロックがかかっていて、内側からは開けることができない。が、部屋の中のプレイヤーのうち、どちらかが死ぬと、ロックは解除される。部屋の中にあるひとつの拳銃は、自由に使っていい。拳銃にはそれぞれ二つずつ弾が装填されている。牢獄内で弾を補充することはできない。いいな。
だが、各部屋には、プレイヤーにとって役立つものがある。
次に、終了条件についてだ。フロア内にある三つの部屋が、全て解放された時点でゲームは終了とする。
以上でルール説明は終わりだ。それでは殺人ゲーム第四号≪一方的殺人・独り抜け孤独戦争≫を開始する。プレイヤー諸君、生き残るためには犠牲が必要だということを理解しろ」
それと同時に、足の鎖がバラバラになった。動いていいという合図だろうか。
俺は素早く立ち上がり、拳銃に手を伸ばす。簡単に取れた。【文殊】は状況が飲み込めず、じっとしていた。これで戦局は有利になる。
「一時停戦だ。何かいい方法が見つかるまでまとう」
俺はとりあえずそう言う。が、俺は【文殊】を殺す気はある。拳銃はこっちの手の中にあるし、無駄な争いも起こしたくない。
え?じゃあ何故【文殊】を殺すかって?だってさ、【文殊】が無抵抗のまま俺が殺したら、
――争いじゃないじゃん――
俺は悪魔の表情で【文殊】と向き合う。
「待て、いい方法なんて、そうそう見つかるものじゃない!この部屋は、どちらかが死なないと出られない!」
「そうか?俺は、必ずしもそうとは思わないけどな」
「どういうことだ?」
「だって、主催者が言ってた扉についての解説は、『内側からは開けられない』だったよな。内側からは、ということは、外側からだったら、もしかしたら開けられるかも知れない。それに、生き残れるのは三人、とも言っていない。だから、もしかしたら、犠牲は一人しか出さずにすむかもしれない」
「そんな甘い考えを主催者がすると思うか?だって主催者は、俺達に恨みがあるんだぜ?それだったら、このゲームは最高に苦しむゲームじゃないか。俺が主催者側に立ったら、外側からは開けられないようにする」
「そうか。でもな、このゲームのタイトルを思い出してみろ。≪一方的殺人・独り抜け孤独戦争≫だ。独り抜け、と、孤独戦争、の所に注目しろ。独りで抜ける、ということは、一人だけ死ぬ、ということかもしれないし、孤独戦争、つまり、孤独との戦い、一人になった自分との戦い、じゃないのか?」
「なるほど。そういう解釈もありか」
俺は【文殊】を納得させ、とりあえず待つことにした。【文殊】を殺すのは二番目の選択肢。一番目の、最も優先させるべき選択肢は、他のプレイヤーの助けを待つこと。最低でも一人は犠牲になるゲームだ。まあ、俺の勝手な解釈だけどな。
他のプレイヤーが助けに来ない、もしくは、そもそも外側からも開けられないのであれば、【文殊】を殺す。部屋から出るためには、この方法が一番確実なのだ。が、今は確実なものより、安全なものを選ぶべきだろう。
こっちは武器を持っている。早く起きて状況をうまく把握できている俺が持っている。だから、もし【常闇】のような危険なプレイヤーが助けに来たとしても、対処はできるだろう。
が、俺が一番心配なのは、部屋から出た後だ。もしかしたら、他のプレイヤーの襲撃を受けるかもしれない。そうなれば、階段への道を塞いでいる扉が開くまで、待たなければならない。それがこのゲームでの、いや、殆どのゲームにおいて最大の難関となるだろう。それにどのくらいのプレイヤーが気付いているかによって、待っている間の状況は大分変わるだろう。例えば、【常闇】なんかは気付かない方がいい。
その襲撃について、少し主催者に助けられるかも知れない。俺達の持っている武器は、俺の持っているものを除き、拳銃二つだけ。その中に弾は二個ずつだから、合計四発。最低でも一人は死ななければいけないため、一つ使って三発。最大でも散発しか銃弾は残せない。他に武器はない。だから、ある意味ではこの武器の配置は安全といえる。
今回のゲームは、少し複雑なようで、実は単純かも知れない。危険なのは言うまでもないが。
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最兇最悪の主催者、通称【最悪】のゲームは、終わりに近付く。
「ふん、それでもまだ二つ残っているがな。これを合わせて」
≪一方的殺人・独り抜け孤独戦争≫の始まり。死ぬのは誰?




