31、【割符】② 死刑台
気がついたら、ワシは立っていた。それに、裸足で金属の板の上に。金属の板と同じ底面積のガラスのケースがワシを囲み、その中には水が入っていて、高さは腰くらいだった。【衛星】も【神速】も同じだった。ワシら三人は丁度三角形になるように中央を向くように立っていて、後ろが壁で、体が壁に縛り付けられている。丁度ワシの目の前に二つの台がある。ひとつはワシらの名前が書かれたボタンがそれぞれ付いているが、ガラスで押せないようにしてある。もうひとつはボタンがひとつしか付いておらず、ガラスで覆われてもいない。これがゲームにどのように関係するんだろうか。
今気付いたのだが、他の二人はすでに起きていた。
そして、何処からともなく誰かの声
「三人とも起きたか。さて、今回のゲームは死ぬ人数が決まっている」
いきなり「死」という言葉を突きつけられて【神速】は眼を見張る。
「それは、二人だ」
二人死ぬ。ということは、この中で生き残れるのは一人しかいないというのか。つまり、ワシが生き残るには【衛星】と【神速】が死ぬ必要があるわけだ。このゲームは≪冷凍回廊大疾走≫の時みたいに穴がないような気もする。必ず二人は死ぬ。
「それでは、ルール説明をする。【割符】の後ろにあるモニターを見てくれ」
後ろにモニターがあったのか。全然気付かなかった。そのモニターには、大きな円が書かれていて、等しい角度でそれぞれ十二に分けられている。分けられた空間に、数字。1から12までの数字だ。
「これは一言で言うと、ルーレットだ。これでゲームの勝敗を決める。このルーレットを止めるものは、今【割符】の手元にあるスイッチだ。時計回りに順番にこの台が回っていく。順番には逆らえない。いいな?」
これはルーレットを止めるための台だったのか。
「そして、やはり【割符】の手元にある三つのスイッチが付いている台は、プレイヤーを殺すものだ」
「えっ?今さり気なくとんでもないこと言ったよね!」
「殺し方は至って簡単。金属の板から高電圧の電流が発せられ、電解質を溶かした水を伝ってお前等の身体へ届き、間違いなく死亡する。水には塩を溶かしておいた。一番手頃な電解質だ。本当は水酸化ナトリウムにしてやろうと思ったが、それだと体に悪影響を及ぼすのでな。塩にしてやった俺に感謝するんだな。まあ、本当に生き残れるのは一人だけなんだがな」
聞きなれない単語を聞かされても判らん。ただ、このゲームも危険だという事は判る。
「このゲームは、名付けて≪夕闇の死刑台≫だ」
という事は、今は夕方なのか?そんな事は極力考えないようにしよう。今はゲームの方に集中するべきだ。
「そういえば言い忘れたが、三つのスイッチが付いている台は、ルーレットを止めた時の数字が自分の数字に該当していた時に回ってくる。【割符】は1、4、7、10、【衛星】は2、5、8、11、【神速】は3、6、9、12だ。
ルール説明は以上だ。それでは、殺人ゲーム二号、≪夕闇の死刑台≫を開始する」
最初にワシのところにあったから、先にルーレットを止めるのはワシじゃな。と思った瞬間、後ろのモニターに移るルーレットが回りだした。
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運命のルーレットが今、回される。




