表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CRISIS  作者: 54
冷凍回廊大疾走
26/63

25、【不明】④ 地獄壊走

 残り六百メートル。


 さすがに限界だ。もう走れない。それは皆同じようで、石像が来ていないだけラッキーだった。


 不意に、端末から音がなる。メッセージが届いたようだ。俺は歩きながら届いたメッセージを開く。送られてきたメッセージには、一番上の行にMISSION1と書かれていて、何かのテレビ番組を思わせるような雰囲気が漂っていた。雰囲気だけだけど。


   MISSION1


・コース上に、五種類のトラップを設置した。


・トラップの種類は、

 1、滑る罠 他の床よりも非常に滑りやすくなっている。

 2、捕獲罠 上から網が降ってくる。抜け出す事は困難。

 3、落し穴 床が抜けて浅い穴に落ちる。

 4、増殖罠 小型の石像が三体追加される。

 5、疾風罠 壁から矢が飛んで来る。


・見た目は普通の床と同じで、見た目だけで判断する事はできない。


・一度使われたトラップは見えるようになるが、踏むと効果は出る。




 俺はその文面を見て、驚いた。他のプレイヤー達も同じだろう。てか、なんかこれに似たゲームあったよね。罠とか出てくる奴。しかも、罠はどれも厄介だ。それに、最後の二つはやめて欲しいと思った。


 小型の石像。小型といっても元が巨大すぎるので、どんな大きさになっているのかわからない。しかもそれが三体。何処から出てくるのかも記載されていない。


 矢。壁から何本飛んで来るのかは分かる事ではないが、非常に危険なものだ。高さや当たった所が悪いと死ぬ可能性だって十分に考えられる。このゲームでは誠に不明ながら、下位のプレイヤーが死ぬとその周りのプレイヤーが危険な目に遭うので、そう言った状況はあまり好ましくない。本来敵であるプレイヤーがとても大事に思えてしまうのは非常に謎なのだが、ゲームの性質上そうなってしまうのだ。なんか変だな。


 大分話題がそれたが、まあ要するに危険って事だ。とりあえず、人が死ぬ確率のある3と4と5を踏ませないようにしないとダメか。まあ俺にはそんな事無理だけどな。


 そういえば今気付いた事なのだが、この携帯端末ってメール送れるんだな。メール作成って言う項目がある。試しに送ってみるか。もうめんどくせぇ、【文殊】でいいや。



 ********



 その頃、俺、【文殊】には、意味不明なメールが送られてきた。




件名:メール


本文:おっはー。【不明】でぃーっす。





 なんだこれは!!!俺は疲れた身体を休ませるように歩きながら返信した。



 ********



 おっ、【文殊】からメールが来た。さて、内容は?




件名:意味不明


本文:なんなんだよ今のメール!こんな状況でふざけるのもいい加減にしろ!





 俺はふと【文殊】の方に目をやった。そして俺はプッと吹き出してしまった。


「何がおかしい!」


 面白いのでこのままにしておくか。



 ********



 大分走れるようになってきた。新しいメールも入って来たのだが、今度はこのゲームの主催者からだ。何でも、【神速】と【刹那】と【逆風】がゴールしたらしい。俺は現在【文殊】と【荒廃】を抜かして十位。【荒廃】はやっぱり走れなくなっている。ここまで罠も無いので安心だ。残りは大体五百メートルか。全力で走ればなんとかなるだろう、と思っていた矢先、床に穴が開いた。


「うわッ!」


 落し穴だ。そういえばコースには罠が仕掛けられてあるんだった。自分だけ掛かっていなかったので(他プレイヤーの事は不明)、関係ないことだと思っていた。


 落し穴は非常に危険だ。こんな床だから、頭を打って死亡なんてことはありそうだ。気をつけなければ。


 俺の前で次々と罠にかかるプレイヤー達。自分が罠に掛かるのは少々ムカつくが、他人が掛かっているのを見ると笑える。実に滑稽だ。とっても趣がある。


「うわ!」


「ぎゃ!」


 たくさんのプレイヤーが罠に掛かるのを見ている中、一番面白かったのが【常闇】だ。


「うぎゃあああ!!!」


 ぐへっへ。ざまあみろ。というか叫びすぎだろお前。木霊させるんじゃねえ。


 ん?お前何の罠踏んだんだ?何も起こらないけど。…。まさかお前、あの罠を踏みやがったな!


 やっぱりだ。【常闇】の後ろの天井から、人型の石像の足に車輪をつけたようなものが落ちてきた。高さは俺の身長とほぼ同じ。これ完全にアレじゃねえか!とかいう事を想像しながら、俺が()げるために()っている()、石像がすごいスピードで追い駆けてくる。しかも石像には鉄の棘みたいなものが付いている。棘というよりもこれはもはや槍だ。これは怖い。もし捕まったら賞金ゼロどころか出演料も貰えないぞ。だがその代わり金を必要としない世界に逝ける。


 ってゆうか早くゴールしないと!俺は半分戻りかけたスタミナゲージを無視して全力疾走。変な薬も飲んでいないのに関わらず走り続けられる。だがな主催者よ、いくら死に直面している狩人でもこんなに長くは走り続けられないぞ。それに石像はもうちょっと早くてもいいんじゃないか?それはそれで困るが。


 と、棘だらけの石像に追われ、妙な想像をし、俺は早くゴールしたいんだぁぁぁ!!!とでも言うような走りを遂げている俺は、もういい加減疲れてきた。何かいい方法はないか。必死に辺りを見渡していると、【常闇】が罠にかかった。へっ、ざまあみろ。で、【常闇】が掛かった罠、それは、捕獲罠、つまり、網が落ちてくる罠だったのだ。


「でかした!【常闇】!」


 とばかりに、俺は【常闇】の網を素早く解き放った。俺は、何故助けられたのか分からないぜ、的な顔をしている【常闇】を無視して、石像に向かって行った。そして、石像が突撃してくる瞬間、俺は素早く後ろに回り、網で拘束した。これで一体目を停止させた。本当に・・・みたいだな。逃げるだけのゲームなのに。


「おお、すごいぞ、【不明】」


 【常闇】の声が聞こえる。別にあいつに誉められても嬉しくないし、むしろ殺意さえ覚えるので聞こえなかったことにした。他のプレイヤー達は走っているが、俺は石像の機能停止化(フリーズ)に専念するとしよう。ゴールまでまだまだある。対策はこれが終わってから考えれば良い。丁度良い保険(【荒廃】)も居るし。やっぱり生かしておいて正解だった。


「さあ来い!」


 俺は気合を漲らせて石像に向き合う。勿論罠の前でだ。罠は一度発動すると見えるようになる。だが、踏んだ時の効果は失われない。これって好都合な性質じゃないか!フフフ、主催者よ、これが俺達にとって良いものになるなど考えていなかっただろう。


 石像が迫ってくる。俺は少しだけ離れて待機。すると上から降ってくる網が石像を捕らえ、二体目確保。なんだか俺が捕まえる側になった気分だ。逃走者なのに。


 俺は網にからまった石像を一旦別の場所に移動する。そうしないと次が捕獲できないからだ。三体目の石像もあっさりとつかまえてやる。


 三体目の石像が来た。俺はさっきと同じ戦法で向かう。俺は少しだけ離れて待機。すると(以下略)。三体目確保。これで満足だ。みんな遠くにいるけど。あ、【荒廃】はまだ近くにいるぞ。後は走り抜けるだけだ。


 前の方で時々「ギャア!」とか「うわあ!」とか言う声が聞こえるが、気にしないでおく。俺が罠に掛からなければいいのだ。シュコッ、という音も聞こえる。矢が飛んだんだな。と思う。



 ********



 大分走った。皆はゴールしただろうか。姿が全く見えない。後ろには【荒廃】の姿があるはずなのだが、やはり見えない。まあ保険だからな。どうでもいいや。


 ん?待てよ、もし保険が罠か何かで死んだらどうなるんだ?間違いなくシャッターが下ろされるよな。それはやばいぞ!シャッターの下降、それは死を意味する。その最悪の事態から逃れるため、【荒廃】の護衛をするもしくは早めにゴールする、のどちらかをしなければならない。前者はまず無理だ。あいにく俺には「護衛」というスキルは身についていない。そうでなくても無理だ。格好よくいうと不可能だ。100%中5000%くらい不可能に等しい状態だ。それならば俺は早くゴールする必要がある。こんなことになるんなら石像なんて無視すりゃ良かった。と、俺は今頃後悔した。


 とりあえず速く走れ、と俺の脳がシグナルを送りつけてきたので、俺はそれに従う。


 しばらくしたところで、体が宙に浮く。そして次の瞬間、意識が飛んだ。

果てしなく興奮してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ