23、【不明】② 地獄競走
一体なんだってんだよ、このゲーム。全く訳がわからねえ。目的はなんなんだ。何をさせようとしているんだ。
それよりも、今は走ることに集中しなきゃ。今、俺の順位は十二人中八位だ。とにかく十一位以内に入ればいい。シャッターが閉まる、つまり、処分されるのは最下位だけなのだ。
今の状況は、
一位 【神速】 特殊能力を使わなくても十分速そうだ。どんな能力を持っているのか知らんが。
二位 【刹那】 一位の後を追い駆けるように走る。
三位 【逆風】 二位と同じスピードで走っている。
四位 【双旋風】なかなか速いじゃねえか。
五位 【衛星】 将軍から離れないようにしている。家来だからな。
六位 【割符】 無理はするなよ、将軍さん。
七位 【常闇】 俺の目の前を走る。
八位 【不明】 つまりは俺だな。
九位 【黒雲】 俺の真後ろを余裕って言うような顔で走っている。
十位 【名無】 疲れたような感じだな。まだまだ続くんだぞ、このコース。
十一位【文殊】 最下位までの道は近い。
十二位【荒廃】 結構後ろの方に来てるな。このままだと死ぬぜ、絶対。
あと忘れてたんだが、後ろからは怪物(像)が襲ってくるんだったな。死ぬのは一人とは限らないのか。とりあえず死亡候補は【荒廃】だな。
「このやろう!」
「ぎゃあ!」
前の方で誰かが殴られたような音がした。そうだった。このゲームは妨害・殺害、なんでもありのデスマッチなんだった。死なないためにはそういう事も必要だろう。今のは【双旋風】が、抜きかけた【衛星】を殴った音だった。だが順位は変わらずに続行。
上位三名はなんか競い合っている様子。もう陰も形も見当たらない。だが此処は、ペースを保てるように走った方がいいのか。なんたって、コースの全長は二キロ。上位の三名、絶対疲れて動けなくなるって。無駄な闘争はやめておけ。
俺は、ツルツルで滑りそうな床に、水をまいた。どういう事かはいずれ分かる。この時点で分かるかも知れんが。
しばらくした頃だ。【黒雲】がいきなりすごい勢いで走り出した。最初九位だったのが、俺達中間組みをどんどん追い抜かし、ついには四位の【双旋風】までも追い抜かした。プレイヤーをごぼう抜きで順位はうなぎのぼり。多分そういう能力を持っているのだろう。
ちなみに、俺の能力は姿を消せる、というもの。此処ではあまり使い物にならなそうだな。無闇に使って内容がばれたりしてもよくないし。使うならそれ相応の場面で使用させてもらおう。
俺が【常闇】を抜かした直後の話だ。いきなり回廊が暗くなった。真っ暗だ。それと同時に、何者かの手(詳しい事は分からない)が俺の足をつかんだ。俺は当然のごとく倒れ、そして回廊は何事も無かったかのように明るくなり、俺の前では【常闇】がいやらしい笑顔でこっちに視線を送ってきた。クソー!ムカつく!マジでムカつく!いつか必ず仕返ししてやる!その時は覚悟しとけ!
そして、俺が立ち上がったときに【常闇】が言った言葉。
「バーカ」
チクショー!覚えてろ!絶対に「忘れた」とは言わせんぞ!おかげで【名無】に抜かれちまったじゃねえか!これで俺が最下位になったりして死んだら絶対に呪い殺す!毒の恨みもあるんだからな!お前だけは絶対に許さん!クソ野郎!キェェェェェェ!!!
と、おかげで十位に成り下がってしまった俺は、【常闇】への復讐を決意すると共に、絶対に最下位にはならない、という確信を得たのだった。それはまた後で話す。
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「まだまだゲームは始まったばかり。それに、お前等がどう足掻こうと、運命は変えられない。決まった未来。それを決めたのは俺なんだからな。一人として生きては帰さない」
そして“ヤツ”は、哂った。
勝者は誰だ?運命のサイコロは転がり続ける。
終わり方も意味不明。




