19、【文殊】② 伝導
あ、あった。この部屋を抜け出すための鍵。正確に言えば、スイッチだ。赤でも青でもない、黄色のスイッチ。部屋のすみっこの天井にあった。多分、あれだ。
しかし、届かない。天井まで、あと五センチ。たった五センチなのに。
「う…、ぐ……、ぁぁぁっ……!」
届かない。
何か、天井まで届くものはないか。何でもいい。天井まで届けば、何でもいい。スイッチでも…、
「スイッチ?」
気付いたのだが、鉄柱の上のほうを見てみると、パイプのようなものが繋がっている。おそらく、中にはコンセントか何かが入っていて、包丁で切られないようにしてあるのだろう。用意周到だ。
そのパイプは、黄色いスイッチの近くまで伸びているようだ。あれを伝っていけば、届く。パイプも高い位置にあるため、上るための足場が必要だった。その足場となるものが、赤、青のスイッチだった。踏んでどちらかの爆弾が作動するかは分からない。でも、他に方法がないんだったら、やるしかない。一か八かだ。
スイッチに足をかけ、上に上がる。頭上にはパイプ。つかむ。俺はパイプにぶら下がりながら移動し、スイッチのある場所まで辿り着く。
だめだ。もう、腕が限界だ。届くか、ギリギリ届くか、どうだ。
あと少し。あと少しなんだ。届くか?
届―――――
いた。届いた。それと同時に俺はパイプから手を離す。反応は、どうだ?
「正解だ」
声。聞こえるのとほぼ同じタイミングで、俺は喜びの声を上げる。
扉が開く。これで帰れる!こんな変な所から出れる。これでいつもの日常が――
「戻ってこねえよ」
「え?」
「戻って来ない。まだまだゲームは続く」
絶望的だった。あんなものが何回も何回も続いて、その度にクリアしていくのは、ほぼ無理に等しいと俺は感じたからだ。
「忘れるんじゃないぞ。お前は一人ではない。良い意味でも、悪い意味でもな」
扉の先は、また扉だった。一気に俺は暗くなった気持ちで、扉の奥に臨む。そこに待ち受けていたのは、十人の人間。俺を合わせて、十一人だ。ここから始まる壮絶なゲームを、俺達は知る由もなかった。
超ありがちな結末ですね。もうホントくだらねえですね。




