14、【双旋風】⑥ 蒸籠
ゲームが始まった。その名も、≪現実的鬼遊戯≫。一対一の真剣勝負。手を抜いたら脱落確定のデスゲーム。勝って正義の座に君臨するか、負けて偽善という名の地獄に落ちるか、運命を決めるのは自分達次第。
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俺は今、モーレツに隠れているッッッ!!!とりあえず部屋にあった箱みたいなものに隠れたのはいいが、問題は中にはいってからしか分からなかった。その問題とは……、
「暑いいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!死ぬうううぅぅぅぅぅぅうゎああああぁぁぁぁあああああああああぅううぅ!!!!!!!!!!!」
ぐげゃぁぁ!!!死ぬ!焼ける!ゆでられる!蒸される!とにかく暑い、暑すぎる!部屋の中も充分暑いが、箱の中はもっと暑い!いわゆる地熱というやつですな。ってそんな場合じゃないいいいぃぃぃ!!!!こんな事してたら見つかる!見つかって殺される!それだけは勘弁してぇぇぇ!!!
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もう暑すぎてたまらなかったので箱から出た。
ところで、あなたたちは正義についてどう思うだろうか?俺はこう思うのである。
戦いにおける正義とは、勝利を意味するものであり、日常会話などで使われるような正義とは違う。例えば、誰かを助けるとか、誰かの身代わりになるとか、誰かの役に立つとか、そういうものはいらない。自分の事を考えて勝ったものが正義。表面だけの正義なんて存在しない。正義は常に勝者と共にあるのだ。本当の正義をつかみたいならば、このゲームに勝つしかない。例え殺し合いが起こっても勝ち残る、生き残るのが正義。正しい正義。人を殺す事ができずに負けるのは正義ではない。偽善だ。俺は偽善者になるようなことは絶対にしない。人間としての誇りを捨ててでも、正義になる。醜い正義になる。それでも構わない。だから俺は全力でこのゲームに挑む。
とりあえず、十分間が経過して俺が『鬼』になれば順調な切り出しだ。それまで俺は逃げ切る。必ず逃げ切る。