9、【不明】① 平等
|俺は目を覚ます。
ここは、おそらく牢獄だろうな。というか間違いなくそうだ。牢獄じゃなかったら何なんだってくらい。
紙袋が置いてある。中身を見る。
「ッ?!!」
中にはキッチンタイマーと包帯と五百ミリリットルの水入りのペットボトルとロープ。そこまでは良かった。次に出てきたものが、
「包丁だって?」
何に使うんだよ、こんなもん。
そこで、紙袋に書いてある文字が気になる。
『平等』
この紙袋は他のプレイヤーにも同じように支給されている。
プレイヤー?支給?何のことだ?他の、という事は俺以外にも誰かいるんだな。だとしたら、これを支給したやつは何を俺達にさせようとしているのか?
もうひとつ、何か落ちている。拾ってみると、紙切れだ。なにか書いてある。ん?【不明】?何だ?俺は紙を裏返す。
『お前の名は今から【不明】だ。』
これは何のためだ?誰が何の為にやっていることなんだ?意図が全くつかめない。
しばらくして俺は、牢屋から自由に出られる事を知った。
「出れる、のか?」
「この部屋から出ることはできるが、この牢獄から出ることはできない」
不意に、誰かの声がした。周りを見ても誰もいないし、声のした方向も分からない。
「誰だ?誰かいるのか?」
「此処にはいない。だが、お前を見張っている」
声は途切れた。なんだかすごく不気味な感覚を覚えながらも、俺はこの牢屋…、部屋を出た。
********
「【不明】はなかなか面白そうだな」
モニターの画面を見ながら、“ヤツ”は呟いた。