5話 疑惑
どうも。鷲野です。
この小説に目を通してくれていらっしゃる方々ありがとうございます!
さて、一話一話が短いと思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、私は1ページ毎が短い方が読みやすいかな、と考えておりますので、短めの文量にしております。
「貴様ァ! 今すぐナタリア様を解放しろ!」
その状況に一俊は困惑することしかできない。
(……なんだ?この状況は?)
(解放しろと言っておるのじゃから、すればよいのではないか?)
(……解放しろもなにも、ただ隣に立っているだけなんだが……)
(……では、離れてみてはどうじゃ?)
ということでナタリアから離れる一俊。怖かったのでゆっくりになってしまったのは仕方がない。
しかし門番達は、「今だ! あの男を捕えろ!」と一斉に一俊に向かってくる。
(な、なんでだ!?……そうだ、ナタリアさ)
(なにをしておる! 来るぞ! ワシが手助けするから言う通りにするのじゃ!)
「死ねェ!」接近してきた一人からの攻撃が来る。
(後ろに飛べ!)
「うぉ!」
なぜか一俊は避けれた。心なしか遅い気がする。遅いといってもギリギリかわせる程度だが。
(『死ねェ!』って、捕まえる気ねーだろ!? あんなの当たったらマジで死ぬって!)
(集中せい! 詳しい説明は後でするが、今のお主は少しではあるが、時の流れが、遅く感じるのじゃ。まわりが遅くて自分が早いということじゃな。理屈は全然違うが、分かりやすく言うとハエとかの目のようなもんじゃ)
(イヤな例えすんな!)
会話している最中でも襲いくる武器。精霊の指示に従って危なげに避けていた一俊だったが、最後の余計なひと言に一俊は思わず精霊を見てしまう。
「えぇーい! ちょこちょこと鬱陶しいヤツだ!」
鬱陶しい。そのひと言でめげそうになる一俊だったが、この状況下でそんなことは許されない。彼が罵声にめげずに頑張ってかわし続けていると、
「やめろッ!!!!」
大声が響き渡った。
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なんだか屋敷の方が騒がしい。何か起きたのか?
屋敷に戻る道中、乗っていた馬車に揺られながら考える男性。屋敷の主人でもある男性――リュークは疑問に思う。
「どうしたんでしょうね? あなた?」
「……ガーラス、急いでくれ。クレーヌ、ファビス!スピードをあげるぞ!」
「はっ!」「「はい」」
不安に思ったリュークは急いで御者台にいる従者――ガーラスに指示を出した。
「旦那様! 見知らぬ男が、屋敷の者ともめているようです!」
ガーラスの報告を聞き、リュークは馬車を降りて走る。門の前には、男とナタリアが。護衛達が男にメディアムを向けている。
そして、ゆっくりナタリアから離れる男。ナタリアは止まったままだ。
(……状況がよく分からんが、あんなにたくさんのメディアムを向けられて、悠々と行動できるとは…あの男、なかなかの実力者か?)
そうこうしているうちに、護衛が男に切りかかるが、男は避けた。その光景にリュークは疑問を感じた。
(どういうことだ? 動きは速いが、素人のような無駄の多い動きだ。見切っているわけではなく、攻撃を見てから避けている? しかし、素人があの攻撃を避けれるか?……)
考えているうちに次々と護衛達が男に切りかかるが、男は全て避ける。まぐれではないらしい。
(では、なぜあの男は攻撃を避けれる? 変な方向に顔を向けることと何か関係が? ……いや、何かを見ている? だとしたら何を……まさかラレースを見ているのか!?)
しかし、リュークはあの男に見覚えはない。
(……動きが速い……攻撃を見てから避ける……ラレース……まさかテムプスか!? ……しかし、テムプスのクレアトールは滅んだはず……)
考えたところで答えは出ない。リュークは、自らのラレースのアルダに尋ねる。
(アルダ、何か分かるか?)
(……分かりません)
しかし分からない。あの男に直接聞くしかないか……そう思ったリュークは、
「やめろッ!!!!」
戦闘の止めに入った。
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「……すごい……」
リュークの後に続いて屋敷に近づいたファビスとクレーヌ。見えてきた光景にファビスは思わず感嘆の声を上げた。
そこでは黒い髪、黒一色の服を着た男の人が、屋敷の人達と戦っていた。
……いや、戦っているというよりは、男の人は攻撃をせず、避けているだけだ。
(あんなに、多方から攻撃されているのに、完璧に避けるなんて……)
ただただファビスはその人の動きに見惚れていた。尊敬の眼差しを向けて。
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声により門番達の攻撃が止まったが、一俊は訳が分からない。
(今度はなんだ!?)
(後ろを向くのじゃ。誰か来る)
一俊が振り向くと、こちらに歩いてくる人影が3つとその後ろから馬車が。一俊が馬車に若干驚いていると、1人が声を発した。
「何をしている?」
「はっ! そちらの男がナタリア様を誘拐した疑惑があったので、捕えようとしていたところです」
身に覚えのない事を言われて、疑問に思う一俊。
(…何の話だ?)
(いいから黙って聞いておれ!)
「本当か? ナタリア?」
「…………」
ナタリアが返事をしない。一俊がナタリアを見ると、ナタリアは呆けていた。道理で止めてくれなかったわけだと納得する。
「ナタリア?」
「……い、いえ!むしろトキザワさんには助けていただいて……」
「…………」
「お父さん?」
「……なんでもない。皆聞け! この少年は私の客だ。誘拐犯ではない。」
「「「「「えっ……」」」」」
「皆、謝りなさい」
「「「「「はっ! お客人とは知らず、申し訳ございません!」」」」」
「……え、えぇ」
一斉に頭を下げられた一俊だが、急展開に頭がついていけないため、生返事になってしまう。すると、門番達と話していた男が近づいてきて、話しかけてきた。紅い髪に赤い瞳をもつ、カッコいいという言葉がぴったりの男性だ。
「……君、名前は?」
「……あ、時沢一俊です」
「……すまない。私は、火賀・リュークという。ナタリアの父親だ。護衛達が失礼なことをした。」
「(護衛の人達だったのか……)……えぇ」
「少し話をしたいのだが、いいかね?」
精霊と話し合う一俊。
(……どうする?悪い人ではないと思うが?)
(信用しても大丈夫じゃ)
(何で分かる?)
(いいから早く返事せい!)
断言する精霊を疑問に思いながらも、
「……大丈夫です」
一俊は返事を返した。
「ありがとう。では、着いてきてくれ。クレーヌ、ナタリア、ファビスは私の書斎に来てくれ。ガーラスは、レミが学校から帰ってきたら書斎に来るよう伝えてくれ」
「「「「はい」」」」 「はっ!」
こうして一俊はリュークと共に屋敷に入っていった。
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(時沢か……やはり、テムプスのクレアトールだったな。しかし、何故生きている?)
リュークの疑問はつきないが、とりあえず護衛達に謝らせて、リューク自身も謝るために一俊に話しかける。
(カズトシ? ……聞いたことがない響きだ。偽名か?)
そう思うリューク。
しかし、偽名だったら、時沢という姓は名乗らないはずだし、ナタリアを助けたということも気になるリューク。
(あの素人のような動きは恐らく演技ではないだろう。さっきの会話からしても、悪意は感じられなかった。屋敷で話を聞いても大丈夫だろう)
そう判断したリュークは、一俊を屋敷に誘った。
(時折、ある一点を見ているな。やはり、ラレースがいるか)
了解の返事をもらったリュークは、クレーヌとナタリア、ファビスにも書斎へ来るように促す。
いつ妙な動きをしても対応できるように、少年を警戒しながらリュークは書斎へと向かった。
地球組出てこないのか? と思っている方々いると思われますが、ちゃんと出ますので、今後も読んでいただけると嬉しいです。