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魔王の嫁を取り返せ!  作者: 鷲野高山
一章・異能の星・レトアルス
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15話 歴史の語り部 トゥルサス

すみませんが、この話の歴史や、世界設定は、「1話 予兆」の前書きで説明されている話を記載するという形にしました。

正直、ただの繰り返しなのでまとめてもあまり意味無いかなと思ったので。


ですので、1話の前書きを見て、読む前に先に歴史や世界設定を知りたいという方出てくるかもしれません。ということでここまでの話にあまり絡まない形になりました。


よろしくお願いします。

 ――――遥か昔、5つの星は結界も無く互いに繋がり、それぞれの星を数多の人々や動物が行き来していた。それぞれの星に住む者は争うことなく、豊かで平和な生活に人々の顔から笑顔が絶えることはなかった。


 しかしその平和は崩され、人々の表情を絶望に染める出来事が起きた。それが、『魔王』と呼ばれた者の出現。

 当時、動物のみが住んでいた星『ザグーシャフ』に突如現れた魔王は、奇怪な術を操り動物達を異形な姿へと変えてしまった。姿だけでなく性格も変わってしまった動物達は、魔王に操られ大群をなして4つの星を襲撃した。その凶悪な姿を人々は『魔の物』と呼んで怯え、魔の物を操る者を『魔の王』、すなわち魔王と呼んだ。


 だが、4つの星の人々や動物も、ただ怯えているだけではなかった。

 『レトアルス』、『ロムルキト』、『ジプキアス』、『カロブア』に住む者はすぐさま力を合わせ、魔の物の侵攻に対抗した。しばらく両者は拮抗していたが、4つの星の連合が段々と押されていった。連合の負傷者が増えていくのに対し、魔の物は術により治癒能力が非常に高くなっており、戦力不足になることがなかったのだ。

 そんな魔の物の勢いに為す術がなかった連合だったが、希望の光はあった。


「魔王を倒せば終わる」


 その情報は、魔王が現れる前より『ザグーシャフ』に滞在していた者がもたらした。命からがら『ザグーシャフ』から逃げ帰った者により、魔の物が術で操られているのを知った連合はそれぞれの星から1人ずつ、4人の強者を選び魔王討伐のため『ザグーシャフ』へと向かわせた。

 希望を見出した連合は勢いを取り戻し、戦況は再び一進一退の状態となる。


 だが、4人が『ザグーシャフ』へと向かってから何年も時が経つにつれ、やがて連合にも徐々に諦めの声があがりはじめた。4人は失敗したのではないかと。

 ある時は土地の防衛に成功し、ある時は攻め込まれる。

 ある時は侵攻された土地から魔の物を追い出し、ある時は撤退。

 ひたすらにその繰り返しだったからだ。

 

 しかし、延々に続くと思われたその繰り返しにも決着がつく事となった。戦いのさなか、連合の目の前で魔の物の姿が消えていったのだ。

 その光景を見た連合は歓喜した。4人が魔王を倒したのだと。

 完全に魔の物の姿が消えたのを確認した人々や動物はひたすらに4人の帰還を待った。何故か『ザグーシャフ』に行けなくなっていたのだ。


 いくばくかの時が流れ、やがて人々が待ち望んだ光景が訪れる。


「4人の帰還」


 4人の中には五体満足ではない者もいたが、魔王を倒して帰ってきた4人を人々はその功績から英雄と讃えた。


 4人は魔王を倒した後、この悲劇が二度と起きぬように『ザグーシャフ』への道を封鎖し、それぞれの星に結界を張った。その結界は力を弱めるというものであったが魔の物に対して有利となるため、人々や動物は納得し互いの星への交流を最小限のものとした。


 長らく安寧は続き、やがて後世の人々はその歴史を、事件を忘れていった。


 4人の英雄は死後、それぞれの星のどこかに埋葬されたという。




     ~~~~~~~~~~



『……これがこの世界の歴史にして失われつつある事実』


 トゥルサスの語りが終わる。

 まるで物語だ、と一俊は興奮する。だが、同時に疑問もでてくる。


「たしかに歴史は分かったが……これがなんだというんだ?」

「焦るな。重要なのはここからじゃ」


『左様……今のはただの歴史にすぎん……ん?』


 トゥルサスが言葉を止める。


「どうしたんだ?」

『……問題ない』


 何かに気をとめたようだったが、再びトゥルサスが語り始めた。




     ~~~~~~~~~~



 ――――4人の英雄はたしかに魔の物に対する処置はしたが、完全に対処できたわけではなかった。

 再び魔王となる者が現れる可能性があることを危惧した4人は、自身と特殊な鉱石に封印を施し「死後にその鉱石を自分の墓石に」と信頼する人物に託して墓石とした。英雄の墓は無闇に立ち入られぬように一握りの人物を除き秘匿とした。


「しかし封印は万全ではないので、いずれ封印が解け、ザグーシャフに異常が起きるかもしれない」


 そう考えた英雄達は力のあるものしか墓に近づかせないために、墓の在り処を示した詩を後の時代に残した。魔王が再び現れる可能性が高まるが、世界の危機が起きる可能性があっては仕方のないことだった。


『墓の在り処を探す者。汝に力無ければ辿りつく事すら叶わぬ事を知るがよい。


 レトアルスに眠りし英雄、時の流れを色濃く継ぐ者也。その亡骸は魂の集散地に眠る。


 ロムルキトに眠りし英雄、孤高の賢人也。その亡骸は沈黙せし浮き島に眠る。


 ジプキアスに眠りし英雄、全知全能の理解者也。その亡骸は真紅の山に眠る。


 カロブアに眠りし英雄、己を極めし者也。その亡骸は聖域に眠る。


 封鎖されしザグーシャフを望む者。全ての墓を探し、その墓石に自らの一部を接触させて体に『封印の紋』を刻むがよい。さすれば道は開かれよう。

 結界を破りたき者。その手掛かりはザグーシャフにあり。


 生半可な気持ちで挑みし者。汝は必ず報いを受けるだろう』



   

 



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