第一話 <旅立ち>
初投稿
拙い文ではありますが、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字脱字などありましたら気軽にお声掛けください。
「今まで本当にありがとう。......行ってきます」
そう両親に伝え、屋敷を出た。扉の閉まる音が小さく響く。ここから俺だけのための生活が始まるのかと思うと、寂しさや、嬉しさとか......色んな感情が湧き出てくる。屋敷の前には、今年も沢山の落ち葉が積もっていた。そういえば掃き掃除は俺の仕事だったな──そんなことを思い出し、胸がズキリと痛む。
踏むたびにカサカサと鳴る音が、神経をじわじわ削っていく。何かが離れていくような気がする。でも......それでも決めたんだ。
「当分は生きるためのお金と住居探しがメインかな。街の大通りで情報を探そう」
そう自分に言い聞かせるように呟いて、街へ歩く。
──俺、グルーヴェ・ユウはこの街の貴族、グルーヴェ家の長男だ。十五歳になり、成人という扱いになって、今こうして独り立ちしている。そこまでお金に余裕がない家だったけど......ここまで育ててくれて、親と執事さんには本当に感謝しか言い表せないな。
「ふぅ、着いた」
暗がりでもわかるくらいに広い道幅、レンガ壁の家々。仕込み段階なのか、パンの匂いが優しく通りを包み込んでいる。通りはまだ夜明けすぐだが、商人の声や馬車の音で埋め尽くされていた。
『仕事がなけりゃ住む場所を借りたとてお金がないからな、まずは仕事探しだな!』
ということを考えていると、
「あの、すいません!少しお時間頂戴できますか?」
「おはようございます。どうかしたんですか?」
「私、日常で役立つ雑貨の商いをしておりまして、もしよろしければ幾つか見てもらえないかなと......」
張った声の人だ。若いであろう商人が話しかけてくれた。ちょっと気になるので、と言いたいところだが、
「すみません、生憎手持ちが少なくて、見るだけでもよければ」
「いえ、ぜひぜひ!」
そう言って商人が馬車に雑貨を取りに行く。
「この時間に、商人と業者の人以外は滅多にいないですからね、助かりますよ、がはは!」
本当に陽気な人だな。どことなく、父さんに似ている。雑貨が楽しみだな。
「こちら、"旅”でも"生活"でも必ず役に立つ、私フォーグナー選抜の"便利道具"でございます!」
戻ってきたフォーグナーさんの腕には、見たこともないものが乗っている。
何やら緑に光っているランタン。普通の色のランタンさえないのに......
とんでもなく巨大なバケツの中に、たっぷりの謎液体。グツグツと、沸騰しているかのような泡立ちを見せており、危険そうなのがわかる。そして──
「その中でもイチオシなのがこちら! "魔導石"でございます!」
フォーグナーさんの便利道具、珍しい品目の中でもひときわ"浮いている"。
というのも、言葉通り物理的にも浮いているのだ。それはもはや狂気的な気配すら有している。拳大ほどの大きさの、紫色に淡く輝くその石に、俺は運命的な出会いを感じていた。




