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第一話 王女の誕生
パラマ暦1474年、雪の舞う季節。
一人の女の子がこの世に生を受けた。
名前はサクマ。ペルカ国のマルシャ国王と王妃の間に生まれた第一子である。
ガラスのように透き通った水色の瞳と、雪のように白い髪を持つその子は、マルシャ家の血を受け継ぐ者の証を示していた。
国王と王妃は、サクマに優しいまなざしを注いだ。
その喜びは宮廷に留まらず、国中を明るい光で包み込む。
ペルカ国は、北に広大な森を、そして西に巨大な湖を抱える自然豊かな国。
豪奢とは言えぬまでも、人々は日々の糧を得て、自然とともに穏やかに暮らしていた。
サクマの誕生は、その幸せな日常の象徴だった。
だが――それは、つかの間の平和にすぎなかった。