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始まりの日

俺は、いま扉の前に立たされている。


勘違いを防ぐために言うが、別に怒られているわけではない。


4月10日、高校生生活初の、さらに言うと人生初の部活動というものに入部する。

「こいつ絶対陰キャだろw」とか思ってるそこの読者!

そうだ、俺は紛れもない陰キャだ。なんか文句でもあるか!


そんな戯言はこれくらいにしておき、俺は高校に入ってから心機一転、部活に入ることに決めた。


それはもちろん友だち作りのためだ。

無論、本気で部活をやろうなど微塵も思っていない。


入学早々に配られた部活一覧表に目を通し、運動系も音楽系も無理だった俺を唯一受け入れてくれそうな部活、それが新聞部だったのだ。

ってなわけで早速部活体験に来ているのだが、ここへ来て少しの迷いが生じた俺を惑わす。

(「別に部活はいらなくてもいんじゃね?」)

そうこうしていると、

「もしかして、新入部員の人ですか?」

「はい・・・」

「そしたら部屋の中に入っても大丈夫ですよ!少し手狭ですが・・・」

めちゃくちゃかわいい子に声をかけられた!!!

さらに興奮する俺を待ち望んでいたのは楽園だったのだ。


「まじでみんなかわeeeeeeeeeeeeeeeeeeee」

刺激の強さに鼻がやられる。

「大丈夫ですか!ティッシュ、持ってきますね!」

さっそく介抱を受ける俺、マジでカッコ悪いな。

ただ、こんなキ陰キャ根暗キモオタの俺なんかに恥というものはない!

「恥を知れ!」

「知らんが!!」

と返したいくらいだ。


「みんな、集まってー!」

さっき俺を出迎えてくれた子の集合で部員が一同に会す。

「この子が新聞部の体験入部に来てくれた子です。今日一日よろしくお願いします!」

「はーい」

挨拶するなりバラバラとまた、元の位置に戻っていく部員たち。この部本当に活動してんのか?

「私は古橋あかりっていいます!何かあったら気軽に声をかけてくださいね!」

やばいマジで可愛すぎてキュン死しそう。それに近すぎでしょ!距離感おかしいって!

「こちらこそよろしくお願いします!」

「それでは早速活動について紹介していきますが、部員は全学年合わせて4人います」

・・・思ったより少ないなといった印象だ。俺の数少ない(というかほとんどない)経験上、人数が少ないと、一人あたりの仕事の負担料が多くなり、結果としてめんどくさいことになる。ここは考えようだ。

「ちなみにあなたのお名前って教えてもらってもいいですか?」

「自分は五十嵐流斗っていいます1年A組です」

「そっかーよろしくね〜」

こんな可愛い子と毎日話せるとかまじで部活入ろうかな。それになんか匂いやばいんですけど。ムンムンとした香り甘すぎるんですけど。

「そいえばからぴー、新聞持ってきてー」

「あいよー今持ってくるねー」

声の先を見ると、見るからに身長の低いショートカットの子がなにやら段ボールを持っている。

アニメだったらここで俺が、彼女を助けに行くところだろう。しかし俺にそんな勇気などあるわけない。

「彼女は二年の副部長。唐沢ちあき。からぴーって読んでね」

「・・・よろしく・・・です」

「スポーティーな見た目してるけど中身は案外コミュ障だから」

あかりがふざけるようにちあきをみつめ、ちあきも起こったような顔を見せる。

「こう見えても今期放送中のアニメは全作品視聴済みなので」

「『こう』見なくともそれぐらいはわかるよ!同じ人種そうなのは!」

「ちなみに・・・アニメって・・・見てますか」

「俺はちょうど今やってる疑似ハーレムっていうアニメがめちゃくちゃ好きで」

「疑似ハーレムめちゃくちゃ良いよね!とにかく七倉凛の絶妙な透き通る系ボイスとロリっぽくないロリボがかわいすぎるのと、男の子の方も凛をからかっているように見える高木さん系アニメの融合した史上最高級の可愛さだよね!それに私はぶいでんってアニメもめちゃくちゃ好きで声優の佐倉綾音さんの演技力がすごすぎるのと、ネットミームなんかともコネクトしてるから・・・・・グヘヘヘへ」

うん。わかり見が深いぞ!

「ねえねえからぴー、そろそろいいかな?」

あかりの制止も聞かずにちあきは喋り続けている。

「そんなわけで彼女もおもしろい人ではあるからよろしくね!」

「それでこちらが当部の発行している学校新聞になるんだけど、基本的に取材に行ったりして、月に一回ほど発行しているよ!」

「ああ、これ入学したときに配られました。クオリティがすごい高くて驚きました」

「見てくれてたんだ!そしたら話は早い!」

「仕事としては、ただ紙面を作るだけだから、あとは部室でも探検してみる?」

対応雑すぎだろ!あとは紙でも見とけって話か。

「あの、一部のなんちゃら役員共!みたいなアニメ特有の部室にコーヒーマシンとかってあるんですか?」

「うーん、コーヒーマシンはないけど・・・シャワーならあるよ!」

はい?今なんて?シャワーって言ったよね?

「シャワーってどういう?」

「見たほうが早いと思うから案内するよ!ついてきて」

俺はあかりに連れられて部室の奥へと案内される。

「ほら、ここだよ!」

あかりは扉を開ける。次の瞬間、扉の少し錆びてくすんだ鋼色に、純白の湯気が広がる。

「きゃああああああああああああ!!!!!!」

「ぎゃああああああああああああ!!!!!!」

「やったぜ。!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

部室中に悲鳴が響き渡る。一部関係ない岡山◯態◯土方の声が聞こえたような気もしたが。

扉の先にはタオルを胸に抱えてかがんでいる少女の姿が。

「おいおいこれってラブコメ特有のラッキースケベってやつじゃねえか。こんな瞬間二度とお目にかかれない。すぐに記録を!!」

ちあきの声が聞こえる。やかましいわ!写真撮ってる場合じゃねえだろ!!


「すみませんんんん!!!」

ちあきがシャッターを切ると同時にあかりの謝る声が聞こえ、ふと、振り向くとさっきシャワーを浴びていた子が着替えている。


「俺どうすれば良いんだよ!」


俺は顔を背ける。

しばらくして振り返っていい合図が聞こえると 俺は目を奪われた。

「これが、学園一のマドンナ・・・・・・」

彼女こそが学園いち可愛いと噂される伝説級美少女、一ノ瀬ひかりだ。


って!学校で一番かわいい素人JKのナマを味わえるとかもっと見ときゃよかった!!

「ちあき、後でその資料としての写真を送ってくれ。別にやましいことに使うのではない。あくまで研究のためだ」( ・ิω・ิ)


「っていいわけないでしょ!!」

あかりの怒号が飛ぶも、ちあきはハンドサインをする。

「りょーかい!!」


俺達は泡と湯気まみれなシャワー室を出て、ミーティング用の机へと向かう。

「では早速ですし、部員全員で自己紹介しましょう!」

「まずは私から!さっきも紹介しましたが古橋あかりです!部活では交渉担当をやっています!次にからぴーお願い!」

「はーい私がからぴーこと唐沢ちあきですー、ちなみに執筆担当なんで以後よろしく」

  (「何だこのグダグダ感とギャップは?!」)

「私が学校1の美少女こと一ノ瀬あかりです。よろしくおねがいします。ちなみに紙面編集を担当しています」

「って自分で美少女って言うな!!」

「みんな画面にちゅーもく!わらわこそが伝説の新聞部員、まりあ様なのじゃ!」

 大音量が聞こえた瞬間、モニター上に人が映る。そこにはいかにも中二病から抜け出せていないような、目には眼帯をつけた女の子が写っている。

「彼女が部長です・・・」

誰かがぼそっとそういう。

「え?!あいつが部長なの!?」

俺は思わず声を漏らす。というか別に誰でも驚くだろ。

「わらわは紙の妖精で、王◯製紙の本社からきた。わらわに逆らうと体中紙で傷だらけにさせるぞ!!ハッハッハー!!!」

「のじゃロリと厨二病と紙の妖精(?)とやらが混在してこれもうめちゃくちゃだよ!

それにお前は王◯製紙のマスコットキャラクターか!」

俺は思う。さっきからあかりさんのノリツッコミ強烈だな!!

「そういうわけなので、よろしくおねいがいします!」

あかりの言葉にみんなは口々によろしくとお辞儀する。

「まだ入部すると決まったわけじゃないですが、こちらこそお願いします!」

俺が言うと、

「え?!まだ入部してなかったの?」

予想外の反応にそのばにいた全員が驚愕する。いつの間に俺入部したことになってんだよ!!

「ちなみに入部届ならすでに提出済みだから問題ありませんよ」    

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