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雁字搦め

作者: 西順

 雁字搦めに雁字搦めだ。何を言っているんだコイツは? と思われるだろうが、事実なのでどうにもし難い。


 私は小説投稿サイトへの小説投稿を趣味としているのだが、日々ネタを探す毎日だ。家の中の身近なものからネット、テレビ、雑誌、家の中で見付けられないと分かれば散歩。それでもネタは出てこないもので、神頼みかと思って神社巡り、そうして音楽を聴きながら散歩をしていると、一曲の歌詞に雁字搦めと言う単語が出てきたではないか。これは使えるのではないか? と、雁字搦めをネタに小説を書こうとした訳である。神様ありがとう。


 そも雁字搦めとは何か? イメージとしては物理的に縄で縛り上げられたり、周りの環境に閉じ込められて身動きが取れなくなるのを想像する。


 由来としては鳥の雁が一列に編隊飛行をする様から、そのように人を縛ると身動きが取れなくなるからだとか、強盛がんじょうと言う言葉から変化したとの説がある。まあ、由来は良いや。


 雁字搦めをネタにして小説を書こうと思い立った訳で、ではどのようなシチュエーションがよろしいか? と想像、いや、妄想を膨らませる訳だが、さてどうしたものか。これがいよいよ難しい。


 学校、社会、親等から、精神的に雁字搦めにされるのも面白い。親や教師、周囲の期待から、テストで良い点を取るように強迫観念に囚われるとか、会社で上司と部下の板挟みになるのも面白い。


 物理的となるとどうだろうか? 思い付くのはやはり縄で縛られているシチュエーションだ。彼? 彼女? どうして縛られているのだろう? 場所は? 一人ではなく二人で縛られているのも面白い。


 すこし考えただけでも、雁字搦めと言うネタは裾野が広く、恐らく殆どの小説に通じているものであると理解出来てしまった訳だが、私は雁字搦めをネタに小説を書くと、もう決めてしまったのだ。ここから逃げる事は許されない。


 雁字搦め……そうだ。学校に強盗団が押し入り、クラスメイトを人質に取られた主人公が、クラスメイトを助け出す話なんてどうだろうか? 人質の中に主人公をいじめていた者もいたりしたら、主人公の葛藤を描けるかも知れない。


 それともやはり社会派な作品が良いだろうか? 首相を主人公にするのはどうだろう? 何とか首相になった主人公だったが、与党の派閥争いや、野党との失敗の許されない国会答弁で緊張感を出すのは面白そうだ。


 ファンタジーはどうだろう? 異世界に勇者として召喚された主人公だったが、実際には人間と魔族との戦争の道具でしかなく、魔族側の事情を理解していくにつれて、戦う事に躊躇いが出てくるのもそそる。


 SFもいけるな。超能力者の主人公は、相手を金縛りに出来る能力を持っているが、その超能力のせいで政府や裏組織などから追われ、じわじわとその包囲網が狭まっていくのをどう逆転するか。


 スポーツものなんて雁字搦めの最たるものじゃないか? かつてトッププレイヤーとしてその競技で活躍していた主人公が、監督としてやって来た学校で、周囲の期待で潰れそうになっている子供を救い、二人三脚で世界を目指すのは胸熱展開だ。


 駄目だ。ネタは出てくるけれど、どうやって雁字搦めに結び付けるか、そればかり考えてしまう。雁字搦めは面白いがそれに固執してもいけないだろう。正に己が雁字搦めに雁字搦めになっているな。もっと小説は自由であって良いだろうに。


 はあ。まあ、これだけネタが出てくるのに、小説投稿サイトに投稿もしていると言うのに、公開に踏み切れない己の未熟さよ。


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