第十八話 保護者会③
「そう、もう高2だよ。隆矢くんも保護者会のために来たの?」
「ええ、息子は高1年。彼のクラスに行くところ。」
「そっか。私も息子のクラスに行かなきゃ。」
ふたりは少し話を交わした後、別れた。
「お母さん、どうして来た?」
「もう、学校が重要視して、わざわざ電話をかけてくれたよ。光野もこんな大事なことちゃんと言わないんだから。あら、まさかやっと反抗期?」
「お母さん!」
「まま、気にしないで。」
「遠いから……」
「私のこと心配してくれるんだね。でも、進学のことのほうがもっと大事よ。」
「さっきの人は?」
「ああ、あの人ね、小さいころから同じ小学校だったの。近所に住んでいるし。でも彼の家庭は私と違うから、放課後はたまに家で遊んだりだけ。このことはお父さんには言わないでね。」
「はい。」
「彼の息子は高校1年生みたい。誰って知ってる?」
高校1年生?いやな予感する。
「知らない。」
光野は学校でクラスメイトとあまりコミュニケーションを取らず、高校1年の知り合ったのは正彦と直人だけで、他の人とは接触するのは学生会の仕事以外はない。
「でも、おじいさんと彼のお父さんは知り合いのようだよ。たしかどちらかが娘を生むなら結婚するって言った。ただし、両家とも男の子を生んだんね。」
でた。政略結婚。
「残念なこと。」
「そうだよ。でもそうなら、お父さんには出会えないからね。」
二人は話しながら、教室に向かった。直人の親は学校に来ることができなかったので、彼は自分で保護者会に参加しかできない。
「こんにちは。」
「私は黒田正彦の親です。」
じいさん?!
直人は若い頃の隆矢を見たことない。彼の印象の中のおじいさんは、白髪の頭で、いつも優しい笑顔を浮かべている。今日のように真剣な表情も見たことがない。
じいさんはいつも自分の甘える断らない。これが孫の特例かも。隆矢が近づいてくると、直人は喉をごくりと鳴らった。
普段、学校は生徒の恋愛問題には干渉しない。しかし、ABOの世界では、学校がAOから起こる問題が法廷に差し掛かる事例もいくつかある。そのため、学校は厳格な管理を行っており、教頭の鬼塚先生も、現在生徒がゆるい状況で恋愛中の生徒を摘発しやすのを知っている。
直人は窓から鬼塚教頭が数人の教師を連れて通り過ぎるのを見て、不吉な予感があった。保護者会がまだ始まっていない間、彼は教室を抜け出した。




