第十七話 泥棒⑤
「いや、子供嫌いじゃない。」
「嫌いじゃない?それは子供が好きという意味?」
……好きというほどでもない。
直人は忘れていた。今の光野は16歳しかいない。未成年の子供にとって、これは試験問題よりもずっと難しい問題だった。
「母と一緒に寝たこともない。」
少なくとも、子供嫌いじゃないことがわかった。直人は心が軽くなった気がして、小さな声で甘えるように言った。
「ん?何言った?」
「い、いや、なんでも。……光野、この世に幽霊がいると思う?」
「僕は科学を信じる。」
光野はリラックスしていた体を再び固くした。
「そうか、前の俺も霊とか信じなかった。」
「今信じた?」
「うん、今後はタイムトラベル漫画も真剣に読むから。」
この子の話しは時々合わない。光野は元々観察力が鋭く、感受性も豊かだった。直人から受ける印象は非常に特殊で、前も田中の名前が知るとか、細谷に対する敵意などを感じるとか。
そして今、タイムトラベルの話題になる。何の意味だろう?彼自身が経験したことがあるのか?じゃ、彼は誰?
光野は自分が考えすぎていると思った。額の辺りを指でつまんだ。
まだ電灯はついていない。夜なので、昼間ほど暑くはなかった。
「痛い!手がつつかれて傷だらけになっちゃったよ!」
「これ、なんの鳥?凶暴し過ぎじゃないか!」
山崎と稲葉は廊下で激しく罵り合っていた。実は、4人が外に追い出した後、何の幽霊も捕まえられず、鳥が宿舍のドアをノックして入ってきたところ、大きなオウムが会った。最近宿舍で失くした物はすべて、そのオウムの巣に見つかった。結局、物を失く元凶はこのオウムだった。
宿舍にいるのはオウムの飼い主のルームメイトだ。彼はそのオウムの飼い主が家庭の事情でもう3週間学校に来なかった。彼は餌をやるだけ。
この鳥は結構な数の物を盗んでおり、正彦のラブレターも含まれていた。
「どうしてまだ電灯がつかないんだ?」
大関は上を見上げて廊下の灯りを見たが、まだ真っ暗だった。
「正彦、お前の部屋に水あるか?ちょと…」
山崎が宿舍のドアを押し開けると、中は静まり返っていた。山崎は声を出すのをやめた。
正彦はまず光野と直人を見に行った。山崎は正彦の顔色がおかしいのを見て、近づいて一瞥を投げた。
直人が光野のベッドで寝ている。そして、直人の隣には光野が寝ており、2人は寄り添っている。まるで2匹の寄り添う小猫のようだ。すでにかなり長い間寝ているようだった。
直人の顔は今、正彦のようではないが、眠っている時の雰囲気は似ている。
「!!!!」
後に続いた大関と稲葉は、この光景に衝撃を受けた。




