第十七話 泥棒③
正彦は玄関の扉を開け、左右を見回した後、左に走り去った。
「待って、お前らも早くついてこい!」
「本当に行くの?」
稲葉と大関の2人が山崎を見つめた。彼らは外に出て廊下を歩いた。廊下は暗く、街の明は5階まで届かない。山崎は正彦を追いかけて遠くへ走っていった。稲葉と大関も山崎について行くしかなかった。
3人はすぐに正彦の近くに追いついた。正彦は523号室の前で立ち止まった。その鳥は窓からこの部屋に飛び込んできた。
「あれ?直人は来ないのか?興味満々の様子だけど。」
「怖いから。」
答えたのは正彦だ。
稲葉は直人がクローゼットを開けてや刺激を求めてこっくりさんを遊ぶ姿を思い出し、彼を「怖がり」と結びつけるのは難しいと感じた。山崎は左右を見回した。
「木村は?彼も来ないのか?」
「質問が多いな。」
正彦が言うと、2人はすぐに黙った。
部屋の中には、直人と光野だけが残った。
停電は面倒だ。懐中電灯だけでは一部の角を照らすことしかできない。光野大部分の体は暗闇の中にあった。直人は彼の勉強机にうつ伏せになり、光野の輪郭を見つめ、心の中が甘くなった。
「なんでじーっと見てるんだ?」
光野最初は少し怖かったが、直人にそんな風に見つめられているうちに、注意がそらされた。彼は直人が自分にくっつくのが好きだと知っていたが、その理由はわからない。普通なら、山崎たちの反応が正常だと思い、自分を避けて歩くなど。
直人の視線は純粋で、彼が自分のことを好きだとわかる。ただし、カップルの好きではない。光野自身も理解できない。彼も直人に対して他の人より優しく接している。理由は言えない、なんか自然な感じだ。
「俺?君を守るんだ!」
「ふっ」
光野の笑顔がきれいだ。
ただし、残念なことに、部屋が暗すぎて直人の表情は見えなかった。彼は自分の喧嘩能力が侮辱されていると感じた。
「信じないのか?俺強いんだぞ!」
「必要ないよ。僕も男子だ。」
直人は何か小声で言ったが、光野には聞き取れなかった。しかし、今の状況もなんだか変だった。直人は正彦に呼ばれて彼の側に残った。この奇妙な展開は、まるで家族3人の話ようだ。夜で父は安全のため外で検査、息子が……で、自分の役割は?母親か?
光野はまた鳥肌が立った。最近、彼の身体の鳥肌が異常に活発になっている。
直人は机の上にうつ伏せになってあくびをした。
光野は頭を振って、さっき奇妙な考えを振り払った。彼は携帯を見て、もうすぐ11時になると気付いた。
「眠いなら、帰って寝る?」




