第十六話 こっくりさん③
それはお化け見たより恐ろしい話だ。
直人は正彦の脇腹に入り込み、自慢に白い紙を取り出した。その紙には五十音図、1-10の数字、26の英文字、そして「はい」「いいえ」という文字が書かれており、最近流行ってる改良こっくりさん用の紙だ。
「ジャンジャン!それじゃあ始めようぜ!」
「泥ぼを捕とこっくりさんは何の関係があるんだ。」
自分でホラーゲームやりたいだけじゃないか。一緒に来た稲葉はツッコミした。
正彦は反対しなかった。彼は光野が霊を怖がることを知っており、ちょうど直人の話を利用して彼を驚かせるのを考えた。山崎も理解できなかった。彼の印象では、泥棒は人間であり、こっくりさんで召喚したのは人間ではないはず。
「NO、NO、NO。」
直人は一本の指を差し出して揺らした。
「不思議じゃないか?物をなくなった人は少なくないのに、泥棒が見つからない。もしかしたら泥棒が人じゃない可能性はないか?」
宿舍に入ってきた人たちが再び顔を見合わせた。正彦は落ち着いて壁に寄りかかって、直人のたわごとを聞いていた。
「噂によれば、こっくりさんは何でも知っている存在だ。なぜ彼に聞いてみないのか?」
なるほど、その通りだ。
直人は正彦に向かって顔を向けた。
「光野はどこだ?本当に寝てる?」
自分の名前を直人が呼んでいるのを聞いて、光野は毛布にくるまって少し身を縮めた。彼は毛布で頭を覆い、まるで亀が甲羅の中に隠れるような状態だった。
正彦はわざと首を伸ばして光野の部屋を見て、今日はドアを閉めていないことに気づいた。恐らく彼はかなり驚いているのだろう。
「ゆ、優等生ですから。普通は早寝ではないですか。期末試験も終わったし……」
稲葉は正彦の顔色を見て、理由を探した。彼本当に言いたいことは、光野を探すのをやめろ!彼は学校で有名な氷山だ。部屋全体の温度が下がるくらい冷たくなったぞ!まさか正彦と光野が部屋でケンカをしたいのか?いいのか!
正彦と直人はよく光野と接触しているから、光野は氷山のように思わなかった。
まあ、最初は光野とはあまり知り合い時、直人が確か彼は自分の母親と似てないとか言っていたけど。
しかし、光野と知り合いではない人たちはそうは思わない。彼の存在には少し怯えている。
「分かった。じゃ俺たち自分でゲームする。」
「ゲーム?泥ぼを探すんじゃなかったのか。」
「ああ、そうだ!泥ぼを探すんだ!」
直人は自分の言い間違いに気づき、真剣な顔で質問する正彦に向かって頷いた。
直人は興奮しているようだ。光野は毛布の中で身を縮め、目を閉じて、部屋の外に広がる奇怪な雰囲気を無視しようとした。




