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モヒトは酒じゃないⅠ  作者: 清蘭
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第十五話 発見された⑤

 名田高校の期末試験が終わると、必ず一度、保護者会が開かれる。その目的は優等生に大学進学を促し、成績が理想ではない生徒に勉強を促すことのためだ。




 高一の時、光野は何も話さず、養父母も来なかった。成績が優秀であり、学校も干渉しなかった。しかし、今年は高二で、将来の進学に関わるため、光野も学校の優等生だ。学校は特別に光野の父親に連絡を取った。ただ、光野本人はそのことを知らない。




 保護者会には期末試験の成績が必要であり、試験完了後三日、生徒たちは学校に戻る必要がある。学校から遠く住んでいる生徒たちは寮に泊まることができる。正彦と光野も家に帰らず、寮に住んでいる。光野は三日後になってから担任に両親が忙しくて、保護者会を参加しないことを説明するつもりだ。




 直人は保護者会についてはあまり気にしていない。彼の実親はまだ高校生だからだ。それに、この世界体の母は海外におり、生活費を送金するだけ。彼の生活にはほとんど干渉しない。




「ハアー」




「なんだ?」




「お前みたいに親に成績を気にされてないのは何人いると思う?」




 山崎は白目を向いた。確かこの時、直人のように親にあれこれ言われない状態が羨ましい。




「そうだ、最近正彦見かけた?」




「いや、病気だと聞いた。」




「病気?」




「胃痛らしい。」




 胃痛と聞いて、直人の口元がぴくりと動いた。アイス食べすぎか。




「お前ら同じ寮に住んでるじゃん?見舞いに行かないのか?」




「正彦はAlpha棟に住んでるから、俺入れない。」




 そうだ、直人はOmegaだ。




「そういえば、お前らの寮の向こうに公園があるよな?砂場もあるやつ。」




「ああ、そうだよ。」




「その公園、心霊現象がありそうだ。」




 光野は最後の試験を終え、寮に戻る途中だった。前方に見覚えのある姿があった。歩みを早め、直人を呼び止めようとしたが、偶然にも彼らの会話を聞いてしまった。彼はその場に固まり、直人を呼ぶのも口に出さなかった。




「えっ、マジで?」




 光野とは違い、直人は興奮していた。




「Twitterに書いていた。何年前に、あるOmegaが愛人に殺され、砂場に埋められたって言ってる。そのOmegaは学生で、学寮の5階に住んでいたらしい。」




「5階?」




「そう、4階に住んでる奴らが夜に天井から怪しい音を聞こえるって言ってるし、5階に住んでる奴らも物がよくなくなるって言ってるんだ。」




「それって泥棒じゃん。」




「逆に泥棒が捕まらないから心霊現象の噂が立つんだよ。」




「お前、何階住んでる。」




「5階。」




「……で、物なくなったことあった?」




「ない。」

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