第十四話 胃が痛い③
「きみは……黑田さん?」
ん?
トイレから出たところで、看護師が彼の名前を呼んだ。看護婦は彼を上下に何度か見た。こんな風に見られるのは気分が悪い。
失礼だな。
「黒田だ。なんだ?」
看護師の態度が悪いので、直人の語気もよくない。その看護師は口を押さえて急速に首を横に振って、それから遠くに走った。変な看護師。自分の顔が怖いのか?直人は振り向いて鏡を見た。相変わらず、皮膚は栄養不良な白、顔色は以前より少し赤くなったように見えた。
直人は疑問を持って席に戻た。この時、光野も診察室から出てきた。報告書にはすべて正常だ。細谷は彼らを寮の階下に送って、元々何を言いたいようだが、直人警備する目の下で何も言わず帰った。
正彦は朝起きて、光野は歯を磨いていた。
「再診は大丈夫?」
光野は口の中の水を吐き出し、うなずいた。
「今日の試験用具は用意した?」
正彦話を聞いて、今日が期末テストの日だとを思い出した。前回のペンは山崎借りた物。
「学校へ買いに行けばいい。」
やはり用意しない。光野はそう思って、あらかじめ用意していた。正彦はペンケースを振った。
「命を救う恩が足りないだろう。」
「死にたい?」
「アイス、3本。昨日買わなかった。」
直人が学校に着くと、机に動きがあり、教室にも知らない人が現れた。直人は教室を出て、よく見た。高1 B組、自分のクラスで間違いない。
「何すんだ。今日の試験場はここじゃないぞ。」
試験?直人は壁のカレンダーを見た。今日は期末テストの日!やべぇ、昨日あの隣人のせいで、すっかり忘れてた!
「場所は高2 B組だぞ。」
山崎は直人が驚いた顔を見て、好意的に再び注意した。学校はカンニングを減らすために、試験場の座席を高1と高2混ぜて配置した。直人は昨日の午後、何かの抽選があった。で、試験席の抽選だったのか!
「山崎、ペンを持っていない。貸してくれ。」
「は?昨日正彦はあんたのかばんを持って帰ったではないか。」
「かばん?くれなかったぞ。まあいい、どうぜかばんにはペンがないから。」
「だめ、これは正彦のために用意したものだ。」
「は?」
その時、正彦はアイスを食べながら教室の前に出た。
「正彦、試験場はここではない。高2A組にいる。」
「知ってる。」




