第十三話 甘える④
正彦に2度噛まれて以来、歯形が長時間消えない症状はなくなっていた。今そこには凹凸がない。歯の跡は今までになかったようだ。
前回の仮標記まで二週間以上たった、体内正彦のフェロモンは薄れていった。今日学校に行ったとき、もう胃がむかつくような感じがあった。これは他のalphaフェロモンに対する拒絶反応だ。しかし、前回の気まずさに、光野はどうしても口を開けられなかった。
もういい、先に遮断剤を使って、本当に堅持できないときから言っていく。
光野はベットで寝ている。正彦はドアを閉める習慣がないようだ。隣部屋ラム酒のまろやかさがドアの隙間を通って入った。光野は寝返り眠れず、布団をめくって起き上がった。
寝ているかどうか確認しよう。
光野は電気をつけておらず、ドアを開けた。正彦の部屋の電気は消えていた。光野は正彦の部屋前に立って、相手の均一な呼吸音を聞こえてきた。
…寝ちゃったみたい。
光野はさらに奥へ歩いた。廊下小さな夜灯が灯っている。その薄暗い明かりを借りて、光野は正彦の顔が見えた。さっき彼がアイスを食べていた姿を思い出した。
直人と似てる。
何を考えてるだ。まったく理不尽とおとなしく可愛くて、どこか似ている。
正彦が眠っているのを見て、光野は帰るとした。すると布団の中からひょっこりと手が伸び、光野の腕をつかんだ。
「たぬきねいり?」
正彦がぐいと前に引っ張ると、光野は心の準備ができておらず、彼の懐に飛び込んだ。天地が回転し、光野が目を覚ますと、すでにベッドで横たわっていた。正彦は足を曲げて彼足の間に挟まっていた。
「夜中に俺の部屋に来て、期待を返事ないとできないだろう?」
この卑しいせりふ。光野は無表情で正彦を見ていた。突然、彼は足を上げた。正彦は悲鳴もあげずにベッドに転がった。
「寝たふりをして、このセリフのため?中二病か。」
正彦は痛くて起き上がれず、腹を押さえたまま悲鳴を上げただけ。
「病人にはひどいだろう!」
「痛くないと中二病は目覚めないから。」
「いたいイタイいたい。」
正彦は腹を押さえてベッドの上を転げ回った。
「もう一脚あげるか。」
「腹にもあざができた。アイス買わないと。いや、1本は足りない、2本だ!」
「幼稚園かお前。」
まだこんなこと覚えてる。いったいいつ直人がアイスを食べているのを見たんだ。自分はまったく気づかなかった。考えていた光野は、手を伸ばして下腺体を触った。
正彦は彼の動きを見た。
「手伝う?」
「……」
「明日はアイス2本、いや3本、3本買ったら手伝う。」
また増えた?3本?食えるのか?いったい何を比べている。




