第十二話 僕も寮に住む③
「寮に住むの?」
「うん。やはり賃貸より寮の方が安全だ。」
「いいはいいだけど。」
光野は雅子の心配そうな顔を見て、心中の柔らかが触われた。
「学校の寮はalphaとomegaがそれぞれ2棟に住んでいる。、警備員もいるし、大丈夫から。」
幸い、首の歯の跡は薄くなっていて、入院した一週間は仰向けて寝るから、何も見えなかった。
直人が退院する日は、ちょうど光野が寮に引っ越してきた日だ。
「光野?どうして来たの?」
「寮に引っ越すから、ついでに送る。」
直人が退院手続きを終え、荷物を片付け途中、光野は病室に入った。彼は直人のカバンを持って、一緒に階下まで歩いた。その時、出口で待っていた男性が光野手の中の荷物を受け取った。
「あれ?田中さん?」
今回運転したのは、前回光野誕生日を迎えに来た田中だ。幼い頃から直人通学を迎う田中だ。彼は15年後より若く見える。直人の言葉が口をついて出て、光野はその場に呆然としていた。反応した直人も冷や汗びっしょりで、確か、おふくろは田中を紹介したことないようだ。
「知り合い?」
「いいえ、お友達と会うのは初めてです。」
短い沈黙の後、光野はまず田中に尋ねた。田中も知らないと丁寧に答えた。
「直…」
「わあ、本当に田中さん?」
「?」
「セバスチャンは無理だと、田中かもしれないと思った。まさか本当に田中さんとは。」
「セ、セバ…ス?」
「あっ、アニメのネタ、とか。」
直人が何を言っているのかはわからないが、アニメの中のある人物のはずだ。正彦と同じ、アニメが好きだ。なぜ正彦を思い出す。光野は首を振った。さっきの直人の表情は、明らかに田中を知っている、でたらめではないはず。親近感は人をだませない。光野はその怪事件を覚えた。
車の中で、直人は光野の目を直視できない、話題を変わりたい。
「えーと、何号室に住む?」
「ん?512。」
「512?マジ?俺は511!」
母が自分の隣に住むとは思わなかった。これから用事がなければおふくろと一緒に登下校して寮に帰ることができると思うと、直人は幸せと感じた。病院は寮から遠くない。すぐに寮に着いた。
直人は寮の階下に出て、光野と話すると振り向いたが、後ろに誰もいなかった。左右探してみると、1棟の入り口に光野がいった。光野は警備員に証明書を見せ、直人に手を振って上の階を指してから、階段を上がった。
えっ?1棟?そっちはalphaの住所では?




