第十二話 僕も寮に住む②
「帰れるさ。」
「でも、その時…」
「必ず帰れる。」
正彦は光野を力を入れて抱いた。光野が泣いている。自分のために泣いてんのか?いや、それはないだろう。夢だよね。それが夢だと気づくと、目の前の画面がぼやけ始めた。彼はまばたきをして、目の前は真っ白な天井だった。病院の天井。
「直人?直人?」
側で誰かが呼んでいるのを聞いて、直人は首を傾げた。光野だ。直人は光野をじーと見ていた。光野の目は赤くなり、明らかに泣いたことがある。自分のために泣いているのか?
光野見直人は座って自分を見ながらぼんやりした様子を気づいた。まだ自分がどこにいるのかを反応していないだろう。光野は手を伸ばして頭を触り、立ち上がって呼び鈴を鳴らした。直人は突然立っていた光野を抱きしめた。おなじみミントの味。直人の目を熱くなった。
「おふくろ…」
腰が熱い液体を濡れたと感じた光野は、直人が甘えてははを呼ぶのを聞いた。母親を会いたいだろう。そう思った光野も直人を抱き返し、背中を軽く叩いて慰めた。
「学校からお母さんに電話したが、彼女は帰る暇がない。」
光野の心が痛めている。養父母ではあるが、学校が連絡すると、おじさんはすぐ手にしていた仕事を置いて病院へ行った。目を覚ますとき、おばさんも緊張して、自分の隣にいる。彼女目の下のクマは、昨夜一晩中寝ていなかったことを訴えている。逆に直人を見ると、実母が電話を受けたのはイライラした様子だった。
「光野。」
「ん?」
「母は私を嫌ってるね。」
「そんな。自分の子供を嫌う親がいるものか。。」
そう言った光野は自分の親を思い出した。彼の心はちくりと痛む。直人は顔を上げ、光野を見た。
「光野は?もし子供ができたら、彼のことが好きになる?」
「もちろん。なぜ好きないのか?」
光野は直人を慰め、頭をなでた。脳内は自分の母が発狂の様子を回想して、心臓の痛みは止まらない。その時の彼は、なぜ直人にこんなに親しくなったのかわかったようだった。両親の愛という点では、彼らはよく似ている。
正彦が医者について病室入った時、見ていたのは慈母の姿だった。光野は目じりが柔らかく、懐の直人を小声であやしていた。その優しい姿は、正彦が見たことのないものだった。
光野は今日退院できるようになった。しかし直人はまだ出られない。直人のめまいはまだ完全には消えていない。正彦はおかしいと思った。光野の中毒症状は直人より深刻で、逆に回復するのは直人より早い。目が覚めるのも直人の前だ。正彦の疑問に、医者はこう答えた。直人の体が弱く、前は栄養不良もあり、免疫力が弱くて、回復も遅い。
直人は、自分の回復が遅いのは、この体が借り物だ。魂と体が不一致の原因だ。そう考えた彼はあまり気にしなかった。彼にとって、正彦と光野の関係は前よりよくなっているのは最大の収穫だ。




