第十二話 僕も寮に住む①
「急げ、乗せ!」
その時、入り口から人が飛び込んできて、濡れたコートを直人の頭の上に置いた。彼は光野を背にして玄関へ走った。正彦だ。
ようやく来た。直人は濡れた服を引っ張り、興奮した彼は呼吸も激しくなった。熱い空気は煙とともに肺に吸い込まれる。鼻腔から肺までじりじりして、直人はむせて咳をした。
正彦はまっすぐに立っている直人を見た。アホか!
「蹲れ!」
直人がしゃがんだ後、正彦は濡れ服を直人の口鼻を隠し、光野を背にして再び玄関の方へ歩いた。直人も正彦の後を追って炎で埋め尽くされた門を飛び出した。
消防隊はもう着いた。彼ら3人が出てくるのを見て、すぐに車に乗せて、病院に送った。赤と青の明かりが点滅する中、直人は救急車に乗り込んだ。
「どうですか?」
「一酸化炭素中毒だ。幸い寝る状態で、それほど吸ってない。」
救急車の医師が光野に酸素マスクをつけた。直人は車に乗り込むとぼんやりし、耳鳴りもひどく、正彦と医師の会話はほとんど聞こえなかった。さっきは暑すぎて熱中症かも。直人はそう考えた。
正彦は急いで光野を救急室に送った後、直人がそばにいないことに気づいた。彼は救急室から救急車まで探したが、結局直人はどこにもいない。
「何を探す?」
「さっき一緒に車の中にいた友人。」
「救急室に行ったよ。」
「いいえ、もう一人だ。全部3人で、救急室に行かなかったのを…」
「全部行ったよ、二人とも。あの子も一酸化炭素中毒で昏睡状態になった。」
な?正彦は救急車の運転手の話を聞いて瞳孔が収縮し、すぐに病院のフロントに駆けつけた。
「黒田直人。さっき救急車で運ばれてきた、どの救急室。」
「少々お待ちください。黒田直人さんですね。」
「はい。」
「黒田さんは深刻ないので、救急室にいません。3階27号室にいます。」
正彦はほっとした。すぐ病室に行った。直人は酸素マスクをついてベッドに寝ている。大丈夫そうだ。正彦は再び階段降り、救急室の前で待っていた。やがて光野は押し出され、直人の隣のベッドに配置された。
直人は夢を見た。光野関する夢だ。いいえ、はっきり言うと十五年後の光野だ。
光野は泣いている。
「もう3か月、彼はまだ目覚めない。もうしかしたら…」
「しないから、考えし過ぎないで。」
場所は病院庭の木の下。場所は直人がよく知っている。彼が子供の頃に通っていた病院にはこんな木があった。正彦は光野を抱きしめ、光野は悲しく泣いた。正彦が光野の背中を軽く叩いて、頭の中がひらめいた。
「忘れたのか、彼のこと。」
それを聞いた光野も何かを思い出したそうだ。
「でも、本当に帰るのか?」




