第十一話 何か忘れたような③
「お待たせしました。ステーキセットBです。」
さすがスポーツ部の人気店、値段も安くて量も多い。大きなステーキを見ていた直人はさらに腹が減った。鉄の皿は肉の香りを帯びて、滋々とした音を立てている。直人は待ちきれず、鉄皿の周りの油止め紙を開けるとした。
「熱いぞ。」
光野は直人の手を押さえてもう少し辛抱強く待たせた。油が出なくなってから、光野はその紙を取った。直人はすぐナイフとフォークを持って牛肉を切った。鈍いな、この刀。直人は考えながら牛肉を強くカットした。
直人はおばさんがナイフとフォークを教えてくれた時の言葉を思い出した。彼女自身のナイフとフォークの使い方は光野が教えた。そこで直人はわざと何度も刀を鉄皿に当てて刺す音を立てた。やっぱり光野は見てられない。
「持ち来い。」
「あっでも…」
「すみません。はい、セットBのライスです。」
直人はもう少し話したいが、店員は大盛りのご飯を持ってきた。Good job。直人は店員の料理を出すタイミングを賞賛した。
光野の動作は優雅だ、少しも音がない。あつあつご飯の香りに直人はよだれを飲み込み、光野が切っている肉をじっとした。光野は直人をちらっと見た。なぜか、直人の空腹を我慢する姿にかわいそうと思った。光野は直人のご飯に肉を刺した。
「先に食べて。」
「箸がない。」
光野はテーブルの上を探して、確かに箸を置く筒がない。仕方ない。光野はそう思って、一枚の肉を直人の口に押し込んた。
おふくろのご飯をあげ!!
直人は目を輝かせた。彼はわざと声を出して、光野にステーキを切ってもらおうとしただけだが、意外な収穫があるとは思わなかった。光野は直人が食べていた口角が上がり、嬉しさと興奮でいっぱいだったを観察した。
「そこまで美味しい?」
「んんんん。あー」
直人は返事しながらうなずいた。口の中の肉を飲み込み、再び口を開く。光野は直人の反応を見るたびに気分が良くなり、再び肉を冷まして直人の口に入れた。
直人は嬉しそうに食べていたが、正彦は見ていて心がつまった。
山崎は驚いて、動きもできない。学校で光野の笑顔をあった人はいるか。ない!光野がステーキを切ってくれるのをあった人はいるか?ない!光野がご飯をあげるのをあった人はいるか?ない!
俺どうする。直人の方の雰囲気は明らかに入れない。いま家帰った方がいいか?山崎は助けを求めて正彦を見た。結局正彦は鍋の底と同じ顔をしていた。
何があったんだ、神様、助けて!今の状況を見れば、光野は直人が好きなように見えるよ。しかし正彦の悔しそうな表情して、光野を睨みつけている様子だぞ。まさか彼も直人が好き?三角関係?
「お待たせしました。エビフライ定食です。ごゆっくりどうぞ。」
ステーキはカットした。直人は光野から渡されたフォークを持って食事を始めた。この時、光野の定食もやってきた。




