第十一話 何か忘れたような②
ため息をついた光野は、再び向きを変え、直人を引っ張って正彦の方へ歩いていった。山崎見が振り向いたのは光野で、自分の冗談が良くないと意識した。彼はお尻を壁側にずらした。
「一緒に乗らない?」
山崎と正彦は店に入った最初のテーブルに座っていた。光野は別の席に座ろうとしたが、通りかかったとたん、正彦に腕をつかまれた。正彦は光野の首を一目見た。
光野は歯を食いしばった。自業自得だ。なぜこの人に2年間ホルモン借りるのを探すんだ!よりによって二回噛まれて、他のalphaに対する拒絶反応がもっとひどくなって、簡単には人を変えない。
結局仮標記が終わった後、自分は彼を殴って出した。この2年間正彦は借りるか借りないか、明確の答えも得られなかった。
光野は顔を冷まして座った。この態度、どう見ても本人が書いたラブレターではないだろう。
「俺はステーキsetBで。光野何を食べてる?」
よくも注文できるな!山崎は2人のオーラを見て、全身冷や汗をかいた。箸を持って食事をする勇気もない。直人は母親と二人きりで食事をする機会を破壊されたのは嫌が、両親と一緒に食事をする機会も少ない。それに今回も親を取り結ぶ良いタイミングだ。直人は自然に受け入れた。
「何でもいい。」
「了解。」
正彦と光野が睨み合い、悠然と注文する直人の姿を見て、まるで親ケンカ。ないないないない。山崎は自分がおかしいと思った。直人が手を上げると、店員はすぐに歩いてきた。
「ステーキsetBと鮭定食。」
「申し訳ありませんが、鮭定食はもう切れましたので…」
「そうかじゃ…」
「サバの定食はいかがですか。今日はサバが新鮮ですよ。」
「だめ。彼はサバ嫌いだ。エビフライ定食にしよう。」
「かしこまりました。」
直人が注文終わって、お冷を飲んだ。光野は正彦を見ておらず、むしろ自分を見ていた。
「ん?」
「サバ好きじゃないってなぜ知ってる。」
直人は口を開けたが、どう説明すればいいか分からなかった。母はサバが好きじゃない。これはおばさんが言ったことだ。おばさんが自分に言った後、直人は毎回光野の注文内容を観察していた。彼は何が好きなのか、何が嫌いなのか、自然にわかってきた。
「まあ…ツ、ツイッターで見た。うん。」
「そうそう、ツイッターではよくある。そういう話題。」
直人はようやく理由を思いついた。机の下で向こうに座っていた山崎を足で蹴った。山崎はすぐに分かって、一言言ってくれた。
光野はおかしいと思ったが、結局何も言わなかった。




