第一話 15年前へ戻る⑤
「黑田?だい、大丈夫?今日はへ、変……」
黒田が長い間悩んでいる様子を見て、その気が弱い男の子も話かける勇気がない。彼は黒田がずっと黙っている様子を見て、勇気を出して黒田のと話かけた。黒田は彼の声を聞いてから思い出した。彼と一緒にいた男の子の名前はまだ知ってない。そう考えると、頭の中にかすかな痛みが出った。破片ような記憶が頭の中に現れたようだ。その記憶の中に井上文雄という名前がある。
「井上文雄?」
「えっ?あ、はい。」
マジでこの名前だよ。のび太のほうがもっと似合う。しかし、今の黒田はツッコミの気分がない。自分が15年前の世界にいると証明できる方法はある。それは、2007年の親と会うことだ。人が成長するが、性格と顔はそんなに変えられない。
「連れてこい。」
「?」
「黒田正彦に会うんだ!」
「えっ?で、でも、同じクラスいるじゃ?」
「?!」
「彼は今学期転校してきたばかりで、海外から帰ってきたそうだ。」
黒田はもう立っていられない。すぐ走って自分のクラスに戻った。高1 B組。記憶の中のクラス番号だ。井上文雄はクラスに駆け込んでいったが、クラスには女子学生数人集まって弁当を食べているだけ。彼は黒田がまだ人探しようで、前に歩いて彼の袖を引っ張った。
「いないみたい。」
「じゃどこに?!」
「し、知らないよ。彼は風紀委員長で、た、多分、学校巡りとか……」
「ちっ。」
黒田は舌打った。元々はおふくろに会えたいだが、今朝会う場面を思い出した。その何の温度も持たない目と表情は黒田に印象深すぎて、探しに勇気がない。その原因で先に黒田正彦に会うと考えた。しかし黒田正彦は教室にいない、嫌でも、先におふくろと会うしか。
「木村光野はどこにいる?」
「うん?あ……この時間、学生会かも?」
「じゃ学生会に連れ!」
「えっ?」
「用事ある?」
黒田は習慣的にのび太、いや井上の襟をつかんで、振り向いて教室を出て行こうとしたが、教室の入り口で冷たい声が再び届けた。黒田はそのまま硬直した。木村が教室ドアの前に立っている。感情のない目は冷たく、黒田の体に落ちている。
「うは、木村先輩だ!」
「えっ!どこどこ?きゃ、かっ、カコイイ!!」
隣でお弁当を食べている女の子のギシギシとした声が耳元に届いた。黒田はすぐ彼女たちをにらんだ。まだ確定していないが、彼は俺のおふころの可能性が高い!誰がセクハラするとぶっころすぞ!
「用事ある?」
木村は再び質問をした。目は黒田から移らない。その目は温度がない、彼に見られると雪の山に立っているようだ。用事ある。すげーある。あんたの妹の名前を聞きたい、両親の名前も、それに住む場所も、そして……
「あ…はい…いいえ…」
しかし、その温度のない目を見て、黒田は急に口を開いた勇気がなかった。どうやって聞く?俺は2022年から来た。今年12歳、木村先輩の息子かもしれない、母かどうかを確認たい?自分が15年前に戻ったことを確かめたい?
もしそう言ったら、木村に二度と会えないだろう。そして、自分は精神病院に送られるに違いない。