第八話 犬にかまれた②
正彦は頭が混乱し、理性が消えていくのを感じた。彼は家で訓練する期間、そこまで影響できるフェロモンを会ったこともない。焦り、イラ、かゆみが心の中に集まっている。
光野は牛乳のままを抑制剤飲んで、地面に座って体力回復を待っていた。彼は発情を抑えるのを精一杯で、正彦の変化は完全に気づかない。
光野は目の前が暗くなって、体が引っ張られて反転した。両手がバイスで挟まれたようだ。熱い大きな手が、自分の冷たい首にくっついた。そこは腺体ある場所だ。
「!」
Omega敏感なところが触れられ、光野は身体をひねって抵抗する。手首からの痛みは光野抵抗の動を止めさせた。熱い手は自分の腺体をつままれた。ジリジリの痛み、光野の体が震えている。心が怯え始めた。
「正彦、目を覚せ!」
熱い手が腺から離れた。手よりもっと熱く舌がついた。
「正彦!!!」
光野は普段の冷静さがなくなた。震える悲鳴におびえた泣き声を染めた。鋭い歯が腺体を擦り付ける。光野は抑制剤が効いたと感じ、体は徐々に力を取り戻していった。彼は反抗を始めた。
光野の反抗を感じ、正彦はすぐフェロモンを放たれた。完全に回復していない光野が抵抗できないほどの強力な占領性。硬い歯が皮膚を突き破って、ラム酒はレモンの酸を帯びて体に侵入した。痛み、と生理的な心地よさ、光野の涙は目からこすらせた。
仮標記が終わり、正彦の理性は徐々回復した。身周りのフェロモンが薄くなると気づいた光野は体を動かした。
「起きろ。」
声がかすれて力がない。正彦は光野の声を聞いて、自分が重大な過ちを犯したのを気づいた。すぐ体の下敷きになっていた光野を離した。
「俺…」
犬にかまれた。
光野は手を伸ばして腺体に刻まれた歯の跡を触った。人を殴る衝動を抑え、深呼吸した。
「黒田家の抑制訓練はそれだけか。」
正彦は反論したいが、光野冷たい目を見上げ、また口を閉じた。いずれにしても、今回は確かに自分のせいだ。
「仮標記しただけ、2週間後には消える。」
どういう意味。Omega番や標記などを大切にしているでは?正彦は驚いて光野を見ていた。光野は静かに立ち上がり、服を片付け、食べかけの弁当を手に取て、教室に戻る準備をしていた。名田学校の制服はスタンドカラーで、ちょうど腺体の位置を隠せる。
母と子がつながっているのかもしれない。直人は昼からずと落ち着かない。彼は振り返って正彦を探したが、正彦はいない。彼はまた高2の教室に駆けつけ、光野もいない。音楽部、生徒会、体育館、どこにも二人の姿は見当たらない。光野にメールしても返事がない。
直人は教室でそわそわしていた。午後の授業前、正彦はやっと教室に戻った。直人は正彦の顔色が悪いのを見て、もっと不安になった。
まさかおふくろとけんかしたじゃ。
5限が終わり、正彦は教室を出た。直人は携帯を取り出して、再び光野にメールを送る。




