第七話 補習も感情の増幅剤である⑤
光野は直人がカバンから出した答案用紙を受け取った。
0点。
光野は息苦しさを感じた。目を下に動かして、答案用紙全体が空白だ。
「真っ白?」
「はい。できないから。」
「...」
「...」
その「オヤジ」は正しい!もし同じ年じゃないと、本当にあんたらが親子だと疑う。まじめの光野もツッコミ止まらない。直人が真剣な顔を見て、光野は彼に言わない。今日補習準備した内容を、もう一度直人に説明しかない。幸い、直人は正彦よりも協力的で、受け入れ能力も速い。
時の流れは早い、まもなく13:30になる。光野はかばんを片付けて家に帰る準備をした。
「あの、家にカレーがあるから、食べてから帰りましょう。」
「いい...」
「自分で作ったので、味は自信があります。」
「ご飯できるの?」
「はい。」
カレーだけど。
光野には低血糖がある。長い間食事しないとめまくなる。その原因で、15年後の家にはいつも各種類の飴が用意されている。
直人は冷蔵庫から昨夜残ったカレーを取り出し温めた。
「美味しい。」
光野の驚きの表情は直人にぼんやりした。光野が初めて自分で作ったカレーを食べた時もこんな表情だった。光野がおいしいと言ったから、直人はカレーの焼き方を何度も練習した。残念だが、15年前戻るまでの光野は二度と食べる時間がなかった。
「どうした?」
直人が寂しそうな表情を察して、光野の語気はもっと柔らかくなった。
「いいえ、ただ...」
「母親思い出した?」
「うん...」
光野は直人の頭を撫でた。冷たく優しい手、母の手だ。直人の鼻はすぐ酸っぱくなった。彼は目の中の涙をこらえようと努力する。光野も自分の行為を理解できない。ただ、直人寂しい顔を見て、なんとなく心が痛い。意識したとき、手はもう直人の頭を撫でている。
「木村さんは優しい。学校とは全然似てない。」
直人は涙をこらえたが、言葉の泣き声や震えは隠れない。光野は手を引っ込めた。なぜ直人が悲しんでいるのを見ると、自分の心が痛むのか。自分は彼とはなじみがないが、野原家では雨に濡れている直人を見て、彼が風邪を引くのを恐れている。頭の中を通らずに家まで送ると言い出した。
なぜそうなったのか。光野はわからない。食事が終わて、光野は荷物を片付けて家に帰った。直家を離れて、光野は忙しい生活に戻った。あの日は疲れただろう。これが光野の答えだ。
月曜日。
光野はかばんを負い、ポケットの中に携帯電話を見つけなかった。結局、部屋のどこでも携帯を見つけられなかった。学校に着いて、彼が最初にしたことは自分机の穴を探すこと。
「なんだ?」
「携帯がない。」
質問出したのは光野隣席の藤倉。藤倉は光野のファンで、今年は席を交換するとき、自分が光野の隣席になったと知って、彼は興奮して一晩中寝なかった。翌日席を変えてから、彼は光野の氷川の顔を気にせず、用事があってもなくても話しかけた。長い付き合いで、光野は藤倉の態度は普段より冷たくない。




