占い師
かなり遅くなって、すみません!
これからできるだけ更新していくので、応援よろしくお願いします!
「わああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「うるせえ!」
「ねええええ!!! 聞いて!? なんかね! ついにね!? あのね!?」
「まとめてから喋れよ」
鏡花の狂乱。九素崎んとこまで響いてないといいが。
ってか、騎士たちが直してくれたドアを再度破壊すんな。
何があったんだよ。俺寝起きだぞ。
「ついに! 魔力が出たんだよ!」
「俺もできたよ?」
「え?」
「え?」
……
「ん?」
「え?」
……なんかごめん。
と、心の中で謝っとく。
昨日の夜、俺もできたんだよな。黒い、艶のある靄。
「ま、まあ、それはいいとして。今日はどうするの?」
「ん~大罪魔剣を手に入れるための準備をするけど、俺一人でする。その間に、魔法を使えるようになっといてくれないか」
「うーん、それはいいんだけど、カイは使えなくていいの?」
「準備段階では使えなくてもいいからな」
「そうなんだ」
「むしろ、鏡花が使えないと俺は何もできないからな」
「あ、私キーマンなんだね」
まあ、キーウーマンだな。うん。
……さあ、話題を切り替えて。
「思い出したんだけどさ、図書館で、『魔法は知識の鏡』ってあったんだよ。んで、読み解いて行ったら、本を読めば読むほど魔法が使いやすくなるらしい。多分」
「へえ~。じゃあ、今日は本を読みまくればいいの?」
「まーそーだな」
「じゃ、図書館に行ってくるね」
「いってらー」
バタン。
「ふぅー。さ、準備に入るか」
と、地図や金を取り出す。
これは、昨日エルから貰った。根回しがいいとか言うなよ、そこの君。
そして、地図を眺めて、エルのおすすめポイントを眺めること2秒。
「よし、まずはここに行こう」
そういって指を指したのは、雑貨屋だった。
えっと? 『エルおすすめ! 万物がそろう、最高の店!』だそう。
万物は言い過ぎだが、いろんなもんがそろってんだろーな、とか思ってた。
ってか、指さしたけど、鏡花いないんだったな。ハズイ。
さて……
「エルううううううううっ!」
「はいいいいいいいいっ! なんですか?」
「すげえ、マジで来た」
「呼ばれましたし」
「プロ精神か」
大声で呼んだだけで、すぐ来るとか。
……いつも、こうやってグルナにこき使われてんのか?
「この、『万物がそろう、最高の店!』ってさ、実際どんくらいあんの?」
「えーっとですね、アーティファクト以外のすべて、です。アーティファクトは知っていますか?」
「ああ、知ってる」
本曰く、『神話の時代、神々が創り上げ、祝福がもたらされたもの』らしい。
すんごーい昔、神と人間が交流していたころは、人間のために動く神。人間を奴隷としか見ていない神。そして、王族特化の神。が、いたらしい。
ま、その中で、人間のために動く神が創ったのがアーティファクトらしいけどな。
あっ、七つの大罪は、この中に入ってないよ、一応。時々人間の街にいたらしいけど。
「アーティファクト以外全部? 大げさじゃないか?」
「いいえ、まったく。ここだけの話、雑貨屋の店主に『強欲神』と、言ってみてください。地下に連れて行ってくれます」
「あー、りょーかい。じゃ、行ってくるわ」
「あ、はい」
んー、そうだな。まずは、行ってみるか。
そして、第一関門。
「王、城のっ……門っ! おもてえんだよおおおおおお!」
ギ、ギギギギギ……
「開いたぁ……」
閉めるのは、門番に任せよう。
えっと、雑貨屋は、この道を真っ直ぐ行って……?
「あ、カイさんですよね? よかった、鏡花様からなんですけど……」
「ああ、ここを曲がればいいのか! んで、左に行く、っと」
「あのぉ~聞こえてますかあ?」
「聞こえてない」
「聞こえてますよねえ!?」
「はあ、なんだよ」
「鏡花様からの贈り物です」
「鏡花から?」
なんだろうな?
図書館に行ってるはずだから、道中になんか買って、門番に渡したのか?
ま、いいけど。
「それで? 何を?」
「これです。あなた、いいですねえ。あんな綺麗な人から、こんな指輪を貰うなんて」
「指輪?」
指輪??
……いやいや、まさか。
うちの親から、「指輪をあげるときは、プロポーズとか、結婚とかじゃないとダメよ」って言われてるんだけど。
「で? どこだよ」
「これです……ああ、これは私の結婚指輪ですね。私、こう見えて妻がいるんですよ」
「いや、知らんし。つーか、早く出せよ」
「ちぇ。私の指輪よりはるかにいいですよ。まったく」
「? そんなものを、鏡花は買ったのか……?」
おかしいな。さすがに、そんなに金はないのに。
無駄遣いする奴だとも思えない。
拾ったか、それとも誰かから貰ったのか? だとしたら誰だ……?
「これですよ。もう」
「何でキレてんだよ。って、綺麗だな……」
「いろんな人が見とれるものですよね。それ。凄く綺麗です。ああ、金が欲しいなあ……」
「お、おう。そうか。まあ、ありがと。仕事頑張れよ」
「ハイ……給料アップしてほしいな……」
哀愁漂う雰囲気を出している彼はさておき、指輪に見とれる。
なんて言えばいいんだ? 透き通った黒みたいな感じ。
後は、着けてみるか……
「力が……溢れ出てくる……」
昨日、必死の思いで出した魔力が、スルスルと出てくる。
体のすべてを掌握した感じだ。
力が溢れ出てくるという例えは間違えていないようだ。
何故なら、
「おおー! 城門が簡単に開けられる! 楽だ!」
あんなに重たかった城門が、片手で開けられるのだ。
軽い軽い。
この指輪、なんなんだ……?
ん? 道端に店構えてるおばあちゃんが、呼んでいる。
パッと見、占い師のようだ。
「えーっと、俺を呼んでますか?」
「ああ。お主じゃ」
「何故? 今急いでるんですけど」
「まあ、すぐに終わる。そこに座れ」
「?」
胡散臭いおばあさんだな。
占いって大体、嘘じゃん? まあ、意外と信じる派だけど。
「で? 用件は?」
「キョウカという小娘と同じじゃ」
「あ?」
「お主は……いや、お主等は、強い運命に護られておる。それはそれは強い運命にな。神に見初められた時、判断を間違えるなよ」
「??? どういうことだ?」
「おお、その指輪を持っとるということは、上手くいったか」
「なにが?」
「それの、白色のものをあの娘にも渡してある。黒色はお主に渡せと言ったが、ちゃんと受け取ったようだな」
「最初から、俺を知っていたのか?」
「キョウカを見た時にな」
「こわ」
鏡花を見た時に、強い運命に護られてるから白色の指輪を渡した。
そして、その繋がりで、強い運命に護られている俺に黒色の指輪を渡すようにした。
んー、胡散臭い詐欺師ではないっぽいな。うん。
少なくとも、この指輪は、本物だと思う。
「で? 何が言いたいんだよ」
「……神に喰われるな。神を喰らえ。神を淘汰せよ。村人だからこその、特徴を活かせ」
「? 何を言っているんだ?」
「運命に護られているからこそ、運命に縛られるなよ。そして……彼女を護れよ」
「????? 回復魔法かけてもらうか?」
急に口調が変わって、変なことを言い始めたんだが。
そもそも、神話の時代ぐらいしか、人と神の交流ってないんだろ? だったら、喰われることも、喰うことも、ぶっ飛ばすことも無くね?
知らんけど。
「また、いつか、この場所に店を構えるときがある。その時に、お前の力をみせてみい」
「あ、はい」
なんか、言うこと聞いてしまった。
勢いで返事してしまったが、大丈夫だろうか?
ま、いい感じのアイテム貰ったし、いっか。
「んじゃ、お世話になりました」
「おう。期待しておるぞ」
そして、また俺は、雑貨屋に向けて歩き出した。
変な茶番が多いな……
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