魔法って難しい
更新遅れました。すみません!
ようやく自室に着いた。まだ太陽は上にある。なのに
「すっげえ疲れたああああ」
「あああああああああああ」
ベットダーイブ。
「ああああ、めっちゃ疲れた! 王都、歴史長すぎでしょ! 千五百年よ!? 全部完璧に記録してると思わないじゃん!? ねえ!?」
「いや、まあ、お疲れ」
帰って来たてほやほやで、さっそくバタンキューしそうな二人。あれ? なんで鏡花、俺の部屋来てんだ?
まあ、話せるから助かるな。ってか、帰りながら聞いてたけど、王都めんどくせえ。
ざっくりいうと、創世してから人が生まれて、集落になって、巨大な二勢力が生まれた。それが現在の王都と帝都だ。
現在、この二国が力を持っている。
そんな王都でも魔族は撃退しきれないんだな……ま、それはいいとして。
「なあ鏡花。お前、魔法の使い方分かるのか?」
「これから教えてもらう。ちょっと待っててね」
「お、おう」
誰に教えてもらうんだ? 騎士団のほうにはいかないし……
「あ、来た来た。おーい、こっちこっち」
「誰を呼んだんだ?」
「見たらわかるよ。ん、入って」
「しっつれいしまーっす」
ああ。なるほど。この国の情報通の次に物知りな奴か。
しかも、グルナに仕えている中でも、優秀な奴だな。
「ようこそ、エル! 今日はよろしく!」
「はーい。しっかり教えさしてもらうよ!」
「ここ俺の部屋なんだが」
「いいのいいの! さ、始めるよ!」
「んな横暴な」
くそう。俺の部屋が、染められていく気がするぜ。
ぐすん。
「さあ! これから魔法の授業を始めます!」
「よろしくお願いしまーす」
「お願いします」
「よろしい! って言っても、教えることなんてほとんどないんだけどね。すごく簡単なんだ」
「まず何をやるんだ?」
「そうですねえ……ぶっちゃけ、二人のルーツが他の人と違うので、難しいんですよ」
「どんなふうに?」
「普通、六歳のころから簡単な風魔法が使えるんですよ。もちろん初級ですけど」
でも、高校生になってから初めて魔法ってのに触れるから難しいのか?
それとも、魔法の使い始めはみんな自動的にできるのか? だとしたら、教えた経験がないのかもな。
「まずは、魔力を感じてみましょうか。ハイ。掌に、意識を向けてください。ぽわーんってし始めたら、成功ですね」
「おう。無理難題来た」
「ぽわーん……?」
「あーですよね。そうなりますよね。当然のようにできることを説明するって難しいんですね」
「小さいころからできるから、考えなくてもできるってこと?」
「そういうことですね」
「なんか才能がないって言われてる感じがする」
「多分気のせい。多分」
「ダメじゃねえか」
生まれて一回もしたことねえことを急にやれって言われてもな……あ、そうだ。
「魔力を流してもらうことってできるか? 魔力の感覚が分かると、やりやすいと思うんだが」
「あ、そうですね。回復魔法をかけさせてもらいます。〈回復〉」
「お~! あったけえ~! ……ん? 待てよ? この感覚……」
「ポカポカする……これって初級魔法?」
「はい、そうですね。怪我を治す魔法です」
ん~? なんだこの感覚。どっかで味わったことのある感じ。
あるぇ? わかんねえ。なんだっけ……あっ。そうか。
「これ、腕の血を止めて、流した時のあの感覚だわ。あの、じ~んって感じの」
「あ~、あれかあ~。そう言われればそんな感じだね」
「ん~じゃあ、そのイメージでやってみる?」
…………
「無理だった」
「できないい……」
「うーん。これは、ずっと練習ですね」
「うげえ……」
さっぱり分からん。
時々、黒い艶のあるものが出てきたけど、すぐに消えた。ちなみに、鏡花は白色。
これが魔力なのか? だとしても分からん。
それから、ずっと練習した。時には仮眠もとりながら、数時間以上した。
だが……少ししかダメだった。
少しは成長したのかねえ……
なんか、エルに聞いたの間違いな気がする。
違う人に聞こうぜ。もう。
「鏡花~もうさあ、教えてもらう人変えようぜ? あの人、歴史とか科学とかは得意だけど、感覚的なものを説明するのド下手くそだぞ?」
「あ、あれぇ~? おかしいなぁ~いけると思ったんだけど……まあ、今日は遅いからアルトさんにでも聞いてみようよ」
「? なぜ、アルトさん? 騎士団長とかでいいじゃねえか」
「九素崎がいる」
「なるほど」
確かに、騎士団長のもとには九素崎がいる。行かないのは英断だろう。
……生徒会長に会いたくないって言われる九素崎……
ってか、アルトさんか。あの人いい人だし、教えるの上手そう。
というわけで、
「じゃあな、鏡花」
「うん、またね。カイ」
取り敢えず寝ることにした。
待てば海路の日和ありっていうし、早寝早起き大事でしょ。
……とか言いながら、ベットの中で【全世界魔法早見表】を見ていた。ま、主に初級魔法を見てるんだけど。
夜更かしの準備オッケーじゃねえか。
「へえ、こんなものまであるのか。騎士とかが、使ってそうだな」
初級魔法〈剣舞〉
これ、いじりがいがありそうだな。
簡単に言えば、自分の剣の技術を自動的に覚えるというものだ。
ずっと魔力を吸い取られる欠点はあるが、発動中に得たものは自分の技術となり、体が覚える。
成長効率がすごく上がるな。
「いや、これ初級魔法じゃねえだろ! 絶対!」
これはありえねえって! 最上級も超えてるだろ!
初級魔法〈不可式具象〉
存在する可能性を、現在の世界で具現化する、というもの。
……は??????????
えーっと、例えると。
ここに一個のおにぎりがあります。
この時点で、『食べる』可能性と『食べない』可能性がある。
そして、〈不可式具象〉を使い、食べないとする。
そして、〈不可式具象〉で選んだのが『食べる』可能性ならば、何も食べていないのにお腹がいっぱいになる。
というもの。
万能のような魔法だが、欠点がいくつかある。
1.とんでもない量の魔力を使う。
2.魔力純度が一番上じゃないとだめ。
3.術式が複雑すぎ。
だそうです。
ちなみに、魔力純度ってのは魔力の綺麗さで、低い方(汚い方)から、黒、紫、藍色、青、緑、黄緑、黄色、白黄、白、白銀、となっている。その白じゃないと使えない。
まあ、世界でも十人切るか切らないか辺りらしいし、そもそも魔力純度が高い奴って、魔力量少ないから使えないんだってよ。
そもそも、術式がむずいらしいけど。
……ん? え? あ? はあ!?
……あーそうかー、どうりで。
この魔法を創ったのは、【初代村人】と、【第十二代創造神】、【第十二代破壊神】のようだ。
本当のところは分からんが、二人の神が、村人のためだけにこの魔法を創ったとしたら、そりゃ、初級魔法か。
このクソチートな魔法、神が作ったのか。可能性、並行世界に干渉する魔法。
ってか、初級魔法って、幅広くね?
そんなことを考えながら、手に意識を向けた。
自然体で、力まず、流れる水のように、野原に吹く風のように。
するとその瞬間。
「あっ……!」
なんと、今まで黒い靄だったものが、きれいな、漆黒の魔力になっていたのだ!
(なぜ魔力と分かったかというと、エルが見してくれた魔力と質感が似てたからだ)
「おおおおおお!」
俺は、ここまでの成長と、新しい知識に満足しながら眠りについた。
個人的に好きなキャラを教えてくれると嬉しいです!
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