王立図書館
次々と迫りくる、定期テストがっ!
投稿を遅らせるんだぁッ!
「よく来たな。もう少し休んでから来ると思っていたぞ。ほれ、そこに座れ」
「あれ、昨日こんな椅子あった?」
「なかったと思うよ」
「んなもんちまちま覚えてられるか」
あのあと、ちゃんと謁見の間まで来た。
ドアが無駄に重かった。
なんでさ、謁見の間のドアあんなに重たいん?
んー、兵士さんとかは少し力を入れれば開けれるから、世界で筋力が違うのか……?
ほら、地球と月みたいな感じで、適応する環境が違ったら筋力等々も違うのかなって。
もう、それで納得しよう。
「さて、もう分かっておるだろうが、これからすることをエルに説明させようと思う。エル、手配はできたか?」
「はい! もう、完璧です! あとはザキポンさんの同意だけです!」
「そうか。というわけでザキポン。この国の騎士団の修練に混ざり、訓練してくれぬか。さすがに、勇者の力を持てど、元の世界では平和だったのだろう? 戦闘術も知らぬはずだ。騎士団で成長し、活躍を期待したい」
「ああ……そればかりはしゃあねえな」
珍しい。
九素崎が、ちゃんと状況を飲み込むなんて。
さすがにわかってんのか? ここで、国のお世話にならないと、この世界で生きていけないと。
「それと、カイとキョウカだが……」
「ちょっと待てえ! おい、グルナぁ! なぜその二人が一緒で俺がキョウカ様が別々なんだあっ!」
「全く理解してなかった」
少しくらいは丸くなったと思ったのにな……
ってか、この状況で私情を挟むなよ。
「九素崎、四十五秒黙れ。 それで? 俺とキョウカは何をすればいい?」
「ああ、そうだった。確かお前、魔法を創るとか言ってたよな?」
「まあ、創れるかは聞いたな。それで?」
「うむ。その研究は、この城のどこでするのだ?」
「自室」
「……自室!?」
だって改良しやすいじゃん。
自分好みになるし、なにより、九素崎の干渉を受けにくい……と、思う。
あ、そうだ。
「この世界の魔法一覧、あるか? 一番細かいやつ」
「魔法一覧? あーたしか、王立大図書館にあったはずだ。司書に聞いてみるといい」
「そうか。わかった。それで? 今日はこれで終わりか?」
「ああ、これだけだ。後日、お主の進行具合と、ザキポンの強さを確認する」
「わかった。じゃ、これで帰るな」
「そうそう必要なら、エルに何か言うといい。この国の情報通の次に物知りだ」
「そうか、ありがとう。じゃ、今度こそ帰るな」
「ではな」
もう九素崎は扉を開け始めてるし、鏡花は俺についてくるし、マジで帰るか。ってか、九素崎、一人で開けれないならやるなよ。
んー、帰ろうと思ったけど、王立図書館ってのに興味がわいた。そこで、司書に話しつけて、魔法一覧貰わないとな。
忙しいが、日本よりはるかに時間がある。異世界バンザイ。
「なあ、鏡花」
「うん? 何?」
「この後、城の中歩き回るつもりだったけど、ちょっと、図書館行かないか?」
「え、なんで……ああ、そういうこと。いいよ、お城なんていつでも歩けるし。あ、そーだ。私も魔法の技術磨かないと、カイの役に立てないね。頑張んなきゃ」
「お、おう。こちらこそ、お願いします!」
……九素崎との温度差で心が温まる。
あー、図書館か……どこか分からんな。うん。
ん? あそこにいるのは……
「アルトさん!」
「おお、カイ様ではないですか! どうしたんですか? こんなところに」
「いや、王立図書館に行こうと思っていたんですけど、どこか分からなくて……また、教えていただけませんか?」
「いいですよ。まず、城の正門を真っ直ぐ抜け、大通りに出ます。そこから、少し上を見れば桁が違う建物があるので、それが王立図書館です」
「なるほど……ありがとうございます!」
「えっと……ごめん、カイ。この人だれ?」
あ、そうか。鏡花はアルトさんのこと知らないのか。
「彼は、アルトさん。迷子になった時、謁見の間までの道のりを教えてくれた人だよ」
「あ、キョウカです。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。キョウカ様というと……聖女様ですか!?」
「え、ええ。そうですけど……」
「頑張ってくださいね……!」
「「何を!?」」
なんか、道を聞くたび同じ会話してる気がするな……
でもまあ、図書館までの道のりが分かったんだ。感謝しないと。
「じゃあ、俺たちはここで失礼しますね」
「ええ。また、ご縁があれば、話しましょうね?」
「はい。お願いします」
「失礼しまーす」
……頑張ってくださいね、って何なんだ?
なんか話して、少し情報を得たら急に、頑張ってくださいね。
は?
……いや、今はそれに思考を割くわけにはいかない。
桁が違う建物かぁ……どんなふうに?
そんなこんな考えながら、正門を全力で押した。重いなあっ!
ふう。
「えっと? まず、真っ直ぐ行くんだっけ?」
「うん。そのまま行って、大通りに出て上を向けばいいって言ってたね。それだけでわかるものなのかな?」
「さあ? あの人の説明分かりやすいし、すぐわかるんじゃね?」
「そうかなぁ……ここが大通りだね。すごく広いよ!」
「思ってた以上に広い……!」
大通りはその名に恥じぬほど、道幅が広かった。
十人、自転車で並走できるんじゃね? ってくらい。
あ、やべ。感動しすぎて、目標見失いそうになってた。
「上ねえ……E?」
「いや、どうしたのさ……HA?」
でっか。
それが、王立図書館を見つけた時の俺の感想です。心の奥底から出てきた声です。ハイ。
いや、マジでかい。文字通り、桁が違う。
でけえ……
「いや、なんか……大きくない?」
「めっちゃでかい。思ってたよりもでかい。でも……神々しい」
「まあ、まず、行ってみよっか」
「そうだな。見失うこともないし」
……十分後
「着いた……!」
「思ったより遠かった!」
でかすぎて、距離感がつかめなかった。
にしても神々しいな。この柱は、石英を使っているのか? 知らんけど。
「さ、入るか」
「うん!」
……扉、かっる……城門との差よ……
にしても、日本にいた時の図書館に似てるな……
図書館はだいたい同じ造りなのか? さすがに、エアコンやパソコンなどのハイテクな機械は無いが、空調もしっかりしてるし、本もきれいだ。魔法か? ん?
「あ! ようこそいらっしゃいました! カイ様! キョウカ様!」
「テンション高いなぁ。オイ」
「ハハハハハ! これでテンション高いはまだまだですねぇ!」
「別に、俺は目指してねえよ」
「え、何この人。頭おかしいんだけど」
図書館に入って早々、変な奴がいる。
んー? もしかして、場所間違えたか?
「あ、えへへ。自己紹介しないとですよね! 私は、クルル。王立図書館の最高管理者です!」
「最高管理者……? これが!?」
「これとはなんですか、これとは! ちゃんと、仕事できるんですからね!」
「例えば?」
「ここにある本の把握、カウンターの管理、国との連携、深淵管理度数Ⅴの許可証の発行ですね」
「へえー……うぇ? マジ?」
「マジです!」
ここにある本といえば、普通の図書館の十五倍くらいある。それの完全把握ぅ? ちょっとヤバイ。
国との連携は、まあ、ギリ分かる。ギリギリ。
でも、深淵管理度数Ⅴってなんだ!? 聞くからにやばそうだが……
「えーっと、クルルさん? 深淵管理度数Ⅴって何か教えてくれるかな?」
「はい! まず、そもそも、深淵管理度数というのは、この図書館の地下に置いてある、本たちのランク的なものです! Ⅰ~Ⅴまであって、その、Ⅴを担当しています! ちなみに、Ⅰは王都の歴史、Ⅱは世界の歴史、Ⅲは魔法の深淵、Ⅳは概念について、Ⅴは……全禁忌についてです」
「へえ~。え、地上にある本の中に、王都の歴史とかないのか? そういう歴史本こそありそうなんだが」
「いや、ありますよ?」
「え??」
「あくまで、表面的な歴史で、ⅠやⅡには、ドロドロしていて、より深いところまで踏み込んだことが書いています」
「あーそういうことね」
要するに、地球でいう教科書か文献かってことだろ?
ってか、ドロドロしているって……ダメ――ではないけども、そういうの書くんだな……っと。
そんなこんな考えているうちに、鏡花がクルルと話していることに気が付いた。
いや、なんか、
……表情が珍しくまじめだな……
クルルって、テンションでは考えられないほどに有能なんですよね……