大罪魔剣
おお、久しぶりに一週間に三日投稿した。
だいぶ対応できるようになってきた。
圧倒的な力により必殺級の力を持つ無造作な振りも、暴虐的なまでの魔力も、全てこの体で耐えれるようになってきた。
まあ、もちろん反魔法は要るんだけど。
それでもさっきほどボコられない。
「クックック……レベルだけで言えばEで打ち止め……しかも至っていない、レベル999の時点で、ここまで強くなる村人がいたかぁ? お前、限界の意味を間違えてないか?」
「限界なんてもんを他者が決めんな。限界なんて存在しない!」
「ああ、お前みてえなタイプはそうだろうな……クハッ。おもしれえ! もっと力を見せてみろ!」
「やってやるよ!」
肉体改変された俺が思いっきり打ち合う。まあ、普通に押し負けるけど。
それでも、普通の村人のレベル999よりは強い。
文字通りのニュータイプだからな。
「確かに強くなってるがぁ……弱え!」
「ッ! のやろおおっ!」
「! ふん。おもしれえ……いい攻撃になったなあ!」
「う……ぐああああっ!」
あぶねええええ……
肉片にされるところだったぞ……
最初の一太刀で上半身と下半身分かれたからな……
〈絶魔完全回復〉にて回復してもやばかった。
綺麗に切れすぎて傷口がくっついてたのがよかった。
だが、これも〈超回復型進化体〉で進化する。
「ぐっ……うらああああっ!」
「ふん! いい攻撃だが……まだだなああああっ!!!」
「!! んんっ!」
……? なんか、殺気はあるのに殺す気はない気がする。
俺を切り刻むのに徹してるような……
……まさか、ニュータイプの効果のためか?
俺を強くするっていう目的が?
……分からんな。
「よし。こんくらいだな」
「? なにがだ?」
「はっ、てめえの肉体進化だよ。最初は肉体損傷による超回復で強くしようと思ったが、それじゃ埒が明かねえ。そん時に、てめえが〈超回復型進化体〉を開発してな。ちょうどいいからボコボコにしてお前に使わせてたわけだ」
「なんて恐ろしいことをしやがる」
「いいじゃねえか。そのおかげでLv:Eに至れるんだしな」
「は!? どういうことだよ!?」
「ふん。ついてこい」
そう言われ、俺と鏡花は部屋の奥へ。
すると、壁の前で止まり、魔力を流し込む。
目の前の壁が両開きし、入る。
「あーあんなにバカでかい部屋のさらに地下があるんだな……」
「綺麗な場所……神結晶より魔力を内包してるよ……」
「おい。ガキ。この台座に乗れ」
「? 分かった」
大人しく台座の上に乗る。
すると、ベルゼブブが俺に魔法をかける。
「いや、ちょ、おま……」
「うるせえ。黙ってじっとしてろ」
滅びの魔法を得意とするベルゼブブに魔法をかけられ焦ったが、魔法陣を見て違うと判明。
その魔法の名は―――
「〈異次元突入〉」
「……! これって……!」
「ああ。ステータスウィンドを見てみろ。変わってるはずだぞ?」
「っ……〈ステータスオープン〉」
時兎カイ
職業:村人
Lv:E
魔力純度:白
称号:魔狼殺し・殲滅者・挑戦者・到達者
固有スキル:時兎
スキル:超越・本能・毒竜喰・奏支相愛
到達者
Lv:Eに到達した者に与えられる称号。与ダメージ1.5倍
入手条件:Lv:E到達。
「あれ? 俺も【奏支相愛】持ってる。いつの間に……」
「……」ドキドキ
「な゛? 至ってたろ?」
「あ、ああ……! ありがとう! え、じゃあ俺なんで肉体の強化されたの?」
「Lv:Eに至る条件のうちの一つだ。『Lv:999の状態で、Lv:999のステータスを上回る』ってのがな。ちなみに、Lv:Eの成長率補正も合わせると、とんでもねえ伸び方するぞ?」
「分かってる。【挑戦者】の経験値取得量二倍と【昇華神剣エヴォル】の成長率二倍。重ねて、Lv:Eの特典である、【果て無き成長】のおかげで、成長限界が来ないしな」
「よくわかってんじゃねえか。それで? お前の本題はそうじゃねえだろ?」
「ああ、そうだった」
改めて俺は頭を下げる。
「大罪魔剣をくださいな」
「いいぜ」
……………………
「ん?」
「え?」
「あ? 要らねえのかよ」
「いやいるけども。え? それでいいのか? もっと『んなわけねえだろ。ガキが。潰すぞ』とでも言われるのかと」
「私も。こんなにすんなり行くとは」
「いやーな、七つの大罪と監視者の総意だ。お前に大罪魔剣を託すってな」
「監視者も!? なんで!?」
と、驚く鏡花。
しかし、俺は驚かない。
「……あいつが言ったのか?」
「ああ。監視者全員説得してたぜ。必死にな。で? 受け取るのか?」
「いただくさ」
「あいよ」
と、収納魔法から大罪魔剣を取り出すと、無造作に俺に渡す。
「忘れてたわ」と、鞘を渡してくる。
「……」
この圧倒的重み。
神剣でも感じなかった、力の気配。
数多の敵を切り裂いてきた、七つの大罪の長、【暴食のベルゼブブ】の力の象徴。
その力たるや、存在だけで重力を歪ますほど。
そして、使用者権限が俺に渡ったことにより、能力、使用方法などが頭に流れ込んでくる。最近、いろんな情報が頭に流れ込んできすぎだ。
「やっぱな。その剣を持ってぶっ倒れなかった人間はお前ぐれえだ。バケモンが」
「誰がバケモンだ。にしても、馴染むな……この剣」
「ハッ。そりゃあ、使用者権限が渡ったのと、その剣がお前に重量を合わせてるからだ。まあ、てめえのレベルがEになったってのもあるがな」
「ほお~」
軽く振ってみる。
轟ッ!
……余波だけで神結晶の壁の一部が消し飛んだ……
攻撃力だけで言えば、昇華神剣についたエンチャント、連続攻撃による攻撃力上昇エンチャ最大まで上げてもこの威力には届かない。
強すぎる。
「……もう、力だな。この剣単体で国をいくつ滅ぼせるんだよ」
「さあな。んなことしたらお尋ね者だ。頼まれてもするかよ」
「気が向いたらするんだろ?」
「クハハッ。よく分かってやがる」
…………
「それで、もう用件はないのか?」
「無いな……とは言えないか。お前の予想通りだよ」
「やはりな。称号【暴食】が欲しいんだろ?」
「正解」
称号【暴食】……ベルゼブブの能力の一部を使える。いわば、加護を受けている状態。
そして、その 能力特典。魔法無効化体と全ステータス1.5倍が欲しい。
だから、今貰おうと思ったが、さすがにな……
Lv:Eにしてもらって、大罪魔剣を貰ったのに、加護を貰うのはちょっと……
「かあああっ、めんどくせえ。今更なに遠慮してやがる。てめえの図太さはどこ行ったんだよ。ああ?」
「逆に聞くけど、世界、いや、神界含めて最強の魔剣と、人間卒業させてもらっといて、これ以上望んでいいのか? と、思ってな」
「クハハハハッ。そんなもの、マモンは言わねえぞ。なんせ、強欲だからな」
「俺はカイだわ。じゃ、ありがたくいただこう」
「ふん。最初からそうしとけ!」
そういい、俺とベルゼブブは握手する。
『暴食の加護を確認しました』
「おお、これか……」
「試してみるか?」
「は? どういう……ッ!」
「〈黒滅雷魔災淵砲〉」
「なっ!! ……ん? 喰らわない……ってことは!」
「魔法無効化体だな。いやーこれで入手できてなかったらやばかったなw」
「やばかったなw じゃねえよ。滅びの雷で死ぬのは嫌だわ」
「そりゃそうだな。クハハハッ」
そこで、空気になっている鏡花が声を上げる。
「えっと、カイ。これからどうするの?」
「んーそうだな……あ、そうだ。ベルゼブブ。【対影神剣】って知らね?」
「あ゛ーあのめんどくせえ剣か。確か、創造神を筆頭に上級神が頑張って作り上げたらしいな。俺たちは入ってねえから知らねえけど」
「なんて可哀そうな」
「可哀そう言うんじゃねえ。俺たちは俺たちだ。それに、数十人の神と、七人の神が対等だぞ? 見限るに決まってる」
「追い出されたんだろ。で? 在処は知ってるのか?」
「知ってるっちゃあ知ってるなぁ。王都から北に行ってると、『アールビー王国』がある。そこの上がっていくタイプのダンジョンがあるから、そこの最上階にぶっ刺さってるはずだ。ま、ボスがいるかもな! クハハハハ!」
「えっとーカイ。対影神剣って、どんな剣なの?」
「ああ、対影神剣ってのは、上級神たちが創り上げた剣で、その時の世界最強の剣と同一スペックになり続けるんだ」
「??? 要するに、今の対影神剣は大罪魔剣と同一スペックってこと!?」
「そゆことー。だから、俺が二刀流にすると、最強の剣を二つ携えたやべーやつになるってこと」
「!? ほんと!? じゃあ、行こうか!」
「そうだな。じゃ、ベルゼブブ、ありがとうな。またいつか会いに来るから、そん時は勝たせてもらうぞ」
「ハッ。よく言いやがる……ま、俺に勝てるぐらいになったら世界最強を名乗れよ。じゃあな」
「ああ、またな」
「お邪魔しました!」
そう言い、俺と鏡花はダンジョンを後にする。
来た時よりも明らかに強くなってるな……
大罪魔剣を普通に使うと、世界に迷惑がかかる。多少は力を抑制させないと、世界に致命的な傷がつく。
それを恐れたから、ベルゼブブもこの剣は使わなかったんだ。
「あ、ちょっとさ、丁寧に現れるモンスター全員斬りながら帰ってもいいか?」
「いいけど、なんで?」
「大罪魔剣の能力で、斬ったやつの最大魔力量を吸収できるんだよ」
「えっと、つまり?」
「俺が勇者を斬るとする」
「斬られる勇者(笑)」
「すると、今の俺の最大魔力量に、勇者の最大魔力量が増えるから、俺の最大魔力量は増えるってわけ」
「え、ええ……それって、際限なく魔力が増やし続けられるってこと?」
「そういうことだな」
なんせ、暴食の能力が入ってるからな。
そのほかにも、大気中の魔力を吸い続ける能力。(強欲)
使わなければ使わないほど、威力が上がる能力。(怠惰)
内包した魔力を開放することで、相手の意識を薄れさせる能力。(色欲)
相手の防御力が高ければ高いほど、攻撃力が上がる能力。(憤怒)
こちらのステータスが上回っていれば、自分のステータスが二割上がる能力。(傲慢)
こちらのステータスが下回っていれば、相手のステータスが二割下がる能力。(嫉妬)
がある。
「あーちょっとさ、ステータス見ない? 私、レベルがいくつ上がったか知らないからさ」
「あーいいよー。あ、ちょっと、百九十九層の真ん中行かせて。んで、〈魔物襲来〉」
グルルルルル……シャアアアアア……ウオオオオオオオッ……
「それって、周辺の魔物を呼び寄せるやつでしょ? それで訓練するの?」
「ああ。見せてくれながらでいいぜ。フンッ!」
「……こっわ。〈ステータスオープン〉」
水無月鏡花
職業:聖女
Lv:201
称号:女神
固有スキル:想像構築
スキル:奏支相愛・恋火
女神
高貴なるもの、美しきもの、魔に長けるもの、神々しきものが統合されたもの。
四つのスキルの上位互換。
入手条件:四つのスキルを入手後、レベル200の突破。
恋火
恋の炎は全てを焼き尽くす……
入手条件:奏支相愛を入手後、発動手前で炎属性魔法を連発。
「……恋火?」
「……」ボフンッ!
「……あーあのーうん。まあ、な?」
「ふえええええええええええん!!!!!」
こんなスキルを貰ったなんて悲しいよな。
でも、強いんじゃないか?
恋に落ちてれば炎属性の威力上がるって。
いいねえ。リア充は。
「それで? まずは帰るか?」
「そうだね。え、その剣どうするの? 溢れ出る魔力が……」
「そうなんだよなあ……鞘に閉まっても多少は溢れ出るしな……あ、そうだ」
「?」
「あの魔法を使い続けよう」
「?」
――――――
「というわけで、〈可能性演算強化学習〉」
「あーそういうこと……」
ごりごり魔力が削られてゆく。だが、問題ない。
大罪魔剣の溢れんばかりの魔力を、この魔法陣に〈送信〉する。
そうすると、俺の可能性体は学び続け、魔力も抑えられる。
天才か?
「ふーとりあえず、これで目立たなくはなったな」
「そうだね。戦いが結構続いたからいったん休憩期間で……」
「ああ。悪かったな、働かせすぎて。ゆっくり休んでいいぞ。〈快眠〉〈安眠〉〈心癒〉」
「ふにゅ……」
バゴオン!
……
ギイイ……
「なにごと!?」
「あーせっかく寝かせたのに、起きちまったじゃねえか。どうしてくれる」
「そ、それどころじゃねえんだよ!」
クラスメイトが扉を突き破りかけて、激突。
ちゃんと開けて入ってきた。
「正義と京が一対一してるんだよ!」
「あっそ」
「勢いよく入ってきて、『勇者なんかやらかしてる』っての、聞き飽きた」
冷めた反応の二人であった。




