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右目開眼

投稿頻度を上げていこうと思います。


「時兎家の血筋、なめんなよ?」

「俺は、その意味の分からん家系ではなく、お前を殺したいのだ!」

「まあ、人の話は最後まで聞こうな?」


 時兎家の持っている特殊能力。

それは……眼だ。

通称……【開眼】

 本当にどういう原理かは分からないが、右目に秘められた力を開放することが開眼なのだが、開眼すると、能力が発動する。

……オイ。今ノ解説ヲ聞イテ、厨二病トカ、イウナヨ?

実際に見せてやる。


「ならば見せてやろう! 圧倒的なステータスの差を!」

「たったの五倍だろ。威張んな」

「うおおおおお! スピードに物を言わせた動き! お前についてこられるか!?」

「もうスピードに物を言わせたって言ってるし」

「うるせえ! うおおおおお!」


 こいつほんといい実験体だな。

俺がやろうと思ったら思ったような動きを取ってくれる。

さて、やるか。


「右目、開眼。【限界突破(リミットブレイク)】」

「ああ? いまさら何をしやがる!? 今、お前は俺の動きを目で追えていないはずだ! 拳火上等とやらも当たんねえんだよ!」


 ヒュッ


「ぎゃはははは! 死n……あ? どこ行った?」

「拳火上等」

「ッ……!? ごはっ」

「すげえ。こんな噛ませ犬が実在したとは。ってか、お前騎士のくせに口調が盗賊のそれなんだが」

「な……なぜ、お前が俺の動きに合わせられる!?」

「右目の能力」

「はあ!?」


 さっき開眼した右目。その能力は、自身の身体能力を×10倍補正してくれる。


「時兎家代々の能力だ。()()()な」


要するに―――


「お前の分、ステータス勝ってるわけだ」

「あ?」

「お前の二倍のステータスを持ってるってこと」

「……あ……」


 コイツ、数学出来ないのか? 理解に時間がかかりすぎだ。

ちなみに、身体能力十倍ってのはなかなかにすごい。

だって考えてみろ。

五十メートル走七秒台のやつが「じゃあ、本気出すわ」って言ったら一秒もいらないんだぜ?

恐ろしいわ。

ん? そういや、なんでコイツこんなにおびえてんの?


「じ、じゃあ、右目が赤く光っているのも……?」

「ああ、学校だったら目立つから黒のカラコンつけてたんだけどな。開眼すると元の赤色に紅の光が追加されてカラコンでも隠し切れないんだよなー。ま、学校では一回も【開眼】使ってないからいっか」

「か、からこん? それはまあいい。よかった。お前、ヴァンパイアじゃなかったんだな」

「ああ。違うな。そもそも勇者召喚された奴が吸血鬼なわけないだろうが」


 吸血鬼とヴァンパイアは正確には違うのだが、今はいい。

それより、問題なのは……


「あははははは。カイ様。これは、どういう状況でしょうか?」

「おい! エスター! しっかりしろ! ……大丈夫、脈もあるし息もしてる」

「目、開いてるじゃねえかよ」


 クルルと騎士団が来たんだが。

はて、どうしたものか。



~~~~~~



「これはどういうことか、説明していただくぞ! カイ殿!」

「そうだ! なぜ副団長補佐が倒れているのだ!」

「二十文字以内で説明していただきたい!」

「おそわれたから、せいとうぼうえいつかった」

「ピッタリ二十文字っ!」

「句読点含めてな」


 おお。賢い奴がいる。

それはそうとして、クルルが少し困った顔をしている。

そりゃあそうだろう。

エスターだったか? が、俺を襲っているところをばっちりカメラに収めてあるからな。


「まあまあ皆様落ち着いてください。何があったのかを知りたいですよね? フフッ」

「ああ、知りたいっ! 教えてくれ! クルルどのっ!」

「まずはこの映像を見てください……フフッ」

「これは……かめら? だったかな? そんな国宝級の物をなぜあなたが?」

「ああ。これは私物ではありませんよ。深淵管理されている本があるのです。監視カメラを設置するのは当たり前でしょう?」

「なるほどなあ(全然分からん)」

「確かにそうですね!(監視カメラってなんだ?)」

「……(クルルよ……多分こいつら分かってねーぞ)」

「ええそうでしょうね」

「心の声を読むな」


 そもそも国宝級のものは、じいちゃんか、監視者が伝えたことだから、マジでレア! なんだそう。

そんなものを惜しげもなく使っているってことは、やっぱすげえ本だったんだな。


「さあ、見てみますか」

「おーい! カイがなんかしたって聞いて来たよ!」

「何があったんですか、クルル」

「おーちょうどいい人たちが来た! 実はかくかくしかじかで」

「へえ、面白いことになってるんだね! じゃあ、見てみようか!」

「適応速度の早さよ」


 もはやエルが呆れている。

んー大して時間が経っていないはずだが究極訓練場からすぐ来たな。

大方、魔法でも使ったんだろう。


「では、再生しますね……」


 ピッ


 ……そこには、エスターが一方的に殺しに来て俺が返り討ちにした動画が残っていた。

魔星武術、開眼の時にエルと鏡花の眼が光ったのは見間違いであることを願う。

そして、動画を見た騎士団の反応。


「「「「「大変申し訳ございませんでしたあ!!!!!!!!!」」」」」

「図書館では静かにな」

「あ、すいません……けれど、理不尽に怒ってしまったことはどうやって謝罪させてもらえればよいか……」

「ああ、エスターを騎士団から追放してくれればそれでいい」

「あ? てめえのせいでこうなったんだろうが! どうしてくれんだよ!」

「いや、俺は忠告と警告、どちらもしたぞ? 彼我戦力を誤認するな、人に武器を向けたのだから、死ぬ覚悟はできているな? と」

「うん。百二十対零でエスターが悪い」

「おい! なぜだ! 副団長! 俺はお前のサポートを必死にしてきたぞ!? それに、俺は騎士団の中でも上位クラスだ。俺が抜けたら困るんじゃねーのか!?」

「いや、サポートって言いながら、私の邪魔ばかりしていたじゃありませんか。次の日に提出する資料を一時間で紛失するし……それに強さで言えば、彼が圧倒的でしたよ? そもそもあなた、騎士団の中でも下から数えた方が早いほど弱いじゃありませんか」

「~~~~~!!!!!」

「うぬぼれが強すぎるということです。しっかり平民として働いてくださいね」

「くっそう! 最後に一撃いいいいいいい!」


 シュッ!


 エスターが、俺にめがけてナイフとばしてきやがった。

それを指で挟んで止めると、奴はまた、「~~~~~!!!!!」と言って(?)動かなくなってしまった。


「……カイ様って、ナチュラルに煽りますよね」

「私も思ったよ」


 そんなこんなあり、この事態は収束した……


のだが、まだ続きがあった。


「さて、本あさろーっと」

「おうおう、待てやコラ」

「少し待ってねー、カイ?」

「……ハイ……」


 その後、魔星武術の説明や、開眼についての説明をした。

一般人なら「は? なんだ、この厨二病」となるが、ここは異世界な上に鏡花はファンタジー脳。まあ理解してくれるかな、と思った。


「かっこいい!! 私にも教えて! 魔星武術!」

「無理」

「即落ち二コマ!?」


 な? 思った通り、理解してくれたろ?

まあ、魔星武術は時兎家代々の技であること、そもそも俺は教えるのが下手なことがあって魔星武術は教えられない。あ、そうだ。


「それこそじいちゃんに聞けばいいじゃん」

「え?」

「俺だってじいちゃんに教えてもらったし。いつか会いに行くしな」

「わかった。それまではカイの魔星武術を見るだけでおさえとく」

「よろしくな」

「……あの、一つよろしいですか?」

「なんだ?」


 エルの顔が真剣そのものなんだが。

もうちょっと言えば、俺に対して複雑な感情を持っているようだ。

さすがに深くは読み取れないがな。

で? 質問はなんだ?


「録画で、カイ様はこうおっしゃられていました。『時兎家代々の能力だ。右目はな』と」

「……」

「うん? それがどうかしたの?」

「いえ……言葉の綾かもしれないのですけど、先ほどの言い方だと、左目も何かあるみたいじゃありませんか?」

「……」

「え……確かに! 時兎家じゃない違う力があるみたい!」

「どうなのですか?」

「……ハア。しゃあねえな」


 コイツの観察眼には恐れ入るぜ。

あんなつぶやきでばれるとは。

これを知ってるのは母さんとじいちゃんだけなんだがなあ。





「俺は、時兎家の中で唯一、左目にも力があるんだ」




第五部分まで、少し編集しました。これからも細かく修正を入れていきます。

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