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綺麗な魔力にしたいです

……

…………

………………恥ずか死ぬ。

鏡花め、あそこであんな発言しやがって……


『その指輪、右手の中指にはめてくれてるんだね♡』


 この発言を聞いた瞬間、野次馬達の眼が、怪しく光った。


(あ……やべ……)


「いや、違うから! なんか吸い込まれるように中指に入れてしまったんだよっ! ただの本能だからっ! って、お前も中指につけてんのかよお!」

「えへへ」

「えへへ、じゃねえっ! お前も誤解を解けえっ!」

「え、誤解じゃない方がいいんだけど」

「なんでやねん」


 そんな俺らを見て、


「ヒューヒュー」

とか、

「世界が変わって二日で婚約か~いいねえ、うらやましい」

とか、

「青春だな~……俺も欲しかったな……」

と、話すやつたちもいた。


くおおおおおおおお……このままでは、王都に変な誤解が生まれてしまう。

……まあ、普通に嬉しいけど。普通に好きだし。

……ん? 待てよ?

もし、この噂が王都全体に広まったら、九素崎の耳に入る……っ!

絶対面倒臭くなる流れが見える。


「おい、鏡花。このままこの話が王都に広まると、城にいる九素崎にまで広まってめんどいことになるぞ。いいのか?」

「すみませんでした」

「はあ、鏡花。城に帰ったら、また、別行動だ。とりあえず、えーと」

「とりあえず?」


 うーん。これを言うべきか。条件が厳しすぎる。

しかし、意外と簡単に落とす方法もある。


「とりあえず、中級魔法を難なく使えるくらいにはなってくれ」

「待って待って、思った以上にきつい条件来た」

「ちなみに、【神聖教会】のシスターくらいが使える。魔法使いでいうと、冒険者ランクBくらい」

「そう考えると簡た……いや待って、魔力をようやく出せるレベルなんだけど」

「天才だったらできるんだけどなー」

「三十分でしてやろう」


 な? 秒で落ちたろ?

あ、ちなみに【神聖教会】は、まあ元の世界で言うカトリックと同じ認識でいい……かな?

鏡花に教えてもらったが……

王都、帝都、その他の国等、様々な国で布教を行っている宗教だ。

唯一絶対神『ジント』を崇拝している。

「我々生命体は、すべてジント様の庇護下にあり、支配下にあるっ! よって、ジント様を崇拝するのは当然のことであるっ!」

ということらしい。

元の世界では宗教に興味はなかったが、今回は違う。

まあそれは追々話すとして。


「ん、帰ってきた」

「城門が余裕であけられるってすげえな」

「この指輪、ほんとになんなの……?」


 たしかに。

魔法の創作が終わったら、調べてみるか。

んー、占い師がいたら行かねばならんのか。

どうせなら、占ってもらうかな。


「さ、また夜な」

「うん。またね」


 ……さて、本格的に準備すっか。

まずは自室にて、魔浄聖剣を取り出す。

ふむ、よく考えたら聖剣って勇者じゃなくても使えるのか?

と思ったが、案外余裕だった。

いや、正確には魔浄聖剣がすごい甘い奴だった。

神の祝福を与えられた剣。それが聖剣。

魔浄聖剣を祝福したのは三人。

・魔力の神

・浄化の神

・慈愛の神

この慈愛の神の部分で、いろんな人が使えるようになってる。

マジありがたい。

この慈愛の神。いろんな聖剣に祝福してるから、たくさんの人が聖剣を使えるそうだ。

……資格さえあれば。


「さて、俺に資格は、あるのかなぁーっと!」


そう叫ぶと、俺は聖剣に魔力を流し始めた。

一気に体の中から何かが抜かれていく感じがする。

おお、これが魔力か。ん?


「ぐっ、が、あああ、ああああああっっ!!!!!!!」


 や、っべ、えっ!

全身がっ、張り裂けてっ、じぬぅっ!

そこで急遽、最上級魔力ポーションを飲む。

しかし、聖剣は掴んだままだ。ここで離しては、苦しみが無駄になる。

おおう、まだ抜かれるか。

ちっ。これあれだわ。資格って魔力量だわ。

んー、村人だから、戦士とか魔術師とかよりも魔力量が少ないのか?

いや、確か戦士は魔力量が少ないって書いてあったな。

バランス調節されてるのか?

そんなことを考えていると、いてっ。


「効率のいい飲み方が分かってきた。あぐっ」


 最上級魔力ポーション二個飲んで、禁忌級魔力ポーション一個飲む。

これめっちゃいい飲み方。

本当は、ただの準備用で買ったのだが(無料)、この飲み方だと、魔力がめっちゃ()()()

おお、裏技見つけた。これいい。

魔力を吸われて、回復して、増えて、吸われて、回復して、増えて、

吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて吸われて回復して増えて


 全部のポーションを使い切った時。


キュイイイイイイイイイイイイン……


「ん?」


ゴウッ!


「うぐっ! あぶっ!? ……ってーな。何に吹っ飛ばされたんだ?」


 部屋に吹き荒れた、魔力の波動。それに吹っ飛ばされたのだ。

何故だろう。この魔力の波動……すげえ気持ち悪い。

いや、なんか気持ち悪いというか……違和感が出る。

汚い感じ? うん。そんな感じ。

体が……いや、体内の魔力が不快感を感じている。しかし、親和性は高い。ということはだ。


「……これ、俺の魔力か? さっき注ぎ込みまくったステージ黄緑の」


 まあ、黄緑とはいえ、色は黒色なんだけどな……

魔力はその人によって色が違うらしい。

もちろん、色は無限ではないため、ほぼ同色だと思われることもあるが……

まあ、絵の具のもっと細かく分かれてますVerだな。

ちなみに、鏡花は白色。噂によると、九素崎は黄色だそう。

……顔と性格に合わねえ。

茶色とかかと思った。意外と綺麗な色なんだな。

まあ、それはいい。


「え、待って、それって……魔浄聖剣の使い方知らなかったけど、まさか……いや、それだったら……」


 もしや、魔浄聖剣って、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のか?


その可能性は十分あり得る。

じゃないと、この現象に説明がつかん。えっと?


①魔浄聖剣にステージ黄緑の魔力を流す。

②俺の中から、ステージ黄緑の魔力が抜けていく。

③俺の中から黄緑が消え、代わりに魔浄聖剣が一個上のステージ黄色の基盤を創る。

④めっちゃポーションで魔力回復。

⑤ステージ黄色の魔力になる。


こうだな。

ただし、この方法を取ると、危険が伴う。

一つ。魔力が完全になくなった状態で、さらに抜かれると瀕死になる。抜かれ続けると死ぬ。

いわゆる魔力枯渇だな。その後は命から魔力を引き出しちまうから、命に関わる。


二つ。魔力の込め方。真っ直ぐ。留まらず。流れ続けるように流し込まないと、起動しないし、失敗すれば魔力が暴走するかもしれない。

魔力は自分の身体の奥深く、最奥の更に奥。【深淵】と呼ばれる場所(?)から、発生している。

魔力の自動回復はここからきている。

寝ている間に関わらず、いつでも魔力を供給してくれる。激しい運動中でもだ。

その代わり、満杯の時は供給が止まる。いい自動装置だ。

これもいつか改良して、高速で魔力が回復するようにしたいな……

あ、ちなみに、魔力が暴走すると全身に切り傷が刻まれて、とてつもない痛みが発生する。

例えるならば、うーん。

全身カッターでスッパスッパされて、塩水につかる感じ?

そしたら、全身アババババだろ。

うっわ、痛そう……ん?


ドォーーーーーーン!!!!!!


「なになになに!? 痛そうとか言ったから、呪いでもかかったか!?」


バキ、ドゴゴ、ドーーン、パリーン


…………は?


「ぎゃー! キョウカ様! 天才が故にこんな密室でそんな魔法ぶっ放さないでください!」

「エルがやれって言ったんでしょ! 私悪くないもんね!」

「なにいー! こんちくしょうめ! 成敗してくれる!」

「ははははは! 遅い! 遅いよ!」

「〈風加速(ふうかそく)〉ッ!」

「ははははは……は? いや、魔法使った加速はずるいって!」

「〈捕縛〉ッ!」 

「うわー-! 動けない! 降参! 参った! から許して!」

「はあ。ですが、あまり暴れられては、城が壊れるので、そういう魔法を使うときは外で使ってください」

「はーい……あ」

「なんですか? あ」





 音のした方向……っていうか、話しご……叫び声の聞こえる方向へ行ったら、魔力訓練場と書いてある部屋についた。

そこで、扉を開けてみると……

壁がすすけていたり、柱が壊れていたり、見るも無残な破壊痕だった。

そして、その中心には鏡花とエルが。

そこで、


「何事?」


と聞く。返事は


「えへ?」

「てへ?」


……


「待って! 無言で剣を構えないで!」

「ひゃあああ! ……って、ん? その剣、まさか……」

「はあ。まあいいが、暴れすぎんなよ? 城が壊れるぞ」

「いやそれは、エルが魔法使ってみてっていうから!」

「んなっ! 勝手に〈爆発〉使ったのはキョウカ様です! 人のせいにしないでください!」

「何を~!」


……キュイイイイイイイイイイイイン


「「え?」」


ゴウッ!!


「「うわあああああああ!!!!」」


 その後、俺による正座説教パーティーが開かれましたとさ。


魔力についてはいつか詳しく解説がいれれたらな、と思います。

神が一柱二柱ではなく、一人二人なのは、次の次で分かります。

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