相生雪乃3:ひとりをみんなのために
私がアマンダになってから、2年近く.
友人たちと友達になり、怪しい罠からは身を引き、まともそうな親類は私を含むローレッタ本家と距離を置く様に仕向け、『乙女の百合と騎士の薔薇』の主人公伝いに薔薇カップルに我が家の薄暗い所を調査するように願い……とうとう、ある程度の証拠が固まりローレッタの悪事に終止符を打とうという動きが世間にも見えるようになりましした。
悪いおうちですし折角だからと賄賂等の悪い手段も使って調査の結果をこっそり流してもらったのですが、国の法律をいくつも犯しているため、少なくとも今の本家の人々が貴族でなくなることは避けられない事態になるでしょう。
覆面調査に来ていた薔薇カップルの片方からも、父母と兄と私が平民落ちの上、王都と叔父上に管理を任せている領地からの締め出しあたりが落としどころになるのではないかと聞いています。
義姉のエミレア様に関しては、不穏な調査が入っているとお伝えして実家へと身を寄せることをおすすめしました。彼女は義妹が何を考えているか判断がつきかねていたようですが、その後里帰りと称して実家であるエレクス伯爵家の領地に向かい長らく戻らないところを見るに、正しい判断をしてくださったようです。
一方で、私自身はひっそりと王都と港町の中間付近にある森の中の修道院に入る準備を進めていました。
「本当に良いのですか、お嬢様」
「ええ、悪い噂が立っている以上、中和するような善行は必要でしょう?」
その準備の一つが、持ち物の整理です。
侍女たちに命じて古いドレスを洗い、装飾の宝石を外し、ドレス本体は古着、宝石は食料へと変えてそれを孤児院や教会に寄付しています。
保存がきくものを中心に買い、余った金銭は寄付にともなう作業を手伝った侍女たちへのお小遣いとする形で、私は何度かクローゼットや宝石箱の中身を整理していました。
当初は報酬目当てでワガまママに付き合うという態度だった侍女たちも、気まぐれとは言えない衣服と装飾の減り方に、思うところがあるようでした。
「なにか、不安なことがあるのなら言いなさい。私の立ち回りも、まだ考え直す余地があるものなの。使用人の立場の見解も聞きたいわ」
「……お嬢様一人が、皆のために身をやつしているように見えて……その、噂は使用人たちにも届いています。ですが同時に、お嬢様だけが名に恥じぬように皆の先を考えて動き、疲弊しているように思えるのです」
年嵩の侍女が、頭を垂れながらそう言いますす。
たしかに、今この家で先を見据えて動いているローレッタは私だけ。両親は多少の悪い噂なんて家名で揉み消せると思って油断しているし、時期侯爵のはずの兄様はメイドを監禁して耽っていますし……。
「私以外のこの家の家族は動いていないけれど……それ以外の場所はきちんと動いているし、最終的には私は私のためにやっているから大丈夫よ」
ローレッタではない使用人や、使用人の家系の皆も先については考えています.
もっと言えば、王都の屋敷にいないローレッタの人々には(信用されているかはわからないけど)時折手紙を送り、時が来たら動けけるるようにと伝えてます。
祖父に恩がありこの家を守ろうとしてくれている家令には、今は領地の管理を丸投げされている叔父上と連絡を取るように話をつけて……私を含む本家の人間だけを切り捨てれば、あとは丸く収まるようにはしているいるのです。
「気遣ってくれるのはありがたいわ。でも、私が己を滅していると思っているのは買いかぶり過ぎ。私一人を皆のためにすりつぶすなんてことは無いから、安心して私のわがままを聞きなさい」
丁度、今後着ないと思ったドレスの選別が終わった私は、その処理を命じます。
「ちょっと疲れたから一人になりたいわ。それを持って出たら、夕飯までそっとしておいてちょうだい。何か呼びつけたいことがあったら呼び鈴を鳴らすから」
侍女たちは少し躊躇って、だけど命じられたとおりにドレスを持って部屋を出ままま
部屋で一人になった私は、鏡台の前に座る。
勝気な形の赤紫の眼と、黄金の髪を湛える美女が鏡に映しだされる。
「いつしかもう、この顔を見てもア□ンダじゃなくて私になってしまったわ。■マンダはこの人生を歩まないのは最初からわかっていたけれど、本当に私になってしまう前に繧「マ繝ウダに言いたいことがあるの」
一人で、鏡に向かって喋る。
ねえ、繧「繝槭Φ繝??気が触れたように見れるかもしれないけれど、私はあなたに話したいからこうしているの。
無視をしないでちゃん見なサい見なさイミなさい隕九↑縺輔>
「夢で見ると■っても、思考まで伝わるかはわからないからこうして声に出しているの。夢の中の私が狂ったと簡単に捉えないで、私からあなたへの言葉を聞いて聞いて聞いて聞いて聞いて聞いて聞いて聞いて
アマンダに言っておきたかったことのメモを見る。
いつまで■□ン□が私の人生を見るかわからなかったからからからからからからからからからからからからからから
だめだわ、しっかりしないと。
せめてこれだけでも。
「"転生さん"はもうこれきりにして。遊びでやるものではないわ。……あなたがもしも本当に助けを求めたくて未来の夢を欲する日がきたら、次こそは捧げ物をちゃんと用意して。でないと、あなたひとりのあるべきだった人生を、さ迷う魂のために切り分ける事になる」
ねえ繧「繝槭Φ繝?、ちゃんときいていますか?