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序:おいでください

 薄暗い部屋の中、一人の令嬢が呪文を唱える。


「転生さん、転生さん、おいでください転生さん」


 友人(とりまき)たちから聞いた、簡単な黒魔術。当初はそういうのを怖がる友人たちにやらせて遊んでいた。

 だから、彼女自身がそれを試してみようと思ったのは、ほんの些細な気の迷いだった。


「おいでなさったら私の中へ、未来の夢をお残し下さい」


 必要な物は水を張った深皿、暗くした部屋、そして捧げ物。

 一応本物の魔術であるらしく、何人か強引にやらせた友人らによれば、捧げ物は魔力となって消えてしまうそうだ。だが、ためしに何も捧げ物を用意せずにやらせた友人も"転生さん"が未来の夢を残したと言っていた。


「捧げますのはこちらの品です。転生さん、転生さん……どうぞ私へお宿りください」


 自分の魔力だけを使えばいいのだろうとあたりを付けた彼女は、沢山持っているにもかかわらず宝石も、リボンも用意せずに魔術を行使する。

 "転生さん"を呼ぶ言葉の後、彼女は何のためらいも無く、儀式の完了のために用意した水に指先を浸した。


 ふらりと、視界が暗転する。

 元々暗くしていた部屋が、全てを手放すような闇の中に沈んでいく。


 そうして彼女の中に、異世界……彼女を"物語"として描いた世界の死者が入り込んだ。

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