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FZの男

作者: selgey kattvinsky

 通っていた予備校というのが、代々木駅と千駄ヶ谷駅の中間にあったのだが、ストリートビューで確認したところ、どの建物がそうであったかわからない。そこが廃校になったことは知っていたが、居ぬきではなく建物自体立てなおされた可能性もある。 オレのクラスはそこの更に分校舎ということで、線路をくぐった、御苑のわきにあったはずだが、それも、今になってしまえば、どこにあったかわからない。

 受験予備校なんて言うもんは少子化の波の中、経営規模がオレのころよりもはるかに縮小されている事は知っていたのだが、はて、いつ、オレが通っていたところが無くなったかはわからない。まぁいいや。予備校の校舎自体にそれほど思い入れがあるわけではない。


 予備校生だろうが、田舎者が東京に出て結構浮かれていたのだろう、それほど悲壮感があったわけではない。一応一通り勉強はしていたが、暇があればいろんなことに目移りしていたように思う。


 高校時代からガールフレンドなんて言うものには縁がなかった。興味は大ありだったが、いないものはいない。予備校に入っては尚更。しかし、10代最後の歳だ、興味だけはうなぎ上り。

 どうせ何もできないのに、予備校の寮では、同じ私文クラスの誰が可愛いだとか何とか。


 誰が可愛いと言っていたか、隣の部屋の今は新潟で弁護士している奴か、金沢から来た武者小路実篤の「友情」が一番好きな小説だなんて言ってた奴か、新潟の弁護士の反対隣のまたしても弁護士やってるむっつりか。同じ私文クラスの女の子。

 しかしまぁ、しっかり彼氏がいて、その彼氏も同じ予備校で。予備校にFZ400R乗りつけてやってくるようなやつで、講義が終われば、その女の子と2ケツでお帰りになる、と。

 女の子は別に好みではなかったが、それよりも予備校生の身分で、当時新車のFZだ。彼のことが、受験生として大丈夫なのか?等と、つまらない心配もちらっとしてみたりした、夏前の、今からじりじり暑くなるぞ、というある日を思い出した。


 予備校というのも、適当にぬるく、適当に情け容赦がなく、夏の前後で模擬試験の結果などで、クラスの編成替えがあり、そのFZの男と彼女は下のクラスに落ちていった。誰も口には出さなかったけれど、ほらね、やっぱり、と思っていたはずだ。それ以降、その女の子のことが話題に上がることもなかった。


 以下、少々失礼な事を書く。

 オレが彼女に興味を持てなかったのは、一つには、経験的に彼女のようなタイプはオレのような男は眼中になく、何らかのアクションを起こすことは元より完所を持つことも無駄であると思っていたから。

 どのようなタイプかと言えば、一言で言えば、彼氏を切らすと生きていけないタイプ? そんな風に思っていた。


 しかしまぁ、かなり後になってのことだが、若い時のそういうタイプだった女性に限って、自立した一廉の職業人になっているということが多々ある。誤解だったのか、いろんな男を見た結果、自立するのが一番良いという選択肢だったのか、他にもっと違う理由があるのかはわからない。


 FZの男はどうだろう? まぁ、楽しくその後も生きてるんじゃないんですか? 知らんけど。




 高校の時から、単車と単車のレースには興味があったけれど、まぁ、予備校でそういうのを見ていた所為もあったかなかったか、

リアルタイムではFZという単車をそれほど欲しいと思ったことはない。けれど、FZにRがついてみたりとか、あとRZがTZRにとか、NSがNSRになったりとかして、如何にも立ち位置が中途半端になって消えていって、ふと、あの中途半端で頼りなさげだけど、それでも張り続けている個体があるのだとしたら、結構カッコいいのではないか、等と思ったりしている。何より、ゴテゴテしていないところが良い。


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― 新着の感想 ―
[一言] 同世代の匂いがプンプンしまくってて でも私と違いお勉強をしっかりしていた方の様です。
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