7話 新品未使用
俺の頭上に居るのは、ニマニマと俺を見つめるゆるだった。
スカートが真上でヒラヒラしていて、くまちゃんの絵柄がプリントされたかわいいパンツがいやでも目に入ってしまう。
これ以上見てはいけないと思った俺は、飛び起きて、火照っている顔を手で扇いだ。
「およ? 渚くん、なんで顔が赤いんですか?」
ゆるは俺の目の前まで来て、おでこに手を当てた。
顔と顔の距離が一気に近くなり、ゆるの吐息が顔に触れる。
「あの〜、ゆるさん? えーっと、そのぉ、なんて言うか·····お顔が近くないですかね·····?」
心臓の鼓動に耐え切れなくなった俺は、この状況を何とかしようと話を切り出す。
新品未使用かつ男子高校生の俺にはあまりにも刺激が強すぎる。
そんな俺の気持ちを見抜いてか、ゆるは口角を上げわざとらしく上目遣いをしてきた。
「確かにそうですねぇ。あともう少し近づいたらキスできちゃいそうな距離感です。欲しいですか? 私のファーストキス」
人差し指でプルプルな下唇を持ち上げ「ん〜」と可愛らしい声を出してくる。
こいつは天使じゃない! 小悪魔だ!
完全に狙ってやってることがわかった俺は、ゆるのほっぺを両手で掴み、ぐいぐいと引っ張った。
「調子に乗るなアホ天使!」
「いでででででで!」
ゆるはほっぺを抑えて、ひーん、と言っている。ざまぁみろ。新品未使用だからってからかっちゃいけないんだぞ。
「それはそうと、お前友達とご飯食べるんじゃなかったのか? こんなところに居ないで、早くそっちに行かないと駄目だろ」
こいつには予定があるんだ。いつまでもここに居させる訳にはいかない。
そりゃあ来てくれて嬉しかったけど、それは俺のわがままだ。
俺はそっぽを向いて芝生に座り、お弁当を広げる。
しかし、俺の予想とは裏腹に足音が俺の方に近づいてきた。
「え? それ渚くんのことですよ?」
ゆるは俺の隣にちょこんと座って、俺の顔を覗いてくる。
パチ、と目が合うと、笑顔でこう言った。
「食べましょう。お昼ご飯」
ゆるはお弁当箱を開けて「今日のお昼はタコさんウインナーです〜!」と子供のようにはしゃいでいた。
「ゆ、ゆる。いいのか? 俺なんかとお昼一緒に食べて·····誰かに見つかったらお前まで虐められるかもしれないのに·····」
「良いんです。私は誰になんと言われようと、渚くんと一緒に食べたいので」
そういうと、ゆるはタコさんウインナーを口に放り込み「う〜んっ! 美味しいです〜!」と、とろけるほっぺを抑えている。
俺も自分のお弁当を口の中に放り込む。
「·····美味しい」
いつもと変わらないお弁当の筈なのに、なんだか今日は一段と美味しく感じた。
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