2話 天使は知っている
次に俺が目を覚ましたのは、自分のベットの上だった。
俺はゆっくりと体を起こし、辺りを見渡す。
さっきの羽の生えた奇天烈な女はどこだ!?
俺はベットから出て、カーテンの裏や、ベットの下を見てみる。だが、女の子の姿は見つからない。
「いない·····」
自分の家に帰ったのか?それならそれでいいんだが·····
俺はもう一度何があったか整理しようと思い、記憶を手繰り寄せようとした。目をつぶってゆっくり考えてみる。
普通に考えて、人間に羽が生えるなんて有り得ない。それに俺の家はセキュリティが万端だから、安易に入ることなんてできないはず·····
「わかったぞ! 夢オチだ!」
「何が夢オチなんですか?」
俺はつぶっていた目をカッ、と開き、ガッツポーズをしたのだが、夢オチ説はあっという間に崩れ去った。なんでかって? さっきまでいなかったはずの女の子が俺のすぐ目の前にいるからだよ!
「ぎゃああああああ!? なんでお前がいるんだよ!?」
「うるさいですねえ·····なんでって私が天使だからに決まってるじゃないですか」
俺の悲鳴を鬱陶しそうに耳を押え、とんでもない発言をする。
「て、天使·····!? 」
「はい! 今のは天使の力を使って、渚くんの前に突然現れたように見せました! 私の姿は人間達に見えたり見えなかったりさせることが出来るんです!」
胸を張って説明する自称天使。
でも、確かにさっき辺りを見渡して誰もいないことを確認した後、人一人隠れられそうな場所を探しても、この子はいなかった。
でも·····そんな、まさか·····
「まさかと思うなら私が天使である証拠として、渚くんの現状を説明しましょうか?」
ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる天使。
気づいたら俺は頷いていた。
「いいでしょう! 話してあげます! 神代渚くんの現状をっ!」
すると羽根をパタパタとさせて、10センチほど地面から浮き、俺の部屋を飛び回り始めた。
「まず渚くん、君のお父さんは社長ですね?」
「そ、そうだけど·····」
そう。俺の親父は大企業神代グループの社長、神代明だ。
しかし、これは日本人だったらだいたいは知ってる情報。ここから何を言い出すんだ·····?
「渚くんはその天才的な頭脳を活かし、お父さんの会社の経営が落ち込んでいた時、助言をしてあげたそうじゃないですか。すごいですねぇ。そのお陰で会社は立ち直り、株価も急上昇。でも、お父さんのプライドはボロボロにされて、このままだと渚くんに会社が奪われると思ったお父さんは、渚くんの育児放棄をするようになりましたよね?」
「·····!?」
俺は息を飲んだ。心臓の鼓動も早くなっていってるのがわかる。
なんでこいつがそれを? その話は親父が揉み消して、世間に出回っていないはずじゃ·····!?
「それと渚くんには、大好きな幼馴染がいましたよね?名前は·····そう、紗月ちゃん。彼女は女優になる夢を叶える為に、神代グループが運営している事務所に所属しました。渚くんが紗月ちゃんのことを好きなことを知っていたお父さんは、これをチャンスだと思い、『今度の月9のヒロインは君にあげよう。その代わり渚をとことん傷つけてくれ』と命令した·····」
「やめろ!」
淡々と説明する天使に耐えきれなくなってしまった俺は、大声をあげて話を強制的に終わらせる。
息が乱れて、過呼吸気味になっているのが自分でもわかった。
「やめてくれ·····」
俺はどんどん思い出したくない過去が蘇ってくる。人より頭が良すぎた俺は親父に見捨てられた。双子の妹にも相手にされなくなってしまった。そして大好きだった幼馴染すら、俺のことを裏切ってきた。
「もう·····死にたいな·····」
俺はその場にしゃがんでうずくまった。
何もしたくない。誰とも喋りたくない。このままずっと家に引きこもっていたい。
そんな考えだけが、俺の頭の中をぐるぐるする。
すると天使が俺の片手にそっと触れて、目線を合わせてくれた。
「死ぬぐらいなら、私と手を組みませんか?」
はじめまして、飴宮まるです。ラブコメが大好き過ぎてみんなに楽しんで貰えるようなラブコメを書こうと思い、これを書き始めました!絶対に読者さん達を楽しませるので、是非飴宮についてきてください!また、自分のモチベのためにもブックマークしてくれるととってもとってもとっても嬉しいです!ついでに☆5も!ついついでに感想も!ついついついでにレビューも!お願い致します!(土下座)
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