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13話 逆転

俺は反射的にギュッと目をつぶる。深い傷がつかないように祈りながら。

 

 そのまま5秒ぐらいが経った。

 

 体が·····どこも痛くない·····

 

 俺はそっと目を開ける。

 そこにはゆるがいじめっ子のカッターの持つ手を捻って、力でねじ伏せている姿があった。

 

 「悪あがきはしない方が身のためですよ」

 

 「クッ·····!」

 

 悔しそうにカッターから手を離すいじめっ子。

 

 「ありがとう·····!ゆる·····!」

 

 そうだ、こいつは俺の事を持ち上げられるぐらいめちゃくちゃ力が強いんだった!

 

 「お前ら·····こんなことしてただで済むと思うなよ·····!」

 

 ゆるがねじ伏せた方のいじめっ子が、すごい剣幕で俺に怒声を浴びせてくる。

 耳が痛いったらありゃしない。

 

 「それはこっちのセリフです。ですよね? 渚くん?」

 

 勝ち誇ったような笑みで俺の方を振り向くゆる。

 ゆるの笑みを見ると釣られて俺も笑ってしまう。

 

 「ああ。今までの会話全部録音させて貰ったぞ」

 

 俺はポケットからスマホを取り出し、音声レコーダーの画面を見せる。

 

 「はあ·····!? お前いつから撮ってたんだよ!」

 

 「俺らが登場した最初から」

 

 百聞は一見にしかず。いじめっ子達に録音した事実を植え付けるために、再生ボタンを押す。

 

 『そのカッターで何をするつもりなんですかっ! 私達を傷つけるつもりなんでしょう!?』

 

 『ああ。そうだよ! うるせえお前らの口を二度と喋れないようにするためになぁ!』

 

 弱味を握られた事実にようやく気づけたのか、いじめっ子の二人はカタカタと震え出した。

 

 「これでわかりました? あなた達に勝ち目はありません。ネットでこれを拡散させたら一発アウトですよ」

 

 ゆるは不気味な笑顔をいじめっ子に振りかざし、さらに恐怖を煽る。

 

 「に、逃げよう」

 

 「ちくしょう·····!」

 

 とどめの一撃が効いたのか、いじめっ子達はフラフラと逃げていった。

 

 「ふぅ·····ひと仕事終えましたねぇ·····」

 

 ゆるは手首をコキコキと音を鳴らして、満足気な顔をしている。

 

 「はは、そうだな。ありがとう、ゆる。お疲れ様」

 

 褒められて満更でもないゆるを見て、つい笑顔が零れてしまう。

 

 すると後ろからいじめられっ子がゆっくりと立ち上がって、俺らの方にパタパタとやってくる。

 

 「あ、あの·····ありがとう·····っ!」

 

 ボサボサの髪の毛と痣がある体を見て、この子も酷いいじめを受けていたんだなという事が見て取れる。

 

 「ううん。君こそ大丈夫?」

 

 泣いた後だからか顔も真っ赤に腫れているが、それでもすごく可愛い子だなぁなんて思う。

 

 「うん。まだ蹴られたところがちょっと痛いけど·····」

 

 改めて聞くと声もすごくかわいい。アニメのヒロインの声優にでもなれそうな声だ。

 

 「絆創膏と消毒液ならここにありますよっ!私が簡易治療しますねー! 」

 

 ゆるはどこからか治療道具を持ってきて、いじめられっ子の傷を消毒している。

 

 「あ、自己紹介まだだったね! 私は団子 花咲梨(だんご かざり)。君は神代渚くんだよね?」

 

 おぉ。俺の名前を知ってるのかと思ったが、俺は学校中で虐められてるから、ある意味有名人だもんな。知ってるか。

 

 「それにしても2人ともすごいよ! 私のいじめ止めるために何か事前に策でも練ってたの?」

 

 その質問に俺らは顔を見合わせて同時に返事をした。

 

 「してないな」

 「してないです」

 

 ぶっちゃけ、俺もここまで上手くいくと思わなかった。あのいじめっ子の2人がもう少し頭が良かったら危なかったところはある。

 

 「え·····!? じゃあどうやっていじめっ子を退治したの!?」

 

ご覧いただきありがとうございます!1ミリでも続きが読みたいなと思っていただけたらブックマーク、☆5を頂けると嬉しいです!

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