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11話 立ち向かう

「·····ったは〜! ビビった〜!」

 

 紗月の足音が完全に聞こえなくなったことを確認した俺は、肩の力が一気に抜けてその場にへたり込んだ。

 

 正直紗月が鎌をかけているという完全なる確信はなかった。我ながら危険な賭けだったと思う。

 

 それに万が一、紗月がゆるのことを天使だとわかったら·····

 いや、今は考えるべきじゃないな。

 俺はわしゃわしゃと髪を掻きむしり、スマホの電源をつけ時計を見る。

 

 「やばい! ゆるのこと待たせてたっ!」

 

 俺は抜けた腰に生気を宿し、体育館裏に向けて猛ダッシュをした。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 「はあ·····はあ·····ゆる、待たせてごめん·····」

 

 体育館裏に着き、ゆるの後ろ姿を目視した俺は、中腰になり息を整える。

 

 「しっ! 静かにですよ! 渚くん!」

 

 唇に人差し指をのせて「しー」とポーズをするゆる。そしてその指を、俺から丁度死角で見えない方へ指す。

 俺はゆるの指さす方向を見ようと、足を進める。

 

 「な、なんだこれ·····っ」

 

 視界の先にある光景に俺は言葉を失った。

 

 「おい。お前今度の映画のヒロイン狙ってるんだって?」

 

 「まさかつい最近まで地下アイドルだったお前がそんなこと言い出す訳ないよなあ?」

 

 こんなの誰が見てもわかる。2人の女が1人の女をいじめていた。

 髪を引っ張ったり、蹴飛ばして殴ったりして·····

 

 「い·····や·····やめて·····ごめんなさい·····」

 

 いじめられている女子生徒は頭を抱えて、涙を流している。髪の毛はお団子でまとめられていたのだろうか。そんな面影もないくらい髪はボサボサになっていた。

 彼女の悲痛の叫びはいじめっ子に届いているわけが無い。

 

 「なんて·····むごいんだ·····」

 

  普段の俺も他から見たらあんな感じ·····いや、あれ以上なのか·····

 

 「とにかく、助けに行かないと」

 

 「はい。もちろん、そのつもりです」

 

 俺らはアイコンタクトを取り、ニヤリと口をゆがめた。

 

 「なにしてるんですかぁ?」

 

 得意の煽り口調でいじめっ子に語りかけている。

 

 「神代渚と転校生·····? 何しに来た?」

 

 「まさか転校生ちゃん連れてきて2人でいじめられに来たとか? あははっ!」

 

 2人は俺らにいじめられているところを見られたのにも関わらず、全く焦る様子がない。

 

 「来ないでっ! 来ると·····2人まで·····」

 

 彼女は泣きながら俺らを追い払おうとしている。

 

 それでも俺らは腹を括っていた。

 

 「それぐらい私は大丈夫です!」

 

 「ああ。俺も嫌な慣れだが、君よりはいじめられ慣れてるはずだよ」

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