10話 のらりくらり
ゆると·····どんな関係か·····?
俺は質問の内容に驚きが隠せなかった。
なんで紗月がそんな質問を·····? まさか、お昼ご飯を一緒に食べたを見られたのか·····?
俺は唇の下をグッと噛む。
さすが今注目ナンバーワンの若手女優というべきか、 俺のことを睨む目が鋭く、その目を見ただけで冷や汗が出てきてしまう。
どうする·····!? なんて答えるべきなんだ·····!?
とりあえずこの場をかわすために、俺は頭をフル回転させて口を開いた。
「どんな関係って聞かれてもな·····俺らは今日会ったばっかりだぞ。転校生のクラスメイト。それ以上でもそれ以下でもない」
我ながらいい嘘だ。これなら下手に口を滑らせることもなく、怪しまれない。
しかし安心したのも束の間。紗月はさらに追い討ちをかけてくる。
「ふぅん、なるほど。しらばっくれるつもりなのね」
なんでだ? なんで紗月はここまでゆると俺の関係に探りを入れてくる?
紗月は何をどこまで知っているんだ?
俺は嫌な思考がぐるぐると頭の中で回る。
くそっ。どうすればいい。なんて言えば紗月から逃れることができる。
紗月だって、ゆるに今日初めて会ったはずなのに·····
待てよ。そうだ。紗月こそゆるに今日初めて会ったばっかりだろう。
てなると、この会話にはなんの意味があるんだ?
考えろ。考えるんだ。
俺は必死に頭を働かせた。紗月が何を企んでいるのか。
そしてあるひとつの答えにたどり着く。
·····鎌をかけられてるんじゃないか?
確信を着く何かが紗月にあるんだったら、その情報を使って、さらに俺の事を追い込むことだってできるし、こんな回りくどいこともやらなくて済む。手っ取り早く俺の事を潰したいはずだ。
きっとこれは紗月の洞察力からきたものと考えるのが妥当だな。席が隣とはいえ、初対面とは思えない仲の良さで話していたのが気がかりだったんだろう。
ならば俺はしらを切り続けるのが最善だ!
「なんの話かわからないけど、なにか勘違いしてるんじゃないか? 何度も言うが天乃さんとは初対面。そもそも俺は誰かと関わるためのコミュニティが全然ないんだ。だから俺があんな子と知り合いなはずがない」
こういうと紗月は、悔しそうな顔をするが、これ以上反論も出来ないため何も言い出せずにいた。
「必ず暴いてやるから」
こう言い残し、紗月はどこかへ行ってしまった。
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