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生活の危機と命の危機

鬼神の存在は謎に包まれている。

人の変貌した姿の説。そのままモチーフの動物の変形説。

はたまた宇宙からの侵略者説。

様々なジャンルの人間が鬼神の研究をしたが誰もわからなかった。ただ一つ分かるのは


「奴らは異界から人間界に来ようとしていること。」


「それを止めるために我らは戦わなければいけないこと。」


「現状、鬼神を滅ぼす手段がないこと。」


--------------------------


阿久津結城(あくつゆうき)が朝起きると胸のあたりがヅキヅキしていた。昨日、マシロに噛み付かれたところだ。風呂場で見た時は、青い痣が出来ていた。


「アイツなんなんだろうな。」


一人でアニメを見る時間もない。早く彼女を知る人物に預けたい。ベッドはマシロに使われているのでリビングのソファで寝ている。肩や首など所々痛い。


「早くどうにかしないとな。」


今日はマシロを連れて外に出る日だ。




マシロを連れて歩くのは目立つ。彼女は髪も肌も含めて真っ白。目立つのは当たり前だ。

今日は平日だが阿久津結城(あくつゆうき)は学校に行かない。


「ユウキ。あれ。」


マシロが興味を示したのはファストフード店だ。あそこのポテトは上手い。無限に食べることが出来る。


「今、金無いし朝飯はさっき食ったよな。」


「じゃあアレは?」


次に指さしたのは、ケバブを売る店だ。通りがかると毎度の如く腹が減り、少しでも立ち止まると買わされる悪魔の店だ。


「あそこ行きたい。」


ラーメン屋だ。替え玉2玉まで無料なので、阿久津結城(あくつゆうき)もよく利用する。


「飯じゃねぇよ!お前の知り合い探そうとしてるんだよ!」


マシロはこの世の終わりのような顔をする。


「さっき朝飯食っただろ。それも大量に。」


冷蔵庫に入れていた非常食からカップ麺に至るまで全て食べられた。今月生きていけるか分からない。


「はぁ。」


「ユウキ大丈夫?」


「お前は気楽そうでいいわ。」


一日中マシロを連れて町を歩いても特に何も無かった。

やけに注目を浴びることはあったがまあさっきと同じことだろう。




一旦マシロを家に置いて阿久津結城(あくつゆうき)はバイト先のコンビニへ向かった。彼は高校生だが特例的に半夜勤が許されている。が、この半夜勤が少し苦手だ。

仕事内容ではなく人の話だ。


「おはようございます。」


「おはよう。阿久津君。」


その人物は淡々と仕事をこなしながら挨拶をしてきた。

名を赤崎神奈(あかさきかんな)阿久津結城(あくつゆうき)の担任教師だ。今日も学校をサボっていた為、誠に会いにくい。


「赤崎先生っていつ寝てるんですか?」


学校の先生は夜まで何かしら仕事をしてるイメージがあった。


「愚問ね。やることは学校で終わらせれば帰って普通に寝れるわ。」


「それ先生のスペックが高いだけでは?」


赤崎先生は新任教師ながら分かりやすい(が退屈な)授業と誠実な態度で人気がある。表情が常に怖いのでそっち方面のファンもいる。


「そんな事よりも、今日もサボったわね。」


「それはそうとこの新商品のロールケーキ甘すぎません?俺としてはもう少し甘さ控えめな方がいいんですけど。」


「来週のバイトまでに反省文を書いてもらうわ。フォーマットは好きにして。内容で評価を出すわ。」


「それだけは……嫌なんですが。」


「何を言っても嫌がるでしょう。あなたは。」


凄みながら言う赤崎神奈(あかさきかんな)。この顔が彼女の恐れられる所以だ。


「はぁ、最悪だ。」


「質問。今日はいつも以上にアンニュイな感じだけど何かあったの?」


「いや。特に何もないですけど。」


流石に担任に知らない人から知らない女児を預かってそいつのせいで、生活の危機を迎えているなんて言えない。


「あなたのことを見放してる先生は多いわ。でも私はそのつもりなはないから何かあったらいつでも言うこと。いいわね。」


「……ありがとうございます。」


油断をするとこういう事を言ってくるから嫌うにも嫌えない。本人的には真面目に仕事しているだけだと思うが。






バイト中は何事もない。マシロの事は少し気がかりだ。家を荒らしてないといいけど。特にそれ以外で心配事も問題も起きずバイトの時間が終わった。


「お疲れ様です。」


「お疲れ。反省文忘れないこと。」


「……はい。」


明日来いとか言ってこないあたり、赤崎神奈(あかさきかんな)は優しいと思う。ちよっと優しすぎる気もする。

阿久津結城(あくつゆうき)が家路に着くと、電柱の影に誰かがいた。その人物は、阿久津結城(あくつゆうき)の接近に気がつくと黒い長髪を揺らしながら向かってきた。


「お疲れ阿久津結城。そしてさようなら。」


いつの間にか持っていた巻尺を阿久津結城(あくつゆうき)の首に向けて振るってきた。


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