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プレゼント?

 金曜日の下校後。俺と時雨、白はいつものように屋敷に帰ってきていた。

 帰った時間が早すぎたせいか、屋敷には刹那と冬姫、命はまだ帰ってきていなかった。

 

 だが屋敷には龍那と凛那、陽月と寧々、四神も居るので少し賑やかではあった。


 「おかえり~」


 俺が玄関を開けるとそう言って出迎えたのは双子の妹の凛那だった。

 なんか少し命に似てきた気がするな。


 「ただいま」


 「ただいま」


 俺と時雨はいつものように出迎える凛那のあいさつにいつもの様に返して、玄関をくぐる。

 そして白もいつものように無言で凛那に付き添うよう近づいた。


 意外なことに白と凛那は結構仲良しだったりする。


 先にどこかに行った凛那と白を放っておいて俺と時雨は自分の部屋に戻った。



 「お父さんお帰りなさい」


 自室の襖を開けると龍那が一人で座っていた。

 

 「ただいま。何やってるの?」


 俺は俺の部屋に一人でいた龍那にそう訊いた。

 実際龍那の部屋は陽月と寧々と同じ部屋だからここへの用事は無いはずだけど。


 「いや何もしてないけど。ただここが一番落ち着くだけ」


 俺の質問にそう答えた龍那は床に寝転がった。

 

 子供はよくわかんないな。

 でも落ち着くのは、ここで龍那と凛那が生まれたからなのかもしれない。


 「そうか。俺は飯作ってるから、出来たら教えに来るよ」


 俺はそう言いながら自室を去った。

 

 

 鬼龍が部屋を出た後、龍那は少し寂しそうな表情を浮かべてたのは鬼龍は気が付いていなかった。







 キッチンに行くとそこには寧々が立っていた。

 寧々は俺には気が付いていないようで、玉ねぎをみじん切りしているようだった。


 寧々とはアテナの事件以来会ってはいない。

 あの時は龍那と凛那が攫われていたので訊く余裕がなかったが、どうするか。


 「あ、鬼龍様」


 俺がそんなことを思っていたら、先に寧々が俺に気が付いた。 


 どうしよう、なんでか少し気まずい。


 「先日は申し訳ありませんでした」


 俺がどうすればいいか考えている間に、寧々は包丁を置きこちらに駆け寄ってきて謝ってきた。

 頭を下げたその姿はまるで小動物のような印象を受ける。

 そしてその体は震えていた。

 だけどこの震えは前と違って、鬼龍への恐怖からくるものではなかった。

 

 どうするかな。


 「謝んないでいいよ寧々。鬼龍も困ってるし、そもそも鬼龍が悪いから」


 俺が寧々の前で戸惑っていると、俺の後ろから陽月が気配を消して近づいてきていた。

 

 ここで気配を消す必要なんてないだろ。


 「鬼龍が全知全能を封印したから、巫女である寧々が鬼龍の底が見えない龍の力と本性を見ちゃって怯えたんだから」


 陽月は寧々の横に移動して、慰めるように寧々の頭を撫でる。


 「鬼龍の全知全能でぼんやりとしか分からなかった鬼龍の力が、封印したせいではっきりと恐怖が出るレベルの強さってことがわかったのが原因なんだから」


 陽月は続ける。


 「そもそも全知全能を封印する前は、自分に向けられた能力や攻撃、害のあるものをすべて無効化してたじゃん? あれのおかげで寧々が鬼龍で怯えなかったのもあるけど、そもそもあれも鬼龍が本気の時じゃなかったら、ある一定以上の強さの人や龍殺しや神殺しの資格がある人だったら突破できるからどうかと思うけどね」


 そう言った陽月は光の二つの棒のようなものを異空間から取り出した。

 その光輝く二つの棒には、なぜか懐かしさを感じる。


 俺自身、陽月が取り出した二つの棒に見覚えは全くないはずなのに、不思議と見覚えがあるような気すらする。


 「というわけで、はいこれプレゼント」


 陽月が手に持っていた二つの光の棒を俺に渡してくる。

 俺が光の棒と思っていたのは、よく見ると二振りの剣や刀をほうふつとさせる形をしてる。


 「これ返すね。私はちょっと疲れたから寝るから、後は全知全能でその刀から読み取ってね。じゃあお休み」


 陽月はそのまま俺と寧々に挨拶をしていなくなっていった。

 普段の陽月はここまで自由奔放ではないので相当疲れてテンションがおかしくなっていたのだろう。

 唐突の出来事に俺と寧々は思わず顔を見合わせて笑ってしまった。


 それにしても全知全能は封印したから使えないのにどうしようか。


 ん?


 俺が陽月からもらった刀を見ると情報が頭の中に流れ込んできた。


 使えるようになっている。

 どういうことだ?

今回も読んでいただきありがとうございました。

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