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人造神兵 12

 鬼龍達が居なくなった後、オレは一人でビルの中を歩いていた。

 ビル内には人の気配が全くなく不気味な気配だけがあった。


 このビルは全十二階建てでとても広い、その上どうやら人を迷わせる魔術を使っているみたいだ。

 恐らくは夜の従業員がいない時間帯にのみ発動させる警備システムだろう。

 正直オレはこの手の魔術が苦手で解除もできない。


 しょうがない。


 「雷神、風神でてこい」


 オレは配下である雷神と風神を呼び出す。


雷神と風神は俺の配下の中でも最強の強さを持つ。


「なんでしょう?」


風神が俺にそう訊ねる。


「この建物のどこかに人が居ると思うのだが、オレでは場所が判らなくてな。どこにいるのかを突き止めて欲しい」


「わかりました。ここは俺にお任せを」


 そう風神が言うと風神を中心に風がビル中を駆け巡る。

 密閉されたビルにも関わらず風が吹くのは、風神の仕業だからだ。


 風神と雷神は昔から代々鬼神家に仕えている二柱の神だ。

 その戦闘能力はそこら辺の鬼神をも軽く凌駕する。


 「地下の最下層にある巨大な空間に四人居ます」


 風神がオレにそう報告する。

 

 風神が四人と言ったが、一人はケイスだとして残りの三人は誰だ。

 まあ誰であれ情報を引き出すために尋問はするが。ケイスも死刑は確実だ。


 地下に居るといっているけど行き方がわからんな。


 「雷神、地下までの道を作れ」


 オレは雷神にそう命令した。

 

 「はい」


 すると辺りが少し暗くなる。

 ビル内はもともと明かりがなく、窓からの朝日で何とか見えている状態だったが、その光すら入らなくなったわけだ。

 入らなくなった理由は簡単だ。

 俺が雷神に命令したから。


 目の前に光の柱が一瞬だけ突如出現する。

 その光が消えた頃には轟音とともに窓ガラスが割れ地面には大きな穴がビルを貫くようにできていた。

 

 「できました」


 俺はそのままその穴に飛び込む。

 

 このビルはケイスの持ち物だがぶっちゃけケイスが死ねば取り壊しにする。なら今多少壊しても問題はないだろう。


 



 穴を下りた先には風神が言っていた通りに巨大な空間があった。

 その空間には全く何もなく、柱が何本か経っているだけだった。


 「で、ケイスはどこだ?」


 見渡しても誰もいないので俺はケイスの居場所を知っている風神に訊いてみた。


 「大丈夫です、今来ます」


 風神がそういうと後方の離れた場所で扉をものすごい勢いで開けたような音が、だだっ広い部屋に響き渡った。

 そして複数の足音がこちらに迫っているのがわかる。


 「なぜ貴様がここに居る!」


 オレに向けてそういう声が聞こえた。

 オレは後ろを向く。

 そこに居たのは三人の取り巻きに囲まれたケイスだった。


 見た限りケイス以外はアサルトライフルと両刃の剣を装備しているように見える。


 「おい答えろ!」


 ケイスが一定の距離まで歩いてやってくる。


 「反逆者に答える必要はないな」


 オレはきっぱりケイスにそう言う。


 「まあいい。貴様がここに居るということは焔龍家の屋敷と龍神家の屋敷、そして龍王の自宅と鬼族の里の襲撃は成功したようなものだ」


 オレらの里だけじゃなくて鬼龍も襲撃してたのか。

 やっぱりこいつは生かしておく必要はないな。


 でもなんでこんなことしたんだ。


 「お前は色々と勘違いしてるから殺す前に訂正だけしてやるよ」


 オレは鬼神化をする。


 「勘違いだと? それに俺を殺すだと? 笑わせるな亜人が!」


 ケイスの周りの連中が銃を向けてくる。


 「まずオレがここに来たのは里の襲撃してきた連中を蹂躙してからだ。それとお前は鬼龍を舐めすぎだよ、鬼龍のことだ自分の所に来た連中を皆殺しにしたか無力化してから来たんだろう。屋敷の連中は十中八九皆殺しだろうけど。そして焔龍殿を襲撃したのは失敗だったな、焔龍殿はオレと同程度の強さだぜ、オレの里を襲った程度の戦力なら龍神の焔龍殿なら周りに被害を出さないで皆殺しにするだろうな」


 「ははは。そんな嘘を誰が信じると思ってるんだ? ……くだらない」


 ケイスは笑っているが明らかに顔に動揺が見受けれる。


 「言っただろお前は鬼龍を舐めすぎだ。奴は全知全能の最強の龍王だ、奴がその気になればお前らごとき悪意を持った段階で死んでいる。そうなってないってことはあいつがお前らを信頼してたってことだ。そのやさしさに付け込んでクーデターをたくらんだお前らをオレは許さない」


「殺せ!」


 ケイスの取り巻きが銃を撃ってくる。

 だだっ広い空間に銃声と薬莢の落ちる金属音が鳴り響く。


 遅い、それに痛くねぇ


 オレは銃弾に当たりながらそんなことを考えていた。

 鬼神化したオレの皮膚は銃弾程度の攻撃では絶対に傷つくことはない。それは雷神と風神も同じでありオレらは全員無傷だ。


 「なぜ死なない」


 ケイスが驚いた顔でそう言ってる。


 「なぜ反乱など起こした」


 オレはケイスの言ったことを完全に無視してオレ自身が知りたかったことを訊く。


 「……貴様などに言っても意味は無いが、いいだろう。冥土の土産に教えてやるよ。俺はこの大陸を人間の手に戻すために戦ってるんだ」


 ケイスが訳の分からないことを言ってる。

 この大陸はもともと今の龍神家の始祖である強大な力を持つ龍神が一億年以上前から支配していた大陸だ。その大陸に鬼族、エルフ族、ドワーフ族が龍神の許可を得て住み始めて、そして数千年前に人族が勝手に住み着いて数を増やしていっただけだ。勝手に住み着いた人族を龍神は許し住まわせてたのだ。


 それをケイスは傲慢にもこの大陸が最初は人族のものだと言っているのか。


 これは救いようがないな。

 まあ、死体か魂があれば後で軍のネクロマンサーに頼んで事情を聴けるからさっさと殺すか。


 「貴様は今ここで殺す」


 オレは一歩でケイスの目の前まで近づく。

 そして胸を本気で殴る。


 「がはっ」


 オレの拳は簡単にケイスの胸を貫いた。


 「な… ぜ…」


 オレは一撃で絶命しなかったケイスの顔面に一撃入れて頭を粉砕した。


 「とんでもねぇ数のスケルトンの次は鬼神かよ」


 男はオレの背後から大剣を振り下ろす。

 オレは剣ごと男の体に蹴りを入れる。


 剣は簡単に砕け蹴りは男の腹部を簡単に貫いた。


 「龍殺しの俺でも神殺しは無理か」


 男は最後の声でそう言うと絶命した。

 そして残りの二人は雷神と風神の手によってすでに殺されていた。 

 死因は一人は感電死もう一人は窒息死だった。

 音もなく殺せる早業はもしかしたら暗殺に向いてるのかもしれない。

今回も読んでいただきありがとうございました。

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